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ダークエルフと暮らす異世界間違い転生  作者: 三沢 七生


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65.打診

「歓迎会…ですか?」


きょとんとしながらそう聞き返すのは、ミーティア集落の代表のシモンだ。


「ええ、こちらの集落も折角結界の中に入ったし、こちらで色々用意して皆さんを歓迎したいなぁなんて思ってまして…。」

「そうなの。もしみんなの迷惑にならないのであれば、だけどね。」


イツキとララミーティアは極力押しつけにならないよう慎重に説明をする。

あくまで今回の主催はこちら側だ。

歓迎しろというニュアンスに取られてしまうのがイツキもララミーティアもとても気がかりにしていた。


「とても嬉しいお話ですが、…しかしどちらかと言いますと、我々の方がお二方を歓迎する立場では…?」


シモンが不思議そうに質問する。

確かに構図としては慕っている聖女様の傍で好き好んで住んでいる人達と、慕われている張本人だ。

しかも慕われている側が過剰な庇護の元に彼らを置いているのだ。


「いやいや!皆さんは忙しいでしょうし、俺達の方が隣人が出来たようで嬉しいなぁなんて思ってまして!」


イツキとララミーティアが照れ臭そうに顔を見合わせてうなずき合う。


「何から何まで恐縮です…。もちろん私達はいつでも問題ありません!ですが、本当に良いのでしょうか…?聖女様たちに得がないような…。」

「私みたいな者でも慕ってくれる人がこんなに集まってくれているから、何かしたいなって思ってるの。それに、私達の子どもも張り切っちゃってね。」

「そこまで仰って頂けるのであれば是非!」


それからイツキたちが想像している歓迎会の規模や内容について具体的に説明し、それであれば集落の方でもいつでも問題ないという話でまとまった。


ララミーティアは最後に集落で困っていることはないかと代表のシモンに質問すると、シモンが集落の家々を見渡してから口を開いた。


「町から移住して来た者共はいいのですが、後から噂を聞きつけてやってきた者たちの住む家の準備が直ぐにとは言いませんが、このままだと追いついていないのです…。」

「そうか、森の木を使うにしても、乾かして使えるようになるまで時間がかかりますもんね。」


シモンが困ったように頷く。


「まぁそれもそうなのですが、魔境の森の木は普通の木より頑丈なので、出来ないという訳ではないけれども、切り倒すのも加工するのもなかなか大変なんです。」

「あら、そうなるとやたら次から次へと受け入れるのも考え物ね。」


ララミーティアは左手を頬に添えて顔を少しだけ横に倒して考え込む。


「それもそうなのですが、ここへやってくるものは虐げられていたような稀少種族や逃げ出してきた奴隷などが殆どで、無碍に追い払うことは出来ないのです。月夜の聖女様の噂を聞きつけてやってきた彼等を、我が身可愛さで我々が追い返してしまえば、聖女様に顔向け出来ないと言う見解でして、納屋で一時的に凌いだりしぱらく持ち回りで同居したり等の工夫をするつもりではいますが…。」


シモンの話を聞いてイツキは一言断りを入れてララミーティアに耳打ちする。


「ねぇ、あれさ…。」

「ひぁぁっ!なな、何するの…!」


急にイツキの息が耳に吹きかけられて顔を真っ赤にするララミーティア。

イツキは笑いながら否定する。


「違う!はは、違うよ!もう、ティアはー。」

「ごめんなさい、つい…。何かしら。」

「えーと………。」


イツキの提案は、広場で乾かし中の木をアイテムボックスから出すフリをして召喚して集落に贈呈するのと、ララミーティアが持っていたテントを召喚で複製してしばらくの繋ぎとして同じ贈呈しようとの事だった。


