SS番外 出会いの物語①
ふぅ、結構苦戦した。
けど、独りでも何とかなったな。
床には、両断したゴーレムが倒れている。
どういう仕組みで動いてたんだか。
まさか鉄製の剣で斬りつけたら、逆に折れるとは思わなかった。
硬過ぎ。
物理で攻略できないように仕組まれてる気すらする。
まぁ、討伐の証が手に入ったから、もうどうでもいいけど。
丁度中級魔法が使えるようになってて助かった。
初級とは違って、実戦で役立つモノが多そうだ。
帰り道で色々と試してみよう。
確か、この奥に魔法陣ってのがあるんだっけ。
ふーん。
これが魔法陣なのか。
ダンジョン内部の妙な光源といい、この魔法陣といい。
妙な仕掛けが多いんだな。
これに乗れば出れるんだけっか。
変な模様の描かれた台座に乗ると、模様の光が強さを増した。
強く、強く、強く。
視界が白一色に染まる。
咄嗟に目を瞑り、そうしてまた開くと、もう外に立って居た。
へぇー、これは便利だ。
どうせなら、王都まで帰してくれればいいのに。
まぁでも、帰り道で魔法を試そうと思ってたんだし、別にいいか。
MP残量にだけ、気を付けないとな。
5日程掛けて、王都へと戻る。
まったく、魔物多過ぎ。
他の冒険者とかが、ちゃんと退治しといて欲しい。
これでやっとBランクか。
いい加減、雑魚退治や草集めに飽きてきたからなぁ。
Bランクはマシなクエストがあるといいけど。
無いなら、さっさとAランクを目指そう。
それにはレベルをもっと上げないとか。
なら、採取系よりも、討伐系を受けたほうが効率がいいな。
東門を抜け、中央広場を目指す。
すぐに見えてくる、無駄に高い建物。
四階建ての冒険者ギルド。
取り敢えず、一階に行けばいいのかな。
それとも、昇級すると上階に行かないと駄目なのかな。
うーん。
手続きを済ませたのは一階だったし、一階でいいか。
いっつも開けっ放しの扉を通り抜け、正面のカウンターに向かう。
「お疲れ様です、冒険者様。ご用件は何でしょうか?」
「Bランク昇級試験、終わりました。えっと、討伐の証とギルド証です」
「……あのぉ、お一人でしょうか? PTのかたは?」
「僕一人ですけど」
「できれば、PTの皆様と一緒に報告を済ませていただきたいのですが」
「いえ、ですから、僕一人だけでやったんですけど」
「……つまり、ソロということでしょうか? えっと、でも、それって可能でしたっけ? あれぇ?」
「宿に帰って寝たいので、早く済ませて欲しいんですが」
「す、済みません! しょ、少々お待ちくださいぃー」
パタパタと奥の部屋へ消えて行った。
もしかして新人なのかな。
手際が悪い。
ハズレの受付嬢だったか。
これ、時間かかるのかなぁ。
大人って面倒臭い。
明日、また改めて冒険者ギルドに来るように言われた。
何か、説明が沢山あるらしい。
実に面倒臭い。
魔物討伐に説明とか要らないし。
採取に関してなのかな。
講習ってのを受けないと、新しいギルド証を作ってくれないみたい。
つまりは、サボれない。
もういいや。
聞いてるフリだけして済ませよう。
大通りを南に向かい、いつもの宿に入る。
「おや? 数日ぶりじゃないか。どこほっつき歩いてたんだい。てっきり死んじまったのかと思ってたよ」
「部屋、空いてますか?」
「ああ。しっかし、相変わらず愛想の無い子だねぇ。ほら、部屋の鍵」
「どうも。あの、これから寝るので、夕食の時間になったら起こしてもらっていいですか?」
「アタシを顎で使おうってのかい?」
「駄目ならいいです。失礼します」
「こら待ちな! ったく、忘れてなかったら声ぐらいかけてやるよ」
「どうも」
「お礼は”ありがとう”さね。言葉遣いはキチンとしな」
「…………ありがとう」
「あと、寝る前に風呂に入っとくれよ。随分と臭ってるからね」
「はい。じゃあ、そうします」
宿屋の女将さん、いっつも元気だな。
悪い人じゃない。
声が大きいのと、世話を焼いてくるのが、煩わしいけど。
料理が美味しい。
それだけが魅力。
