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ダークエルフと暮らす異世界間違い転生  作者: 三沢 七生


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2.使命

ある程度投稿予約しております。

投稿頻度などは状況を見て変更しようと思っています。

「ちなみにさ、魔力補充のために行った俺が、膨大な魔力を使っちゃってもいいもんなの?それじゃあ本末転倒じゃないの?」

「ん?いいわよー。平気平気!人1人が使う魔力なんて世界規模で見れば微々たるもんだから。それに、魂の選別の時に一番善良そうで問題を起こさなそうな人をしっかり厳選してるからね。ちなみに魔法はイメージだから、どんな効果かイメージしながら発動するといいわよ。」

「神様たちの御墨付きか。照れるな…。魔法もぼちぼち練習しておくよ。何か楽しみだなー。」

「みんな、魔法が使えるとなると興奮するみたいね。」


色々話をしているうちに素が出て来たのか、最初とは比べ物にならない程に気さくなねーちゃん化しているベルヴィア。

今は一樹と隣同士で地べたに座りながら話をしている。

しかしベルヴィアは空中に浮かんだ半透明な画面に向かってポチポチと何かを入力しながらだ。


一樹は頭の上で手を組んで考えるようにして真っ白な天井を見上げて口を開く。


「しかしまぁ、死んだって言われても案外心残りっていうの?思い残すことってないのな。もっと悲しんだり嘆いたりするもんなのかなと思ったけど、ベルヴィアに会って、良い神様でさ、しかも第2の人生が送れるって言われて、そんなのどうでも良くなったよ。ありがとうね。」

「こっちこそありがと。私ね、新米で、実はこの仕事初めてなの。ちゃんと説明出来たし、すんなり納得して貰えたし、今後の自信に繋がったわ。」


照れくさそうにはにかむベルヴィアが衝撃のカミングアウトをする。

一樹は思わず声を上げてしまう。


「え!新人?なのに1人でやらされるの?プレッシャー凄そうだな!」

「本当はね、転生先?あ、転移の方が正しいかな?死んだから転生か…まぁとにかく、本当は行った先を担当している神様もこの場に立ち会う予定だったんだけど、手が放せないくらい歪みが発生しているみたいで急遽私1人でやれーってなったの。」


一樹は頬をポリポリとかきながら唸る。


「何だか地球の企業とあんま変わんないなぁ。天国もブラック企業か…。世知辛いね。ベルヴィアもこれから先色々大変だろうけどさ、腐らずに頑張ってくれよ。」

「ふふ、ありがと!そうそう、ウインドウ魔法の中で、スキルの欄の先頭に『天啓』ってあるから、困ったときは使ってみてね。管理者の神様が対応してくれると思うから。たまに私も様子を見てるからね。」


ベルヴィアが一樹に向かってウインクする。

気恥ずかしさを隠すようにそっぽを向く一樹。


「うん、覚えておく。そういえば、転生先ではどんなところからスタートするの?」

「ガルノルト機構帝国っていう国の辺境の町アインスってところよ。ここは豊かではないけど、多分この星で一番平和な町ね。郊外の人があまり来ないところに、周囲から浮かない程度の平凡な小屋を用意しておくから、とりあえずそこで暮らしてね。使い方が分かんなくて活用出来ないと意味ないから、お風呂とかトイレとか、地球と差があまり出ないような家具とかも選んで備え付けておくわ。」


確かに風呂トイレがずっと無いとしんどいかもしれない。

一樹はほっと胸をなで下ろす。

至れり尽くせりで恐縮してしまいそうだ。


「本当にありがとう。落ち着いたら早速『天啓』を使うよ。」

「報告を楽しみにしておくわ!」




その後も取り留めのない話をしつつ、一樹はベルヴィアの設定作業と思われるものが終わるのを待った。


それにしても設定作業には時間がかかるようだ。

途中ベルヴィアはどこかへ連絡しようとしているようだったが、ベルヴィアの口から「出ない…」とか「どうしよう…」なんて泣き言が漏れてくるあたり、恐らくフォローすべき先輩が捕まらないようだ。


「…なんか大変そうだね。そんなに色々設定するもんなんだ。」

「本当ごめんね、バグを使った裏技みたいなもんだから、えーと、エラーメッセージみたいなものを処理するのに想像以上に時間がかかっちゃって…。練習の時はもうちょっと直ぐだったはずなんだけど…。はは。ま、平気平気!」


