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ダークエルフと暮らす異世界間違い転生  作者: 三沢 七生


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5.自宅

森の中に突如現れた広場には、豊かな大自然の中で明らかに異質なデザイナーズ・トーチカとでも呼びたくなるような真っ白な半円状の家のような物が建っていた。


「これだよな…トーチカかよ!なんか話と違って全然浮いてるんだけど…!」


ベルヴィア本当に大丈夫か?と一樹の頭の中には段々不安が募ってきた。

頭の中の『頑張り屋美人女神ベルヴィア』が『(ある意味)天然美人女神ベルヴィア』に変わってゆく。


「まぁ、この生活感の無いやつだよな…。他にないし。うー、森に溶け込むような山小屋が良かったな…。」


腰に手を当てて考え込んでしまう一樹。


(…とはいえここは異世界。山小屋の方がかえって不自然なんて可能性も否定できないな。不自然故に目立って焼き討ちなんて勘弁だな…)


一樹は大人しくデザイナーズ・トーチカへと歩みを進める。


(しかし、わが家をトーチカって呼びたくないな…。まぁ小屋って言ってたし、こっちの世界では一般的な小屋なんだろうな)


自分の心にそう言い聞かせつつも、とりあえず中に入ってみる事に。


入り口と思われる所にはドアノブも何もなく、一樹は両手をドアにあててみる。


(なんだこれ、押す…んだよな?)


するとドアを押す前に上部にスライドするように音もなくドアは持ち上がった。


「おぉ!すごいな、これも魔法か?」


よーく目を凝らしてみると入り口には緑色のレーザーの様なものがびっしりと張り巡らされている。


(某有名ゾンビ映画のようにレーザーで身体がバラバラになるやつじゃないのか…?本当に平気か?


しかしこの小屋はベルヴィアが用意してくれたもの。

一樹はゴクリとつばを飲み込む。


(流石にそんなクソゲー要素はないよな)


そう思い直して思い切って中に飛び込んでみる。


『身体のスキャンを開始します。オールグリーン。治療の必要はありません。』


どこからともなくAIの声のような無機質なシステムメッセージが流れてくる。


「すごい文明だな、これ何かあったら治療してくれんの!?」


一樹は感心しつつも入り口のアチコチを眺める。


やがて扉が音もなく閉まり、部屋の中が一面の白い壁からガラス張りのようになった。


「わっ、これシースルーになるの?リフォーム番組でこんなガラス張りの家が出てたけど、あれじゃんこれ…。何という事でしょう…。あれ?そっちじゃないっけ?まぁいいや。とにかく…。」


慌てた一樹は内側から扉に触れて開き、上半身だけを外と中と交互に出して確認する。


どうやら外側からはただの真っ白なトーチカにしか見えないようだ。

外から丸見えという恥ずかしい事態は回避したようで、とりあえずほっとしつつ小屋の中に戻る。


外と中とを見比べていて気がついた事が、内側は半円状ではない事だ。

入り口から入って正面はリビングダイニングのような広々した空間で、向かって右側と左側それぞれに所謂普通の地球でも見かけるような扉がある。


壁は当然シースルーなので、急に木製のどこで○ドアが等間隔に立っているイメージだ。


入り口の真正面はアイランドキッチンになっており、部屋の中が見渡せるようになっている。

キッチンにある器具なども、地球で使われて居るものと似ているものばかりだ。


「んー、まぁこれなら自炊も問題なさそうだな。」


胸をなで下ろす一樹。




扉を一枚一枚開けていくと、小屋に入って入って右側の扉はトイレや風呂場に広めのパントリーやウォークインクローゼットなどがあり、左側の扉は全てワンルームのような小部屋だった。


