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勇者は転職して魔王になりました  作者: nauji
第二章 妖精秘境編 中編
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SS番外 スライムのお留守番④

これにて、スライムのお留守番は完結となります。

 フカフカの目覚めを迎える。


 眼鏡の人間の腕の中から抜け出す。


 すると、遅れて眼鏡の人間がモゾモゾと動き始めた。


 上体を起こした眼鏡の人間が、一点を見据えている。


 視線の先は窓だ。


 つられるように、ベッドの上から窓を見る。


 窓には水滴が無数に付いている。


 ヌレヌレ。


 雨が降ってるらしい。


 昨日見た黒い雲の所為だろうか。






 お昼の散歩に、お山へ行けなかった。


 雨の所為だ。


 ザンネン。


 大人しく、お部屋でお昼。


 果物を食べる。


 ウマウマ。


 いつも果物食べられるとか、ここは楽園?


 眼鏡の人間に感謝。



『アリガト!』


『セワニナル!?』


『マタオネガイ?』



 今日はワンコが妙に大人しい。


 いつもみたく、ボク達をボール代わりにしたりせず、床に伏せたまま動かない。


 勝手に遊ばれるのもしゃくだけど、構われないと、それはそれで少し寂しい。


 暇だからポヨンポヨンしちゃう。


 そばに眼鏡の人間が寄って来た。


 どうやら遊んでくれるらしい。


 ウレシイ。


 眼鏡の人間に対し、一斉に飛び掛かる。


 見た目に反して、眼鏡の人間は素早く手を動かし、三体共を受け止めて見せる。


 スゴイ!


 色々試してみる。


 縦に積み重なって跳ねる。


 上から攻める。


 プニ。


 軽くキャッチされた。


 クヤシイ。


 今度は周囲を跳ね回る。


 我、背後から強襲せり!


 ふわっと横側から手でキャッチされる。


 背後も死角無し!?


 とんでもない人間だ!


 スゴイスゴイ!


 ボク達が手玉に取られるとはね。


 やるじゃないか、眼鏡の人間。


 ちょっと手加減してください。


 時間を忘れて、眼鏡の人間と戯れる。






 いつの間にか、窓の外が暗さを増している。


 もう夜かも。


 不意に、寝そべって居たワンコが起き上がった。


 しきりに耳を動かしている。


 眼鏡の人間も、遊ぶ手を止めて、ワンコを見つめている。


 すると、ワンコがある一点を向き硬直した。


 室内に言い知れぬ緊張が走る。


 ゴクリ。


 ワンコが一鳴きした。


 尻尾をブンブンと、激しく振り始めた。


 どうしたワンコ。


 続いて、眼鏡の人間が立ち上がる。


 どうした眼鏡の人間。


 眼鏡の人間が身支度を整え始める。


 なになに、みんなどうしたの?


 今度はワンコに服を着せ始める。


 いつもの服とは少し違う。


 頭もスッポリ覆い隠している。


 ボク達もいつものバッグに入れられる。


 もう夜なのにお出かけするの?



『オデカケ!』


『サンポ!?』


『ノジュク?』



 ボク達の疑問を余所に、着々と外出の準備が整えられていく。


 何のイベントが始まるのかな。


 ワクワク、ドキドキ。






 雨粒がバッグ越しに伝わって来る。


 本当に、外へお出かけしたみたい。


 何処に行くんだろ?


 いつもとは違い、すぐに揺れは止まった。


 もう着いたの?


 何処だろ?


 しばらく経っても、動きが無い。


 待てども待てども、何も起きない。


 どゆこと?


 不意に、声が聞こえた。



「――ただいま帰りました」



 この声!?


 魔王様の声だ!


 帰って来た!?


 一気に興奮状態になる。



『『『マオウサマ』』』


「おや? スライム達も一緒に来ていたんですか? 良い子で居ましたか?」


『モチロン!』


『モンダイ、ナシ!?』


『オヤド、ハイボク?』


「受付嬢さんに迷惑を掛けたりしませんでしたか?」


『リンゴ、モラッタ!』


『ウマウマ!?』


『ツギモ、オネガイ?』


「もしかして、果物ばっかり食べてたんですか?」


『『『…………』』』


「好物ばかり食べてると、他の物が食べられなくなるばかりか、好物にも飽きてしまいますよ」



 アワワ。


 魔王様に注意を受けてしまった。


 ションボリ。



「では、どうしましょうか。もう一晩、預かって貰いますか?」


『マオウサマ、イッショ!』


『オヤド、カエル!?』


『ハナレナイ?』


「分かりました。宿に戻りましょうか。受付嬢さん、色々とご迷惑をお掛けしたと思いますが、有難うございました」



 やったね!


 魔王様と一緒に帰れる!


 ワーイ!


 バッグの中で跳ね回る。


 やっぱり、魔王様と一緒がよい。


 沢山お話したいな。






自分で書いていて何ですが、スライムの魔王様好き度が半端ない。


【次回予告】

しばらく妖精の住処での話が続きます。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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お読みいただき有難うございます!

『勇者に挑むは無職の少年』 本作の続編も完結!

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