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ダークエルフと暮らす異世界間違い転生  作者: 三沢 七生


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74.建設状況

ララハイディの居候が決まった後、ガレスとルーチェが休憩がてら小屋に顔を出した。


2人とも今まで巨大な壁を作っていたとは思えぬほどに涼しい顔をしており、その表情はまるでさっきまで散歩でもしていたかのようだった。


「イツキ、ティア!そっちはちゃんと普通に規則正しく生活出来てる?」

「ルーチェは出来てないと思うな。イツキとティア、目を離すとすぐイチャイチャするもん。」


子ども達には完全に見抜かれていた事にイツキは開き直ってガレスとルーチェに堂々と告げる。


「正解だ!だから今朝からちゃんと生活しようと誓い合ったんだ!」

「もう、イツキったら!」


ララミーティアは耳を激しくピコピコさせてイツキの腕をグイグイ引っ張る。

ガレスは呆れた顔のままで話を続ける。


「それでちゃんとしようって誓い合って、どうせまたすぐに止まらなくなってヤレヤレ参ったなってなったんでしょ?」

「あはは、ガレス正解だね!」


その先までお見通しだったガレスとルーチェにぐうの音も出ないイツキは、2人をグッと抱きしめた。


「実に素晴らしい!ご名答だよ!正解したそんな君達には、コチョコチョを贈呈しよう!」


イツキはそのままガレスとルーチェを拘束したまま脇をコチョコチョとくすぐり始めた。


「アハハハハ!ルーチェ、コチョコチョ要らない!アハハハハ!」

「ちょっと!アハハ!イツキ!くすぐったい!アハハハハ!」

「そんな嬉しそうに笑ってーっ!子どもは遠慮するもんじゃないぞ?ほれほれっ!」

「嬉しくない嬉しくない!!あはは!!」


そんなじゃれ合う様子を見ながらララハイディはララミーティアの隣で子ども達の感想についてのべ始める。


「この子達は同年代どころか、人族の中でも屈指の強さになっている。無詠唱の集合魔法を見たときには言葉を失ってしまった。」

「やっぱりそうよね…。私はアリーの鍛え方を2人にやってあげたの。あの子達はとても苦労してきたから、率先してのめり込むようにして鍛錬していたの。」


ララハイディはララミーティアを見つめて無表情のまま言葉を続ける。


「あんなデタラメな鍛え方したら強くもなる。ティアはララアルディフルーの秘薬をそんなに沢山持ってたの?」


そういえばまだ召喚の事や諸々の事情について説明してなかったなと思い、ララミーティアは少し考え込むが、この結界の内側に居る時点で警戒する必要もないかなと思案する。


聖フィルデスに目をやると、ニッコリとしたまま小さく一つ頷いていたので、まぁ問題ないかと思って打ち明ける方向で話を進める。


「後でハイジにもちゃんと説明するけど、あの秘薬以外の手段をイツキは持ってるの。」

「あの子達はティアとイツキに鍛えられたと言っていた。やっぱりとても興味深い。鍛えてもらうのが楽しみ。今から顔がにやけてしまう。」


無表情のまま平坦に喋るララハイディ。

彼女なりの冗談なのかなと思ってララミーティアはクスッと笑ってしまう。



時間も丁度昼頃だったので、ララミーティアは小屋の前にレジャーシートを広げ、イツキに頼んでサンドイッチを大量に召喚してもらった。

