表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダークエルフと暮らす異世界間違い転生  作者: 三沢 七生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/616

閑話.おかしな服装

そういえばララハイディの服装について言及していなかったと思い、書いてみた閑話となります。

最初にミーティア集落で会ったときもこんな格好をしていたと思って下さい。そんな風にして読み返すと印象も変わってくるかと思います。

書いているうちに楽しくなって、一時間ほどで書き上げてしまいました。文字数がちょっと多めです。

ララハイディはいつも丈が膝くらいまでのベージュのチュニックのようなゆったりした服を着ている。


首元はクルーネックで少し切れていて、紐で縛ってしっかり結んでいる筈なのだがどうも緩い。

ララハイディが無防備にも屈んで何かをしたりする度にチラリと見える下着をなにも身につけていない胸元に、イツキは照れくさくなってそっぽ向き視線を逸らしていた。


そんな時ララミーティアはキッとイツキの事を見ていて、まるで浮気の現場を監視されているような居心地の悪さを覚えて、イツキは益々目のやり場に困っていた。


袖も肘が隠れる程度の何とも中途半端な長さで、これまた大分ゆとりがある仕様だった。

腕を上げたりすると思いっきり何も処理していない脇や胸が丸見えになってしまうので、本当に目のやり場に困る仕様になっていた。


挙げ句の果てには屈むと何も履いていない尻は丸見えになる。

不用心にしゃがんだ日には流石にララミーティアが賺さずララハイディに抗議した。


しかし当の本人は全く気にする様子もなく、いつも洗浄魔法で同じ物を着用していた。

元々地球で生きていたイツキからすれば、パッと見ミニのワンピースを着ているんだと思い込めばそう思えない事もなかったが、それでもブカブカのミニのワンピースというか思い切りチュニックなので、やっぱりララハイディの格好は変だった。


こちらの世界の人からしてみれば相当刺激的な格好では無かろうか思うイツキではあったが、ミーティア集落では特段何も言及されていない以上、案外普通の格好なのかなと混乱してしまうのだった。


それでもイツキは裏でララミーティアに何度も「あの格好は変じゃないか?」と聞いてみたが、イツキとララミーティアも他の一般的な森エルフなど見たことが無く「変だけれど、きっと伝統的な服なのかしら…」と首を傾げていた。


ララミーティアも明らかに変な格好だとは兼々思って居たが、元々どっぷり人族の町で暮らしていた訳でも無いので何とも判断できず、まぁ自分が知らないだけできっとありふれた格好なのだろうと自分を納得させていた。




ある時、いつものように広場にレジャーシートを広げてララハイディとララミーティアが魔法の鍛練をしていた際に、向こうからやってきたイツキが2人に向かって手を振りながら声をかけてきた。


