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ダークエルフと暮らす異世界間違い転生  作者: 三沢 七生


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66.歓迎会の始まり

15000PV突破しました。

いつも読んでいただいてありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

ミーティア集落に到着すると既に昼前になっていた。


歓迎会の話で持ちきりになっていた人々は大歓迎といった様子でララミーティアたちに集まってきた。


イツキはシモンと目を合わせ、やがて声を張り上げて話を始める。


「皆さん!本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます!私の妻ララミーティアを心より慕って下さる、このミーティア集落の皆さんを我々の結界の中の仲間としてお迎えすることができ、本当に嬉しく思っています!活気あふれる皆さんであれば、すぐにこの集落もより素晴らしいものになると思っております!」


人々がじっとイツキのスピーチに耳を傾ける。


イツキは注目を集めていることに少し緊張して、咳払いを一つして話を続ける。


「秋頃からこの地に移住してきた皆さんにとって、便利な町からこの地の開拓というものは何かと不安が多いかと思います。この地に逃げてきた方々も同様です。でもどうか気軽に私やティアに遠慮なく相談して下さい。皆さんの今後の活躍を心より期待しています。厳しい冬を乗り越えた皆さんであればきっと今後も素晴らしい発展を遂げられると考えてます!本日はこの出会いをキッカケとし、ささやかではありますが、皆さんを歓迎する催しを開催したいと思います!」


当たりは割れんばかりの拍手に包まれた。

ララミーティアも感極まってイツキの腕に抱きついて寄り添う。

シモンがイツキの所まで頭をペコペコと下げながらやってくる。


「いやいや、素晴らしい演説でした!まるで町長や領主の演説を聞いているような気分になりました!我々感無量です!」

「そうね。凄く立派だったわ。練習してた素振りなんて無かったのに、よくあんなにスラスラ堂々と喋れるわね。かっこよかった…、素敵!」


集落の人々も口々に賛辞を述べてくれるので段々気分が良くなるイツキ。


その後、ガレスとルーチェを自分達の子供として紹介し、ベルヴィアと聖フィルデスについては魔境の森を調査している古くからの友達として紹介した。


その後イツキは次々に大量のテーブルの椅子を召喚して集落の開けた場所に配置していった。

ララミーティアも手際良く予めイツキが召喚しておいた物を盛りつけなおしておいたオードブルをアイテムボックスから取り出し、各テーブルに並べていった。


食べ物についてはこちらの世界でギリギリ違和感のない、どうにか言い逃れ出来そうな質素な料理が多かった。

イツキは質素すぎるのではないかと心配したが、ララミーティア曰わく「こちらの世界では十分豪勢よ」と言っていたので、ガンガン召喚していった。


この世界縛りで行くと寿司はもちろんの事、揚げ物や蒸し物など、地球でいうパーティーで出てくるようなスタメンが殆ど出せないので、肉や野菜の焼いた物メインの大規模なバーベキューといった様相だった。


こちらの世界では『乾杯』に該当する掛け声がなかったようで、イツキの「それでは皆さんどうぞ」の声で盛大な歓迎会が始まった。


今回は酒も多めに用意しているので、出来ればララミーティアの傍にいたかったイツキだったが、酔いが回る前に演奏でも披露しろとベルヴィアが唆してきて周囲が盛り上がってしまったため、弾き語りに忙しくなってしまった。



「聖女様聖女様!私達に是非2人の馴れ初めを聞かせて下さい!」

「私もすっごい興味ある!」

「とても素敵な馴れ初めなんですよね!?聞きたいですー!」


ララミーティアは集落の女性連中に捕まってしまって、その後ろにガレスとルーチェがついて行く形になった。


やがてガレスとルーチェにも集落の子供たちが声をかけてきて、珍しく子供らしくワイワイと走り回っている姿をイツキも遠くから見かけて微笑ましく感じるのだった。


(ヤバ!忘れてた…!ティアマズいな…、ガレスとルーチェがティアのマークから外れた…。ベルヴィア!気がつけー!ベルヴィアー!)