召喚しているイツキの姿を食い入るように見つめるララハイディだったが、ララミーティアが「平気よ」とイツキに耳打ちしたので、特に気にせず召喚することにした。

ララハイディは「大丈夫。後でじっくり聞く。」といってじっとイツキを見つめていた。


一通り召喚したイツキは、エルフと言えば肉類は食べないのかと思ってララハイディに質問してみる。


「そう言えばハイジ、お肉とかは食べれる?何か食べてはいけないとかある?」

「食べる。肉大好き。食べてはいけない訳がない。」


ララミーティアもそうだが、特にエルフ系種族は草食とかベジタリアンとかという訳ではなさそうだ。

ララミーティアが何気なくイツキに質問する。


「そういえばイツキは私にも最初の頃同じような事を聞いていたわね。どういう意味なの?」


イツキは頬をポリポリしながら口を開く。


「いやぁ、俺の故郷ではさ、エルフって森を愛する種族で、肉食とかを禁忌するというか、森に生えてる野菜とか木の実しか食べないってイメージが強くてね…。」

「そんな訳はない。森エルフは一人や二人だけではない。草や木の実だけでは飢えてそのうち死んでしまう。森エルフは確かに森に住んでいるけれれど、何も森を愛しているから住んでいる訳ではない。世間から身を隠すのに都合が良いから森エルフの里は森にあるだけ。森エルフは人族からすれば一人居るだけで相当な戦力になるから、厄介ごとを避けるためにある程度纏まって代々森に住んでいる。」

「なる程なぁ、森に隠れているから森エルフ、かぁ。」


イツキの言葉に無表情で頷くララハイディ。


「もし仮に森を愛していたら、みんながみんな草や木の実ばかり食べるのは理念と行動が矛盾してくる。愛する対象をモリモリ食べるのは狂気じみている。それに魔物や動物を害獣として狩るけれども、もし肉食を禁忌するあまり狩った物を食べなかったら、肉の使い道が無くてやがて腐ってしまう。」


ララハイディの意見は至極最もで、イツキは「なるほどなぁ」と思わず感心してしまった。

ララミーティアはそんなイツキの表情を見てクスクス笑ってしまう。


「確かにハイジの言うとおりね。肉も食べないとさすがに身体が保たないわ。イツキの居た場所ではエルフ系の種族に対しておかしなイメージがついているのね。」


ララハイディはカツサンドに興味を示し、一口頬張ると無表情のまま耳をピコピコさせながら夢中でモシャモシャ食べ始めた。

そんなララハイディの様子をレタスサンドを食べながら見ていたルーチェはクスクスと笑い出す。


「ハイジもティアと同じね!耳が動いて可愛いの!」


口の中の物を飲み込んだララハイディも無表情のまま反応する。


「私はそこまで動かない方だと思う。動いていてもほんの僅か。ティアこそ照れると千切れんばかりに動かしていた。」

「ふふ、ハイジは相当動いてるわよ。」


ララミーティアが笑いながら切り返す。

それを聞いていたガレスがララミーティアに質問をする。


「ねえ、自分でさ『今耳が動いてるなー』って分かんないものなの?」

「うーん、動いてるなぁって気はするけれど、ちょっとくらいかなって感じかしら。」


それを聞いてルーチェがケラケラ笑いながらララミーティアに指摘をする。


「あはは!ティア耳動くのちょっとじゃないよ!イツキと居るといつも凄い動いてるよ?照れても動くし、イツキとイチャイチャしててもずっとゆっくり動いてるし、イツキにイタズラするときも動いてる!」