「おーい!そろそろ昼時だよー!昼ご飯何が良いー?希望を受け付けるぞー!」


イツキの声に真っ先に反応したのはララハイディだった。

厳密に言えば『昼ご飯』と言うキーワードに反応しただけだ。


ララハイディはピンと右手を上げて無表情のままスッとその場に立ち上がろうとする。


「カツサンド!カツサンドが良い!私はカツサ…あ…。あらら。」


興奮して立ち上がったララハイディだったが、同時に魔力切れを起こしてしまい、そのまま後ろにゆっくりと倒れてひっくり返ってしまう。


「もうっ!ハイジったら!自分でそろそろ魔力切れ起こすって言ってたのに!本当にー、ふふ。ほら、手を貸して?」


ぽてんとひっくり返ってしまったララハイディを笑いながら起こそうとするララミーティア。

しかしそれを見たイツキが顔を真っ赤にして大声で叫んでそっぽ向いてしまう。


「うわぁ!!えっ!!!ちょちょ!!隠してよ!!ダメダメ!!!マジで!!もう、ちょっと本当にマズいよ!!!」

「えっ、イツキどうしたの?」

「いやー、興奮してしまった。ついつい。」


キョトンとするララミーティアと無表情でひっくり返ったまま頭をポリポリかくララハイディ。


「どうしたの?じゃないよ!!前隠してよ!!俺男なんだよ!?マジでさ!!」

「ってわーっ!!ハイジ!!丸見えよ!!早く隠して!!」


ララハイディは後ろにひっくり返ってしまったので、チュニックがそのまま捲れてしまっており、当然下着など履いていない下半身が完全に丸出しの状態になってしまっていた。

ご丁寧にもイツキに向かって足を広げてひっくり返っているので、隅から隅まで完全に丸見えだ。


当のララハイディは不思議そうな顔をして着ていたチュニックを直し、ララミーティアから渡された魔力回復の水を飲む。


「別に股や尻を見られただけでは何も減らない。私は損しないし一向に構わない。恥ずかしいといえば恥ずかしいけれど、ここには3人しか居ない。気にしなくていい。平気。」

「そ、そういう事ではないわ!大事なところをそんな簡単に見せちゃダメよ!」

「イツキだって毎晩ティアの裸を見ている。今更なにを照れる必要があるの?私だって町中では転んだり無防備な姿は見せない。」


ララミーティアがかなりズレているララハイディに叱りつける。

溜まらずイツキも思っていた事を口にする。


「もう隠した?あっ、あのさ!服装のことはよくわかんないけどさ!…ハイジの格好はやっぱり変じゃないかなっ…!?ティアだってそう思うでしょ?い、いつも服がブカブカでさ、あ、あちこち見えそうって言うか実際見えてて目のやり場に困るんだよ!絶対伝統的な服じゃないよねそれ?」

「そうよ!そのチュニックだけど、多分そういう着方ではないわ!」


2人の抗議にララハイディは首を傾げる。


「何十年も前に人族の町で安くていっぱい売ってたから、賢い私はその時余ってたお金で買えるだけ買っておいた。安くていっぱい売ってたくらいだから人族の間でとても流行っている物だと私は思う。んー、百年前くらいだった?他の人ってどんな服装をしてる?うーん。その辺は覚えてない。」

「そんな昔の流行は廃れてると思うし、安くていっぱい売ってたって事は売れ残りを売りさばく為のセールだと思うよ!多分当時も売れなくて困ってた奴だよそれ!明らかにサイズおかしいもん!」

「そうよ!イツキの言うとおりだと思うわ。それ単品で着るのは流石に違うと思う。この後ミーティア集落に行って色んな女の人に聞いてみましょうよ。」


イツキとララミーティアの声に若干不服そうではあるが、ミーティア集落に行くのは好きだったララハイディはこくっと頷く。


「でも綺麗な森エルフのこの私の裸が見れるんだから黙って楽しんでいればいいのに。イツキは律儀。それともティアが厳しいの?イツキだって興奮して勃起していたから困ってたようには見えない。ラッキーではないの?見るだけはタダ。」

「ラッキーとか興奮するとかじゃなくてさ!見えちゃったと言うか…、まぁ勃っちゃうのはさ…本当に悪かったよ。生理現象というか…悪いことしちゃったというか。こんな感じで罪悪感が凄いんだよ!分かるでしょ?ティアはさ。」


ララハイディのくだらない挑発にイツキは話をララミーティアに振ってしまう。


「イツキ困り果てて居たわ。一緒に暮らしている同居人の裸が見えるって罪悪感があるのよ。」

「ふーん。ここでは3人しか居ないから気を使っていないだけ。」

「ハイジは美人なのよ?イツキだってそりゃムラムラするわ。だからといって『男の人が勃起してるという事は喜んでいるんだから良いか』なんて極論過ぎるわ。そんなあちこちチラチラ見せるのは良くない。」