イツキがふとララミーティアが単独で会話の中に行ってしまった事に気がついて料理に夢中になっているベルヴィアに慌ててアイコンタクトを送った。


聖フィルデスが先にイツキの視線に気がついてベルヴィアをつつき、とりあえずベルヴィアもグッドサインを出していたので、心の中で胸をなで下ろすイツキだった。


やがてイツキの弾き語りに合わせて集落の面々も踊り始めたので、気分が乗ってきたイツキはララミーティアの心配などすっかり忘れて、アップテンポな曲を披露してすっかり演奏に溺れてしまっていた。



しばらくして演奏が終わり、イツキがララミーティアの事を思い出し、楽しくやっているかと思って人だかりの方へと向かう。

そこには口に酒瓶を突っ込まれて気絶しているベルヴィアと、ララミーティアにすがりついてオロオロしている聖フィルデスが居た。


「ティアちゃん、その辺にしておきましょう?ほら、みんな困ってるわ…。」

「がはははは!なーにいってんれすか!もりあかるのはこれからら!いくぞーーー!」


ララミーティアはそういうと聖女の十字架を出現させて空に向かって光の花火を乱射する。


周囲も酒が入っているせいか困惑どころか割れんばかりの歓声で大盛り上がりだ。

周囲の人々がどんどんララミーティアを唆していく。


「ティアちゃん凄いーーー!もっともっとーーー!」

「さすがティアちゃんだ!うはは、綺麗綺麗ー!」


周囲も聖女ではなくティアちゃんティアちゃんと呼び始めており、気分を良くしたララミーティアがフラフラと歩き出す。


「あっ!わらし!いいこと!おもいついた!」


ララミーティアが千鳥足でそう叫ぶと、両手をバッと前に出して再び叫ぶ。


「しょうかん!わらしのこやぁー!」


何とあれだけ違和感のあるものは避けようと言っていたにも関わらず、ララミーティアが自身の小屋の召喚を乱発し始めた。


「ティア!わーっ!ストップストップ!」

「あはは、いえ!いっぱいでてきた!あはは!」

「おい!ベルヴィアも処理するなよ!」

「…承認……承認……承認……。」


ゲラゲラ笑いながら空いたスペースにガンガン自分の小屋を召喚していくララミーティアと、意識が朦朧として横たわったままブツブツと承認行為をしてると思われるベルヴィア。


集落の人々は「神の御業だ!」と興奮して小屋が出現する度に大歓声をあげていた。

益々気を良くした酒乱モードのララミーティアはフラフラ歩きながら次々に小屋を召喚して回る。


聖フィルデスとガレスとルーチェはイツキに駆け寄って事情を話す。


「ごめんなさい、ティアちゃんがこんなにお酒に弱いとは思わず…。私、たまにはってベルヴィアちゃんを窘めてしまったわ…。」

「イツキ!先に言ってよ!大人だからお酒くらいいいかなと思って勧めちゃったよ!豹変してから手が着けられなくなってるよ!」

「ティア、ベル隊長に『つまんねぇやつだな!』って言って無理やりお酒飲ませてたよ?」


根回しに失敗したイツキはオロオロしている3人に頭を下げる。


「ごめん!忘れてた!後は俺が何とかするから大丈夫…多分…。」

「あああ!わらしのだんなさまだぁ!!いたいた!みんなみんなみてよ!わらしのすてきなだんなさま!ねえねえ、イツキぃ!んんー!」


小屋を何十軒も建てた後、ララミーティアがイツキの後ろからガバッと乱暴に抱きつく。


「ほらほら、ティア。みんな見てるからちょっと落ち着こう、ね?」

「なにいってるんら!みんなだいかんげいら!ねえ!」


ララミーティアが周囲に水を向けると周囲は益々ヒートアップしてしまう。


「みんなきいて!みんなー!」

「ティアちゃーん!」

「聞く聞く!なーにー?」


周囲が煽りだしてララミーティアが嬉しそうに破顔一笑すると、再び叫び出す。


「わらしみたいなね!『ばけもの!』とか『まもの!』とかよばれてたこーんなおんなをね!イツキは…ひごとよごと、ね!かあいい!とかすきだ!とかずーっといってくれるの!もうね、ずーーーっと!!いっぱいちゅーしてくれるのよ!!ベロをねえ、こう…」

「ちょちょちょ!わー!みんなの前で何言ってるの!?」

「もがっ!!うー!んー!」


慌ててイツキがララミーティアの口を塞ごうとするが、イツキの手を強引に掴むと、自身の頬にギューッと押し付けてスリスリとし始める。


「わらしがせかいで!いちばんね!かあいいって!ぜっせいのびじょだって!えへへ、わらしほんとーーーにしあわせ!!だれもはがたたないくらいびじんだよっていうの!あーっ!しあわせよ!ふふふ、しあわせーっ!」

「わかった!ありがとうな!ティア!俺も嬉しいよ!だからね?ほら!」


ララミーティアが嬉しすぎて喜びが隠しきれないと言わんばかりに顔をくしゃっとさせてニコニコする。


イツキが慌てて中断させようとするがララミーティアは全然止まりそうもないどころか周りの人々と益々ヒートアップしていく。


「まいばん!まいばんよ!?まいばんね、てぃあーてぃあーってわらしをもとめてくるのよ!わらし、あしがね!がくがくになるの!あはははは!いつきったらもうすっっっごいの!」