「えー?そんなに?何だか恥ずかしいわ。」


ルーチェがコロコロと笑っているのを見て自らの耳に手をそっと添えるララハイディ。


「私もあんなに動いてる?全然そんな気がしない。確かに恥ずかしい。顔が赤くなりそう。」


相変わらず無表情のまま平坦に喋るララハイディ。

イツキはハハッと笑いながらララハイディに向かって口を開く。


「ハイジは表情よりも耳で今どんな気持ちなのかが分かるね。」

「ティアちゃんもハイジちゃんも、エルフ系の種族は本当に可愛いらしいですね。ピコピコ動く耳を見ていると思わず触ってみたくなります。」


皆の様子を見守りながら卵サンドを食べていた聖フィルデスが微笑みながら自分の耳に手をやる。

ララハイディが聖フィルデスに無表情のまま耳を見せる。


「別に触られても減るものでもない。触りたかったら好きなだけ触っても構わない。どうぞ。」

「えっ!あらら、本当に良いんですか…?私、実は割と本当に触ってみたかったんです…。では失礼して…。」


ララハイディの少し動いている耳を恐る恐る触ってみる聖フィルデス。

触っても良いと言われて少しだけ目が輝いているように見える。


聖フィルデスの手がララハイディの耳に触れた。


「んっ、ふぁー…、んんっ!はぁぁ…。あああ…。」


ララハイディは口を半開きにして頬を赤く染めながら恍惚の表情を浮かべてゾクゾクと悶え初める。

その声は先程までのAI音声のような物ではなく、到底子供達には見聞きさせたくない艶めかしい吐息混じりのかすれ声だった。


想像とは遥かにかけ離れたリアクションに思わず驚く一同。

ララハイディは本人も予想してなかった反応が自分から出てきてしまって、茹で蛸のように耳まで顔を真っ赤にさせ、耳を激しくピコピコさせたまま俯いてしまった。


聖フィルデスも無表情のままで触らせてくれるとばかり思っていたようで、思わぬリアクションに驚いてサッと手を離してしまう。


「…想像と違う反応をしてしまった。本当に恥ずかしい…。」

「あらら、何というかごめんなさいね…。」


何だかそれぞれみんな照れ臭くなってしまい、どこかぎこちない昼食は淡々と続いた。




昼食後にガレスとルーチェの作業している現場へと行ってみると、丁度集落の中で手が空いている人々が新しい穴を掘っているところだった。


「俺達のペースが思ったより早くて穴が追いつかなくなる事があるんだ。別に土魔法で穴くらい開けるよって言うんだけど、自分達にも手伝わせてくれって言うから、穴掘りは任せてるんだ。」


ガレスが穴を掘っている人々に挨拶をして、一同に説明をする。


「でもルーチェは穴掘ってるみんなに身体強化とかかけてるよ!」


ガレスとルーチェの頭を撫でながら工事の進捗を見るイツキ。

既に集落の半分くらいは覆いそうな壁を見て、思わず感嘆の声が漏れる。


「いやぁ、本当に凄いな…。まぁそんなに急務って訳じゃないんだし、みんなでのんびりやるといいんじゃない?」

「そういえば壁の上に塀は作らないの?せっかくなら弓とか魔法が打てるようにね。手持ち無沙汰になった時にやってみたら?」


ララミーティアがそう口にすると土魔法で簡単な階段をあっと言う間に作ってみせる。

ガレスとルーチェは「うわぁ!」と声を揃えて階段に駆け寄る。

イツキはララミーティアの頭を撫でながら再び感嘆の声をあげる。


「ティアは凄いなぁ!こんなに簡単に作れるもんなのか!」

「ふふ、イツキが私の呪いを解いてくれて、いつも傍で守ってくれるから気兼ねなく出来るのよ。」


ララミーティアが子猫のようにイツキの寄り添って甘える。

ララハイディは聖フィルデスの隣でポツリと呟く。


「私も早く強い男に出逢いたい。羨ましい。」

「あれ程の強さの殿方に出逢うのは少々難しいかもしれないですね…。」


ララハイディは聖フィルデスの腕をこっそり掴む。

聖フィルデスはララハイディの突拍子もない行動に首を少しだけ傾げてララハイディを見る。


「また今度耳を触ってもいい。リベンジしたい。」


聖フィルデスは珍しく顔を赤くして周りに聞こえないようにララハイディに耳打ちする。


「急に何ですか…!?も、もし…やるとしても内緒ですよ…!」


聖フィルデスの返事を聞いてララハイディは一瞬だけ微笑んだように見えた。


面白かったという方はブックマークや☆を頂けますと幸いです。


ちなみに集落の壁というものは大抵地面に突き刺した木の柵が普通です。ガレスやルーチェが建設している壁は大陸屈指の強度を誇ってしまい、千年以上経って集落の規模が広大になろうとも中心部を囲う最強の壁としてずっと残ってしまいます。

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