ララミーティアはシモンに簡潔に説明して、そのまま押し付けるように集落の端の空きスペースにドカドカ置いていった。


こっそり召喚した木がどんなものかシモンでは判断が難しいようで、早速集落で大工仕事の出来る男達が何人か見にきた。


「ここまで乾いていればじきに使えるようになるでしょう。これだけあれば数軒分建てる事が出来そうです。聖女様、イツキ様、ありがとうございます。助かりました。」

「大工仕事が出来る者達もこう言ってますので大丈夫です。本当に何から何までありがとうございます。」


シモンと数人の男達が深々と頭を下げる。


「これくらいいいのよ。何か困ったことがあったらいつでも相談してちょうだい。」

「俺でもティアでもいいんで、本当に気兼ねなく言ってくださいね。」


イツキとララミーティアはむず痒い気分を隠すように照れ笑いを浮かべた。




後日、朝早くから全員で広場に集まって全員に重量魔法をかけるイツキ。

ガレスとルーチェは風魔法で加減を確認すると、割とすぐ順応してあちこち飛び回れるようになった。


ララミーティアは相変わらずイツキに横抱きにして貰いたいと珍しくゴネて結局いつも通りイツキが横抱きすることで決まった。

なのでガレスがベルヴィアを、ルーチェが聖フィルデスを背負って移動することになった。


完全な無重力になると屋外では心配なので、ほぼ無重力という事だったが、ガレスもルーチェも難なく背負ったまま飛んでいたのでイツキは胸をなで下ろした。


空を飛んでいるとき、珍しくゴネた件について刺激しないよう優しく聞いてみたところ、ララミーティアがイツキの腕の中で俯いてモジモジと自身の両手の指を弄りながらそっぽを向いてボソッと呟いた。


「私は馬鹿よ…。イツキがね、ベルヴィアや聖フィルデス様をこんな風に抱きかかえて飛ぶ姿を思い浮かべたら…心の中がゾワゾワ、胸騒ぎがして我慢できなかったの…。イツキに嫌われたくないのに、私…本当に欲張りな馬鹿よ。」


そう言うとララミーティアはイツキの首に手を回してギュッとしがみついた。


「はは、可愛い嫉妬だな。嬉しいよ。ティア大好きなこの俺にやったら余計に好感度が上がるだけだよ。」

「…本当?」


ララミーティアが手をゆるめてイツキを上目遣いでじっと見る。


「そりゃ本当に決まっているよ。だって、こんな絶世の美人が嫉妬して俺を独占しようとするんだよ?そんな心配する必要ないくらい可愛くて綺麗で魅力的なのにさ。俺のこと好きなんだなって感じて胸が高鳴る。こんな幸せな事ないよ、本当に。」

「私なんかそんな美人なんかじゃないわ。普通がどうなのか分からないけれど、こんな一々嫉妬しているなんて、私重たいわ。」


イツキは困った顔でララミーティアに苦笑いを送る。


「私なんか?ティアは自分に自信がなくて嫉妬するタイプだなー。」

「自信?…確かにないわ。それはそうよ、だって私…。」

「ストップストップ。自分にない物を持っている他の女性に俺の気持ちがフラフラ~っと綿毛のように飛んで行っちゃうんじゃないかって考えてる?」


ララミーティアが驚いた顔でイツキを見る。


「言われてみると確かにそうかも…。なんでわかるの?」

「そりゃわかるさ。私なんかって自分に自信がないから、そうだろうなぁって。」


イツキはララミーティアと額を合わせる。


「見た目はクールで色っぽいのに、本当は可愛くて凄く甘えん坊で、好奇心旺盛で、コロコロ変わる表情も魅力的。笑顔はまるで花が咲いたようで、何でも出来て料理も上手で子供にも優しい。」

「そ、そうかしら…。言い過ぎよ。」


ララミーティアが耳をピコピコさせて照れ笑いをする。


「そうかしらじゃないよ、現にそうなんだよ。そうやって照れたときの仕草最高!本当に!卑怯なくらい可愛いの。さっきの続けるよ?背も高い、スタイルもいい、声も美しい、髪もサラサラで綺麗、瞳も宝石みたいに綺麗、ぷくっとした唇も艶っぽくて目がいく。月夜のような肌はエキゾチックでドキドキさせる。たまに妖艶な微笑みで誘惑してくる。そんな最高の美人がなんと!俺を一途に好き好き言ってくれてさ、矢も盾もたまらなくなるような可愛い嫉妬をしてくるんだよ?もっと自信持ちなよ。いや、あまり持たれると俺捨てられちゃうかもな…。悩ましいな、はは。」

