SS番外 スライムのお留守番③
一日飛んで、Bランク昇級試験三日目のお話となります。
あと一話でこのSSは終わります。
目が覚めると、フカフカに包まれていた。
お宿のベッドとは違う感触。
そっか、まだ魔王様は帰って来て無いのか。
ちょっとしょんぼり。
モゾモゾと動くと、フカフカが解除された。
どうやら、眼鏡の人間に抱かれていたらしい。
布団も眼鏡の人間もフカフカ。
眼鏡の人間が起き出した。
ボク達も続いてベッドから降りる。
床では、まだワンコが寝こけていた。
勝機!
今ならば避けられまい!
三位一体、突撃を敢行する。
プニッ。
前足で押さえつけられた。
バカな!?
起きている!?
続いて、顎が上から乗せられる。
『オノレ、ワンコメ!』
『ムネン!?』
『ツブレル?』
三体共、あっという間に、ワンコの枕代わりにされてしまった。
重い……訳でも無い。
大した重さは感じない。
しかし、屈辱感は半端ない。
いつか目に物見せてくれる!
取り敢えず、助け出して欲しいです。
結局、身支度を整え終えた眼鏡の人間に気付かれるまでの間、ワンコに枕代わりにされてしまった。
お昼。
今日もお山に移動中。
ラクチン。
揺れが止まった。
到着したのかな。
バッグが開かれるのを待つが、中々その時は訪れない。
どうして?
『マダカナ!』
『マダミタイ!?』
『マーダー?』
協力し合い、縦に積み上がる。
一番上の個体が、バッグの隙間から外を覗く。
すると、見たことのない人間が立ち塞がっている。
邪魔してる?
早くご飯食べたい。
思わずプルプルしてしまう。
おや?
何とも可愛らしい服を着せられた、ワンコが前に出て来た。
珍しく吠え立てているみたい。
人間がビビって後退りして行く。
ワンコが今にも飛び掛かりそうな体勢を取る。
遂に、人間が何処かへと走り去って行った。
おぉ、ワンコ偉い!
どうやら、人間よりもワンコの方が強いらしい。
つまり、そのワンコを倒せば、魔王様の次ぐらいに強いはず!
打倒ワンコ!
でも、その前にご飯!
結局、何が起こったのか良く分からなかった。
いつもはボク達にも説明してくれる魔王様も、今はそばには居ない。
寂しい。
早く帰ってきて欲しい。
リンゴ、ウマッ!
眼鏡の人間が、またしてもリンゴをくれた。
感謝!
忘れる前にお礼を言っておく。
『アリガト!』
『タスカル!?』
『マタ、ヨロシク?』
相手に通じなくても、気持ちを伝えるのは大事。
また明日も果物よろしくです。
食後の運動に、お山を跳ね回る。
いや、ワンコに追いかけ回されている。
ちょ、待っ!?
『『『ピギャー!?』』』
追い付かれ、中空へと跳ね上げられた。
おのれワンコめ!
枕代わりにしたり、ボール代わりにしたり。
許すまじ、ワンコ!
取り合えず、助けて下さい!
跳ね上げられることで、空に少し近づく。
むむむ?
遠くの空に、黒い雲が見える。
珍しく雨が降るかも。
魔王様、大丈夫だろうかぁぁぁぁっ!?
再び重力に引かれて、地面へと落ちてゆく。
またしても、ワンコに跳ね上げられる。
かと思われたが、身構えていた衝撃が来ない。
――あれ?
瞑っていた目を開くと、そばにはワンコではなく、眼鏡の人間の姿。
すんでのところで、眼鏡の人間がキャッチしてくれていたらしい。
いつもアリガト!
助かってます!
少し物足りなそうなワンコを尻目に、バッグの中に戻されていく。
今日のお散歩は終わりらしい。
散歩どころか、跳ね回されてただけなんだけど。
深刻な運動不足!?
プニプニ具合が気になる。
ここ数日、好物ばかり食べている。
偶には葉っぱや草も食べないとダメかも。
明日はそうしよう。
きっと、多分。
お風呂を済ませて、素早くベットに跳び乗る。
お風呂に入っていて、凄い事に気が付いた。
早く寝る事で、魔王様との再会までの時間が短くなるのだ!
大発見である!
マジヤバくね?
もうこれは寝るしかないよね。
眼鏡の人間は嫌いじゃない。
でも、やっぱり魔王様が一番好き。
お話出来ないのは寂しいです。
早く魔王様に会いたいよぅ。
眼鏡の人間を待たずに、布団の中に潜り込む。
寝るのです。
明日には会えるかな?
一応補足しておくと、スライムはブラックドッグを嫌っている訳ではありません。
また、ブラックドッグもスライムを邪険にしている訳ではありません。
じゃれているだけです。
また、山では冒険者に遭遇して、絡まれていました。
受付嬢さんが対処するよりも早く、ブラックドッグが追い払った形です。
【次回予告】
妖精の住処でのやり取りが続きます。
果たして、声の主は如何なる存在なのでしょうか。
また、まともに話し合う事は叶うのでしょうか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。