「町中では見えないように注意を払っている。だから平気。」

「俺は町中でも同じ感じだと思うな…。」

「ミーティア集落に行って話を聞いたところで有意義な意見が出てくるとは思えない。まぁ行こう。カツサンドを食べたら。」




ララハイディの希望通りにカツサンドを食べ、3人は早速ミーティア集落まで飛んできた。

集落に着いたら早速井戸の周りに女達が3人集まっていたので、3人はそのまま輪へと近づく。


「こんにちは。」


ララミーティアが声をかけると女達は笑顔で挨拶を返してきた。


「ティアちゃん、それにみんなもこんにちは。何か用?」


まず声をかけていたのはノラという栗色の長いウェーブのかかった髪を流し、緑色の瞳をした女だ。

姉御気質で、困りごとが起きたときには大抵ノラが出てきてみんなを取りまとめている。

他の住人もそうだが、ミーティア集落に旦那と息子と3人で移住してきただけあり、亜人に対して全くと言っていいほど差別意識がない。

その中でもノラは特に面倒見が良く、保護された亜人や元奴隷たちを甲斐甲斐しく世話していた。


「そうなの。実はハイジの服装なんだけど…。」


ぼさっと突っ立ったままのララハイディに全員の視線が集まりつつもララミーティアがララハイディのファッションについて説明を始め、やがて早速議論が始まった。


「そうかい…、そうだったんだね。私も最初ビックリしたよ。だって本当にチュニックしか着てないんだよ!?下もスカートも穿く気配もないしさ…。スケベな私の旦那も息子も「服を買う金がないのか…?母ちゃんの昔着てた服をくれてやれよ」ってオロオロ困惑してたよ。でもさ、ハイジちゃんは森エルフだろう?今まで森エルフなんて誰も見たことがないからさ、てっきり伝統的な衣装なのかと思ってみんなで納得していたよ…。」


ノラはまじまじとララハイディの格好を見ながらそう呟いた。


「そうだよねえ、だって随分古めかしいチュニックをスカートも履かずに単品で着ているんだから、森エルフは上半身だけ服を着るような軽装で過ごすんだなぁって思ってたわ…。自然を愛する種族だろうし、ヒラヒラ中身が丸見えだったけど、流石に慣れてるんだなーって…。」


頬に右手を当てて眉を八の字にしてそう呟くのはアンナだ。

アンナは明るい金髪を肩まで伸ばしており、瞳の色は緑色をしている。

みた感じとても若く見えるのに夫との間に3人も男の子が居て、やんちゃな子供達を豪快に叱り飛ばしている姿をよく見かけていた。

華奢で儚く見える女だったが、夫の耳を引っ張って引きずっていたり、子供達の尻をバンバン叩いていたりと、見ていてギャップが面白いお母ちゃんだった。


「チュニック一丁だもんね。ティアちゃんも真っ白で長い丈の貴族様の普段着みたいなワンピースを着るでしょ?だから、エルフってやっぱりそういう感じなんだとばかり…。スタイルも抜群だし、ねえ?服の中がいつも見えてたけど、見られても自信があるから堂々としているのかなって。種族によって価値観って違うし…。」


最後にそばかすの多いマチルドが照れ臭そうに言う。

マチルドは現在妊娠中で、お腹もかなり大きくなっていた。

髪の色も瞳の色もは燃えるような真っ赤な色をしており、その吊り目やそばかすから苛烈そうな印象を与えるが案外小心者で、よくノラとアンナとこうして連んでいる姿を目にしていた。

妊娠中という事もあり、ミーティア集落へ行くとララミーティアは決まってマチルドと旦那のマテオの家へ行っては、妊娠についての体験談を熱心に聞いたり、大きなお腹に耳を中てさせて貰ったりしていた。


やはり集落の中でもララハイディは有り得ない裸同然の露出度であちこちうろついているなと認識されては居た。

しかし森エルフを見たことがある人族なんて滅多に居るものではない。

誰もがララハイディの服装に違和感を覚えつつも『森エルフとは裸に近い格好で暮らすそういう種族なんだな』という何とも悲しい誤解が生まれていたようだ。


一連の話を聞いたララハイディは段々と顔を茹で蛸のよう真っ赤にし、耳を千切れんばかりにピコピコさせて俯いてしまった。


「わ、わ、私は…、露出狂のような格好で…、ひゃひゃ百年近くもあちこちウロウロしていたの…?しかも普通にしていれば見えていないとばかり思っていた。みみみみんなに丸見え…。見えてないと思ってたから恥ずかしく無かった。」