「イツキにそう言われると、胸が高鳴って心が震えるようにドキドキするわ。私、イツキにはそんな風に見えるの?」


ララミーティアが口を半ば開いてとろんとした表情でイツキに尋ねる。


「本当に見せてあげたいよ、目の前にいるこの絶世の無自覚美女を。他の女の人なんてまるで歯が立たないくらい最高の美貌を持ってると俺は思うよ、ティアは。」

「あぁ私、嬉しくて気が遠くなりそう。ありがとう、不安な気持ちなんてどっかに行ってしまったわ。」 


ララミーティアがイツキの首に手を回してギュッと抱きつく。

イツキはララミーティアの頭に頬を寄せてゆっくりと喋る。


「俺はね、ティアがティアだから好きになったんだよ。だからどうか心配しないで、いつだってティアの事だけを見ているよ。」

「私も。イツキ、愛してるわ。いつも私を包み込んでくれるのね…、今とても幸せ。」

「俺の可愛いティア。重たくてもいいんだよ。他なんて気にしないで、そのままのティアで居て欲しいな。」

「…うん。ああ私イツキに溺れたい。もっともっと、ずっと溺れていたい。」


ララミーティアは溢れそうな幸せを零すまいとせんばかりにキュッと目を閉じてイツキの温もりに身を預ける。


「俺もティアに溺れているから2人で仲良く溺れてるね。」

「イツキも私に溺れてるの?」

「ああ、寝ても冷めてもさ、目を閉じたときに最初に浮かぶのはティアだよ。」

「嬉しい。私も同じ。好き!好き好き!大好き!」




「丸聞こえね。好き好き!だってさー。はぁ…。」

「はぁ…だなんて、幸せが逃げていくよ?」


あまりの甘々ぶりに溜め息が出てしまうベルヴィア。ガレスは半ばあきれながらベルヴィアに忠告する。


「しっかし本っ当に仲良いわねぇ。出会った頃からずーっとあの調子よ?これからヘタすると千年近く一緒にいる予定なのにあんなハイペースでイチャイチャしてて飽きないのかしらね。あの2人。」


イツキとララミーティアから少しだけ離れた後方を飛んでいたガレスの背中でベルヴィアが呆れたようなセリフを吐く。

ガレスは軽くハハッと笑う。


「飽きないんだろうね。俺は参考になると思っているよ。」

「えー、ガレスはまだ7歳でしょ?早い早い!早いよ!!ガレスには早いなあ!」


ベルヴィアがガレスに軽く抗議するが、ガレスは話を続ける。


「ルーチェも今はいいけどさ、そのうち自分と他人との違いに苦しむかもしれないよ。その辺にいる他の女の人を羨ましく思う日が来るかもしれない。他との見た目の違いが全てじゃないのにさ。あの笑顔が曇るとき、そんなときに俺はどうあるべきか、イツキを見ているとその時になれば答えがスッと出てくる気がするんだ。」

「ちゃんと考えてるのねぇ、ガレスは本当に偉い!いい子ねー。ルーチェもきっと幸せよ。」


ガレスはイツキやララミーティアとは血は繋がって居なくとも、しっかりと親の背中を見て、その思想を引き継いでいるんだと思うベルヴィアだった。

ガレスはまだ7歳の筈なのに、その瞳ははるか未来を見据えているようだった。


「ルーチェもイツキとティアが仲良いの見るの好きだよ!2人の幸せが移るの。」

「ふふ、ルーチェちゃんもきっとティアちゃんのような素敵な女性になれますよ。」

「ほんと!?やったー!」


ルーチェに背負われた聖フィルデスが優しくそう言うとルーチェは破顔させてぱぁっと笑顔になる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今のうちに船を召喚しとくと良いのでは?自作はまだ無理だよね?新しい加護は何時に?
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