他の宿でも構わないはずなんだけど、何でいつも此処にしちゃうんだろ。
あ、新しい剣も買わないとなぁ。
戦闘用とは別に、短剣も欲しいな。
雨避けの服とかあるかな。
部屋の鍵の番号を確かめつつ、やりたいことを思い返してゆく。
っと、この部屋か。
えっと、お風呂に入れって言われたっけか。
着てない服なんて、バッグに残ってかな。
そろそろ荷物も嵩張ってきたな。
服は必要最低限にしないと。
中級魔法は使い勝手がいいし、エーテルも欲しい。
入れたい物は多いけど、入る量は限られてる。
あー、もういいや、お風呂入ってこよう。
明くる日。
朝食を食べ終えて宿を出る。
確か、昼過ぎには集まるように言われていた。
ならそれまでの間に、買い物を済ませておこう。
えっと、剣と、服と、薬だったっけ。
薬はまだいいか。
クエストを受けた後にしよう。
服もまぁ、急ぎで必要ってわけでもない。
雨雲を見かけたらでいいかな。
剣を見に行こう。
丁度、宿屋と同じ南側の大通りに、武器屋もある。
どうせ時間までは暇だし、何軒か見て回ってもいいか。
やっぱり、長剣だとまだ長すぎるな。
短剣から見繕うか。
短めのと、長めのと。
重さはどうしようかな。
軽いのだと動き易いけど、重いほうが斬り易いし。
うーん。
ま、もう少し見て回るか。
鉄製はなぁ……前回折れちゃったし。
鋼鉄製とか、軽くて丈夫だけど、高いんだよなぁ。
手持ちのお金、殆ど無くなっちゃう。
宿代や食事代が消えるのは困る。
どうせ鋼鉄製買えるまでの間に合わせだし、安いのでいっか。
そっか、失敗したな。
買うのは説明終わった後にしとけばよかった。
増やした荷物にげんなりしつつ、一階のカウンターに歩み寄る。
「お疲れ様です、冒険者様。ご用件は何でしょうか?」
「あ」
昨日の受付嬢じゃん。
またハズレか。
「……あのぅ」
「Bランクの説明会を聞きに来たんですけど」
「それでしたら、二階の受付にお申し付けください」
「どうも……ありがとう」
「いえいえ。ご用件は以上でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「本日はご利用いただきありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」
早足で階段へと向かう。
やっとここを昇れる日がきたんだ。
さて、二階はどんな感じになってるんだろ。
期待はすぐに消え失せた。
なんだ、同じ造りなのか。
重さを増した足取りでカウンターに向かう。
「お疲れ様です、冒険者様。ご用件は何でしょうか?」
「Bランクの説明会を聞きに来たんですけど」
「討伐証とギルド証のご提示をお願いします」
「えっと……はい、これです」
「お預かりします。ギルド証は説明会終了後に新たに作成いたしますので、お帰りの際はカウンターまでお立ち寄りください。では、お部屋へご案内いたします」
「分かりました」
此処で説明するわけじゃないのか。
部屋ってことは、やっぱり話が長いのかな。
カウンター横の待合所を抜け、扉をくぐる。
誰も居ない部屋。
机と椅子しかない。
「担当の者もすぐに参ります。お掛けになってお待ちください。それでは失礼いたします」
「……ありがとう」
やっぱり、まだ言い慣れないな。
長い長い説明が終わった。
毒の草がどうとか、毒のキノコがどうとか、毒の鉱石がどうとか。
毒、毒、毒、毒、毒。
ひたすら毒について説明された。
今まで気が付かなかったけど、一階に別の入り口があるらしい。
もしかして、いつも扉が開きっぱなしなのは、そっちと間違えないようになのかな。
毒物を納品する際は、そっちを利用するように言われた。
取り敢えず、それだけは覚えた。
他はもうさっぱり。
まぁ、どうせ採取系のことだし、覚える必要もない。
さっさとギルド証を貰って、魔物討伐に行こう。
主人公は15歳ぐらいの時期になります。
口調や性格とかは、現在とは違って粗野な感じ。
ここまでお読みいただき、有難うございますm(__)m