「いやぁ、えーとね?ハイジちゃん丸見えだったよ…。うちの旦那なんかもスケベ心よりも、逆に見たら何か裏から誰か出てきて脅されそうで何だか怖いって…。」


アンナが苦笑いを浮かべながらそう言うと、他のノラとマチルドも頷く。


「私、とんだ変態だった…。たまに行く町でも凄くチラチラ見られるから…森エルフはモテるんだとばかり。ど、どうしてララアルディフルーは『あんた変だ』って指摘してくれなかったのか…。恥ずかしい…。私、恥ずかしい…。みんな…どうしよう…?どうすればいい…?」


ララハイディが珍しく泣きそうな表情でみんなの顔を見る。


「だって…、アリーは魔境の森に千年近く引きこもっているのよ?ハイジの格好がおかしいかどうかなんて、そんな事わかるわけ無いわ。アリーが大陸を旅していたのは千年前よ?最近のお洒落に敏感なお婆さんだと思う?」

「アリーってあの魔女様の事だろう?昔婆さんから聞いた話だと黒いローブをすっぽり着ていたそうじゃないか。魔女っぽいしハイジちゃんも一着貰えば良かったのに。」


ララミーティアの的を射た回答やノラの何気ない感想にララハイディは益々縮こまってしまい、最後にはしゃがみ込んで膝を抱えてしまった。


イツキはしゃがんで丸見えになった股が見えないようにララハイディの隣にしゃがみ込み、肩に手を置いて励まそうとする。

そうすると今度は胸元から胸が見えそうになり、全く関係ない方向を見ながらも必死にララハイディを励ます。


「ほ、ほら!みんな森エルフなんて見たことないからさ!『そういうもんなんだなー』ってくらいにしか思ってないよ!平気平気!変態ではない。それに百年近く前だったら、その頃の人族はみんな死んでるし!ね?最近見かけた人は…ま、まあさ!ほら!ねっ?とにかく元気だしてよ!」

「私は…、長年かけて森エルフは露出狂の変態だと地道に宣伝してあちこちを回っていた…。知らなかった…。人の服装なんて気にしたことなかったし…、もっと気を使えば…。どうして誰も教えてくれなかったの。私モテるって勘違いしちゃった…。」


このままたとかびが生えてしまいそうなララハイディを見かねて、女達がララハイディを立ち上がらせてどこかへ連れて行く。


「よしっ!ほらほら!私達の余った服をあげるから元気出して!さ!着替えよう!みんなもそれでいいだろう?」


ノラがアンナとマチルドに声をかけると、2人はワクワクした表情で頷く。


「そうだよ!みんなで寄せ集めれば大丈夫だよ!ほらほら!」

「ハイジちゃんスタイル良いし可愛いからおしゃれさせ甲斐がありそう!」


そう言ってララハイディはウキウキしている女達に背中を押されてノラの家へと消えていった。

残されたイツキとララミーティアはホッとしてお互いの顔を見合わせた。




あれから女達は一旦ララハイディを押し込めた家から駆け足で出てきて、自分達の家から服を持ってきて戻ってきたりと慌ただしくしていた。

暫くして先程の女達が家の中からゾロゾロと出てくる。


「ハイジちゃんに普通の服を着せたよ!ほら、ハイジちゃん!出ておいでー!」


ノラの呼び声を受けてララハイディが恥ずかしそうに無表情ながらも頬を赤くしながら家の中から出てくる。


ララハイディは肩が出ている白いブラウスの上に黒いボディスを着て、紐によって腰の辺りをギュッと締め上げ、丸出しと言われていた下半身には緑がベースのレイヤースカートという長い丈のヒラヒラしたレイヤー状に重ねられたスカートを着ていた。

