第7回「恋には花を、化け物には銃弾を」
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第7回「恋には花を、化け物には銃弾を」結果発表
1位 くまくま17分さん 5票
その日の夜は、血塗られたように紅い三日月だった。
帝都が異形の軍勢に蹂躙され、人々の営みが儚く潰え廃墟と化した街の中。
魔物に襲われ逃走の途中で転び地に伏した少年は、禍々しい爪牙がいつまで経っても来ない事を怪訝に思い、恐る恐る振り返った。
するとそこには、無数の銃弾に貫かれ屍を晒す魔物の背に乗った一人の女性。
身の丈程の大仰な銃を提げ、頬を染め陶然とした恍惚を浮かべる妖艶な美貌に血飛沫の化粧を施し、深紅の瞳を狂気で爛々と輝かせながら少年を睥睨していた。
2位 ムッチャーザクッチャー(無茶苦茶さん 4票
その夜、サンフランシスコの深夜に一発の銃声が響いた。
「これが君にしてやれる唯一の贈り物だ」
男は合衆国海軍、特殊作戦群に属する公式には死んだことになっている兵士だ。
この夜、この男は初めて自分の意思で望んで人を殺した。
男が撃ち殺したのは初恋の女を家庭内暴力で苦しめ続ける下衆だった。
3位 orion1196さん 3票
これが殺すということだ、と目の前の男は呟いた。
不気味に歪んだ『かつて人だった獣の残骸』を見下ろしながら、男は不機嫌そうな顔をした。
「どうして、死体に花なんか添えるんですか?」
「無粋な事聞くなぁこのお嬢ちゃんは。まぁなんだ、手向けだよ」
「獣とはいえ元は人間だったんだ、最期くらいは美しくしてやらんとかわいそうじゃないか」と語るその男の顔は、酷く悲しそうだった。
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