「仲睦まじいなぁ!羨ましいよ!」

「ティアちゃん幸せ者ねー!」

「いいぞいいぞ!」

「わー!わー!ほら、もう勘弁して…!みんなの前だからほら!ね?ね?」


ララミーティアがイツキの頬に強引にキスをして、満足したのか再び叫び出す。


「イツキとであってからね!わらし!すごくしあわせよ!みんなみて!わらしのだんなさま、こーんなにすてきなの!わらしをだいじにしてくれて、わらしをまもってくれて、わらしをいつもつつみこんれくれて、わらしをいっぱいあいしてくれて、わらしをふつうのおんなのこみらいにあつかってくれて…、わらし、うぅ…。わらし、すごくしあわせよ…。まもってもらえるのが、こんなにしあわせなんて、うぅ…、わらし、しらなかった…。わらし、おんなのこらったんらって…。うぅ…。イツキといっしょにねるとね?あんしんしてぐっすりねむれるのよ。」

「ティア、ほらほら、泣かないの。ね?泣かない泣かない…。」


ララミーティアが急に泣き出した。

会場は波を打ったように静まり返る。

人々は騒ぐことも忘れ、ただじっとララミーティアの言葉を聞いていた。

突如泣き上戸になったララミーティアをどうにかあやそうとするイツキだが、ララミーティアは止まらない。


「わらし!こんなにイツキがすきなのに…、ぜんぜんきもちがつたえられない…!すきですきで、たまらないのに!わらし、だめなおんなよっ!おーいおいおい、こんなにすきなのにぃーっ!」


ララミーティアがイツキに抱きついてワンワン泣き出してしまう。

困り果てたイツキはララミーティアの頭を撫でながら優しい語りかける。


「そんな事を考えてたのか?ティアの気持ちはちゃんと伝わっているよ。心配しないで、ティアから沢山愛されて俺も幸せだよ。ティア、いつもありがとうね。」

「うぅ…、イツキぃ…。すきですきでたまらないよお。すきすぎてくるぢいよお。イツキぃ…。」

「よーしよしよし。俺も好きすぎて言葉に出来ない時くらいあるよ。」


ララミーティアが顔をぐしゃぐしゃにしたままイツキの顔をみる。


「そーなの?いづもこどばでつたえでくれでるよ?うぅ…。ぐすっ。」

「あれでは足りない。全然足りない。だからティアをもっと求めてしまう。」

「わらしも!おなじだ!イツキとおなじ!えへへ、すきすきー!」


ララミーティアはイツキのジャケットに顔をグリグリとこすりつけて、ニコッとするとそのまま唐突に眠り込んでしまった。


「皆さんすいませんでした。ティアはちょっとお酒に弱いみたいで…。さっき出した小屋で適当に休ませるので、どうぞ続けて下さい。」


イツキはそう言うとララミーティアを横抱きにして、周囲に頭を下げてから手近にあった先程召喚した小屋に入っていった。


周囲は今のやりとりに胸を打たれ、自身が亜人だったり元奴隷だったものには思うところがあるのか、それぞれ思い思いに感想を語り合い、歓迎会は夜遅くまで続いた。


その後ケロッと復活したベルヴィアは集落の人々にイツキとララミーティアのエピソードをベラベラと有ること無いこと語り出し、集落の人々の熱狂を再燃させ益々盛り上がりのボルテージを高めるのであった。


面白かったという方はブックマークや☆を頂けますと幸いです。



ララミーティアがかつて持っていた『呪われた血族』ですが、自分より魔力が著しく低いものに恐怖状態のバッドステータス要素を一時的に付与する物でした。

ダークエルフ族は鍛えていなくても人族より圧倒的に強いです。大陸にある殆どの都市は人族社会ですので、ララミーティアには過酷な環境だったという訳です。

とは言え『呪われた血族』による恐怖状態の付与が無くても人族社会での亜人への差別意識やダークエルフ族の独特過ぎる見た目により恐れられたり避けられたり、『呪われた血族』があろうが無かろうが、どの道詰んでいる状況でした。


イツキとの最初の出会いでイツキの魔力が膨大なのに「なぜ私を平気で見ていられるんだ」と警戒していた理由は、まぁそんな感じです。

紺色の肌のダークエルフは人族社会では噂でしか知られていない完全なる異物扱いなので、イツキみたいに普通の距離感で接してくる人が居るなんて信じられないといった感じの反応でしょうか。

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