腰の辺りには革のベルトもアクセサリとして巻かれており、地球のファンタジーもので言うところの酒場や冒険者ギルドにいるような威勢のいい女といった格好だった。


「まぁ!随分可愛い服を着せてもらったわね!良いじゃないの!」


ララミーティアがパッとララハイディに駆け寄って抱きつく。

ララハイディは耳をピコピコさせながら怖ず怖ずと答える。


「ほ、本当に可愛い?こういう格好は初めて。凄く楽しい…かも。」

「いやぁ、いいね!良かったじゃないの。しかし皆さん本当に貰っちゃっていいんですか?」


ララハイディを誉めつつも、何となく安物ではなさそうな服装に少し心配になるイツキ。

しかしノラを始め3人は誇らしげに胸を張る。


「いいのいいの!私達結婚して子供もいるでしょ?マチルドは妊娠中でこれからお母ちゃん。ハイジちゃんにあげた服は結婚前に着飾っていた勝負の服なんだよ。もう私達には若すぎて恥ずかしくて着れないんだよ。」


ノラがそう言うとアンナもうんうんと頷く。


「そうだよねぇ、ちょっと流石に恥ずかしいわ。でもね、スタイルが良くて可愛いハイジちゃんに着てもらえると、旦那を引っかけるのに一生懸命だったあの頃を思い出すの。ハイジちゃんはこれから先もずっと若いままだから、たまにこうして見せてもらえると嬉しいなって思うわ。」

「そうね。アンナ良いこと言うね。私も旦那に会う時にそのボディスを一生懸命締めてさ、少しでもよく見られたいって頑張ったなー。」


3人の意見にララハイディは感激したのか輪の中に突入し、3人それぞれの頬にキスをし始めた。

突然貰った森エルフの口付けに顔を真っ赤にする3人。


「みんなありがとう。みんなから貰った大量の服は全部魔法でしっかり保護して大事に着る。みんなの思い出が詰まった服、とても暖かい気分になる。本当にありがとう。みんな大好き。」


ララハイディはこれまで見たことがない程に満面の笑みを浮かべ頬を染めていた。

一同はつい見とれてしまい、やがて服を贈呈した3人は顔を赤くし照れながら答える。


「いいんだよ。それより他のも着てみるかい?」

「お洒落するのって面白いでしょ?」

「やってみたい!是非お願いする。」


そうしてララハイディのファッションショーが始まった。

やがて遠巻きに見ていた住人達も集まりだし、ララハイディファッションショーはすっかり大盛況になってしまった。

集まった群衆に当初は照れていたララハイディだったが、歓声が気持ちよかったのか後半はノリノリで着飾ってはみんなの前を澄まし顔で歩き回っていた。


ララハイディはエプロンドレスやピナフォアドレスなどで可愛らしい格好をしてみたり、長い丈のワンピースや他の色のボディスとレイヤースカートなどに変えたりと、服のバリエーションが何十倍にも増える結果となった。

元々稀少種族な上に無表情で無口そうで取っ付きにくそうな反面、実はお喋りで冗談大好き、更にはすぐ浮かれてノリノリになるひょうきんなお調子者のララハイディは益々ミーティア集落の人気者になった。




ララハイディがノリノリでファッションショーを開いて大盛り上がりしていた時、集落の壁作りから戻ってきたガレスとルーチェにシモンが何事かと群衆を掻き分けて入ってきた。