ベルヴィアが焦る気持ちをごまかしながら一樹にそう説明する。

当然よくわからない一樹は当たり障りない事しか言えず、あまりベルヴィアにプレッシャーを与えないよう心がける。


「誰でも最初はうまく行かないもんだよ。俺ならいくらでも待つから落ち着いてゆっくりやりなよ、ね?」

「はは、ありがと!でもただぼんやりしてるだけじゃ退屈でしょ?」


ベルヴィアは申し訳無さそうに眉を八の字にしてみせた。


「いやいや、案外そうでもないよ。こんな美人とそばでお喋り出来る機会なんて滅多にないからさ、むしろもっと時間かかれとすら思ってる!…なんつって。」

「もう!えへへ、でも嬉しい。頑張るね!」

「おうおう、頑張れよー。」


そうしてベルヴィアは再び真剣な顔で目の前の画面と睨めっこを再開する。


(今年俺についた新人くんもこんな風に一生懸命やってたな。どうせ帰れないからってよく手伝ってたけど、俺居なくなっちゃって大丈夫かな)


ふと地球に残してきた数少ない気掛かりが頭の中に浮かぶ。

どうせすぐに交代要員が見つかって、何事もなかったかのように回るのが仕事だ。

心配無用だろうとイツキは苦笑いを浮かべた。


ちなみにベルヴィアは心を読むほど余裕がないようで、汗をかきながら必死に作業を続ける。




「あれだったらさ、ちょっと休憩入れてもいいんじゃない?俺は見ての通り別に急ぐ用事なんてないし、俺に気を使ってるだけなら休憩したってバチは当たらないよ。俺も見てるだけで何も手伝えないしさ…。」


一樹が頬をポリポリかきながらベルヴィアの邪魔にならないよう、作業の合間を狙って言う。


「…初めて対応する人が一樹で良かった。大丈夫よ、あと少しで終わりそう…。あ、ちなみにだけど、魔力が高い弊害について説明してなかったわね。」

「おぉ、弊害とかあるの?」

「まぁ弊害っていうか、寿命が長くなるの。種族差はあるんだけど、転生する人の魔力は総じて高めだから、どんなに値が少なくても二~三百年。ま、普通に考えれば八百年くらいは生きられるかもしれないわね。あと寿命に合わせて見た目も少し若くなるかもしれないわ。だから、あまり同じ人族と暮らすのは難しいかも知れないかなー。」


寿命が長いと何をして過ごせばいいのか見当がつかない一樹だったが、とりあえずあまり地元住民と交流を深めるつもりもなく、スキルを生かして細々と旅暮らしでもするかなと漠然とイメージしていたので、弊害についてはあまり深くは考えなかった。

寧ろ、一樹は現在38歳だったので、高校生くらいに戻れたらいいなぁと呑気に考えるのだった。


「なんだ、そんだけか。ずっと忙しく働いていたからノンビリとスローライフでもするよ。それに俺、人付き合いとか殆どしない人だし。」


一樹がにっと笑ってベルヴィアを見る。

ベルヴィアは「そうね、それがいいわ」と微笑んで作業に戻る。




「終わった~、終わったわ!」


ベルヴィアがすっと立ち上がったかと思うとピョンピョンと飛び跳ねる。


「お疲れ様。本当によく頑張ってたね。俺を送り出したらゆっくり休んでくれよ。」


一樹が右手で拳を作ってベルヴィアに差し出す。

それに気がついたベルヴィアも左手で拳を作って、コツンとあてる。


「これで後は転生するだけよ。準備はいい?」

「あぁ、ベルヴィアと会えなくなるのは名残惜しいけど、いつでも来てくれ。」


一樹がグッドサインをする。

ベルヴィアは頭を少し横に倒しつつニコッと微笑み、真面目な表情になる。


「よし、じゃあ真面目に行くわ。んんっ!百草一樹よ、あなたをこれから異世界に転生させます。転生先において貴殿に幸多きことを女神ベルヴィアクローネが願い奉ります。」


両手を胸の辺りで組んで祈るような姿勢になると、ベルヴィアはふっと宙に浮かび、やがて白い光に包まれた。

一樹も同じく白い光に包まれて宙に浮かび上がる。


「ありがとう!ベルヴィアのこれからにも幸あらんことを!じゃあな!ありがとうー!頑張れよー!程々に!根詰めすぎるなよー!」

「うんー!そうするー!」


一樹がベルヴィアに精一杯両手を振る。

ベルヴィアも女神らしく愛おしそうな笑顔を浮かべ、片手を控え目に振る。


全身がとても暖かく包まれているように感じる。

身体中から光の粒子の様なものが溢れ出してきて、身体の輪郭がおぼろげになってゆく。


(ろくな思い出はないけど、さようなら、地球)


そこで一樹の意識は途切れた。


暫くは様子を見つつ7時と18時に投稿予約をしようかと思います。

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