扉の向こうはどこもシースルーにはなっていなかった。


「風呂やトイレがシースルーじゃなくて良かったな…。」


と、胸をなで下ろす。




次にトイレを試した一樹。

特に違和感なく使用出来て、この世界に降り立って一番安心していた。


「水が勝手に流れた…、まるでセンサー付きトイレだな」


トイレを出て安堵のため息をついて、そう呟いた。




「なんか見た目より明らかに広いというか、中と外と形違うな…。これも魔法的な技術なのかな…。しかし快適に暮らせそうだな、これは。」


キョロキョロしながら部屋の中を歩き、とりあえず入口から向かって部屋の左側あったソファに座る。


「そういえばウィンドウで持ち物チェックしてみるか…。」


目の前に出てきたウインドウの中で持ち物と書かれたウインドウを目の前まで持ってくる。


先ほどは見て見ぬ振りをしたが、やはり拾った物の数々の後の方の持ち物が全部文字化けしているのだ。


「ああ、気がつかないフリをしていたけれど、全然読めない…。」


何が出てくるのか皆目見当つかず、これは無闇に部屋の中で中身を出せないぞと思い、慌てて外にでる。


外に出たら、とりあえず手当たり次第に上から選択していく。

すると目の前に透明の液体が入ったプラスチックのような筒と、裸のままで5センチ四方のデカいクッキーのような固形の物がセットになって出てきた。


「なんだこれ…。とりあえず、えーと鑑定出来るんだっけ?」


(鑑定、鑑定…)


そう念じてセットを眺めると、そのセットの上にもウインドウが出てきた。

しかしそのウインドウの文字も文字化けしてしまっていて、何がなんだかさっぱり読めなかった。


「ま、まぁベルヴィアが用意してくれたものだから、飲み食い出来るんだよな?これ…。」


(ま、まぁ…毒になるような物ではないだろうし、もし何かあっても小屋の入り口を通れば何とかなるか)


そう思い、思い切って固形の物を食べてみた一樹。

食べてみるとバタークッキーのような香ばしい味がして、案外腹が膨れる。


「お、うまいぞ。食べ物はなんとかなりそうだな。次はこの液体だけど、どうやって飲むんだろう?」


ふたが開きそうな場所もなく、捻ってみたり振ってみたりしたが、とても中身が飲めそうにない。

本当に円柱の筒だ。

ダメ元でそのまま口に持って行って呷ってみると、冷たい水がのどを通っていく感じがわかった。


「うわ!へぇ、これ便利だなぁ。」


改めて持ち物のウインドウを見てみるが、個数が記載されている箇所の文字化けが全く変化していない。


試しに先程のセットを連打してみるが、ポコポコと次から次ぎに同じものが出てくるだけで、ウインドウ上の文字列は全く変わらない。


「これ、まさか無限に出て来ないか?まぁ今は良かった!くらいに考えとくか…。」


その後も他の項目を選択してみたが、悉く同じものしか出て来なかった。

一樹は目の前の大量の食料を前に腕を組んで考え込む。


(認めたくないが、これバグってるよね?あ、天啓で聞いてみるか!)


スキルのウインドウを目の前まで持ってくると、こちらは先頭に『天啓』スキルがあった。こっちのウインドウは文字化けしていないようだ。


「助かった!『天啓』!……………。」


予め教えられていた通りにスキルを使ってみるが、うんともすんとも反応がない。


「『天啓』!………。あれ、『天啓』!……。いや、筆舌しがたいが使ってる感はあるんだよな…。よし…、連発するしかないなっ!『天啓』『天啓』『天啓』『天啓』!………反応がない…。初日から見捨てられてるのか?神様は天から見守っているものじゃなかったのか…?」


まぁそのうち連絡もつくかなと頭を切り替えて、今度は持ち物の装備品のウインドウをチェックしてみる。

こちらも見事に全部文字化けしていた。


「…まぁ、気持ちを切り替えて装備品部門片っ端から出してみるか…!」


持ち物の中でも隣のタブを選択し、上から順番に項目を選択してみたが、出てくるものは全て魔法使いがいかにも持っていそうな、赤黒い水晶玉のような物がはめ込まれた杖だった。


どの文字化け装備品もこの杖、いくら選択してもリストから消えずに、しかも文字列も変化なし。


困り果てて杖を持ってみるが、乾燥しているようでいて頑丈そうだった。


「これ持ったら魔法が強くなるのか?何か全然変わらないというか…。ま、まぁ薪拾いする必要はなさそうだな…。あれ、でも折れそうもない…!とりあえずぶん殴る用で腰に一本差しておくか。」


試しに杖をへし折ろうとするが、思った以上にしなっている。

ちょっとやそっとでは折れそうもなかったので、一樹はとりあえず腰のベルトの隙間にさすようにねじ込んだ。


「ちょっと格好いいな…。」


一樹はいつでも前向きな男だった。


そんな呑気な一樹の跡をつけ、茂みに潜んでジッと眺める視線があることに、一樹はまだ気がついていない。


やがて、その視線が構える弓は発射の期を熟すのだった。


次回、ようやくヒロインのダークエルフが登場します。

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