「おや、ハイジさん。おー、服を貰ったんですか?良かったですね。」


澄まし顔でスースー歩いているララハイディを見てシモンが声をかける。

ララハイディは上半身をぐりんと捻ってシモンを見つけ、コクコクと頷く。

ルーチェが目を輝かせながらララハイディに飛び付く。


「良かったねぇ、ハイジ可愛いねぇ!」

「みんな服をくれた。とても嬉しい。心が暖かくなった。」


ガレスもやってきてララハイディを誉める。

ガレスとルーチェの姿にイツキとララミーティアもニコニコしながら近寄っていく。


「ハイジもちゃんとした服を着ていると様になるね。凄くいいと思うよ。」

「前はシャツ一枚で裸んぼみたいな格好してたもんねえ!これで冒険者組合でシャツ一丁の『ろしゅつきょー』って呼ばれなくて済むね!」

「あっ!こらルーチェ!それを言うな!」


ガレスが慌ててルーチェをララハイディから引き剥がして口を塞ぐ。

イツキとララミーティアはニコニコしていた表情をひきつらせて足を止める。


「モガッ!モガッ!だって初めてハイジが来たときシモンが説明してくれたよ?モガモガッ!ぷはっ!「あの方は恐らく冒険者組合で有名な『ろしゅつきょー』でしょうね。シャツ一丁とは耳にしていましたが、何と森エルフだったのですね」って。裸んぼみたいなカッコをろしゅつきょーって言うんでしょ?ルーチェだってそれくらい知ってるよ!」

「そそそうだけどそうじゃないんだ!ほ、ほら!行くぞ!じゃあねハイジ、ちょっと忙しくてさ、ははは。あー忙しいんだなぁ俺達って。あー。」

「モガッ!モガモガッ!」


暴れるルーチェを抱きかかえてガレスが気まずそうに群衆の中に消えてゆく。

シモンも気まずそうにして「はは…いやぁ」と言ってそそくさと消えてしまった。


イツキとララミーティアはララハイディの肩に手を乗せて必死に励ます。


「ま、まぁいいじゃないの。どうせ冒険者組合の冒険者なんて毎日顔を合わせる訳じゃないんだし。その格好をしていればそのうち他の森エルフと勘違いされるわよ…。ね、ねぇイツキ?」

「そうだ…よ!そうに決まってるさ!な?えーと…、あれだ…。ほ、ほら!ノラさん!次の服行ってみようか!」


話しを振られてノラ達は慌ててララハイディの肩を持ってノラの家の中へと消えていった。


「やっぱり私、有名人だった…。露出狂の森エルフ…。もう他の森エルフに会えない…。」

「そ、そんな事ないさ!きっと世の男どもはムラムラしながらハイジちゃんを見てたからそんな名前がついたのさ!ねえ?」

「そうね!悩殺してたと思えば、うーん。」

「気持ちを切り替えて次の服を着ましょう!ほらほら!」


3人に抱えられながら暫くの間ノラの家から出てこないララハイディだった。

群衆もそっとしておこうとやがて散り散りになって、ミーティア集落は元の静けさを取り戻した。




ちなみにララハイディが大量に抱えていたブカブカチュニックは集落の男達が「魔法がかかっていて頑丈だから野良仕事をするときに丁度良い」といってあっと言う間に欲しがるものが殺到し、忌々しい在庫は捌けてしまった。


ミーティア集落で時々ララハイディのチュニックを着ている男を見かけるが、屈強な男が着るとジャストフィットしており、イツキとララミーティアは「やっぱり男物の服だったんだな」と心で思うのだった。

面白かったという方はブックマークや☆を頂けますと幸いです。


ボディスやレイヤースカートについてはGoogleででも検索してみて下さい。まんまファンタジーものに出てくる酒場の女のような格好です。

エプロンドレスは不思議の国のアリスでアリスがしているエプロンの様な物をそう呼びます。

ピナフォアドレスとエプロンドレスと似ていますが、もう少し落ち着いたイメージの物です。


物語の舞台的に、一般の庶民の服装は精々そんなもんかなと思って登場しています。後は普通にチュニックとかですかね。チュニックにボディスを締めて、スカートは長い丈のものみたいな。

典型的な昔のヨーロッパにおける庶民のイメージです。


エルフの服装についてはよく凝った緑っぽい露出の多い服を着ているイメージが強いですが、ああいうのって服を作るのにとんでもない労力とお金がかかりそうなので、ララハイディ以外の森エルフは大抵簡単な古代ローマのようなローブと腰紐みたいなイメージです。

なのでララハイディも人族の町中で普通の服かなと勘違いして長年ローブのようにして着ていたわけです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