SS番外 スライムのお留守番②
前回の続きです。
一応、3か4で終える予定です。
今回はBランク昇級試験、一日目のお話となります。
魔王様をお見送りした後、再び眼鏡の人間の部屋へと戻って来た。
ワンコは大人しく留守番をしていたようだ。
偉いぞワンコ!
褒めてやる!
『ヨクヤッタナ、ワンコ!』
『エライゾ、ワンコ!?』
『ショウジンシロ、ワンコ?』
ワンコは無反応だ。
床に丸まって、こちらをチラリとも見やしない。
意思が通じないのは分かっているが、何か悔しい。
ボク達は早朝から、魔王様のお見送りに出掛けてたというのに。
未だ、惰眠を貪るとは。
指導!
三体で一斉に飛び掛かる。
衝突する寸前、尻尾で薙ぎ払われた。
『ナント!』
『バカナ!?』
『オキテル?』
壁に軽い音を立ててぶつかる。
一瞥もくれず、迎撃して見せるとは。
恐るべし、ワンコ。
思わずブルブルしちゃう。
昼時になり、ようやく起き出して来たワンコ。
寝過ぎ!
何度か起こそうとチャレンジしたが、いずれも迎撃されてしまった。
眼鏡の人間も起こそうとしないし、今の今まで寝ていた訳だ。
ワンコが起き出すまでの間、眼鏡の人間と戯れていた。
魔王様よりも構ってくれて、嬉しい。
でも、魔王様の方が好き。
早く帰って来ないかな。
眼鏡の人間が絵を持って来た。
見覚えがある。
魔王様が教えてくれた"こみゅにけーしょん"のヤツだ。
床に並べられた絵は二つ。
食事と散歩だ。
ワンコも絵を眺めている。
確かワンコも、魔王様から絵の意味を習っていた筈だ。
お腹は空いている。
果物が食べたい。
でも、お散歩も捨て難い。
すると、ワンコが一鳴きして、前足を絵に乗せた。
片足ずつ、別の絵に乗せている。
ズルい!
二択ではないのか!
『ワンコ、ズルイ!』
『ワンコ、ズルイ!?』
『ワンコ、ゼイタク?』
抗議の声を上げる。
しかし、悲しいかな、誰にも届く事は無い。
あぁ、魔王様。
早く帰って来て欲しい。
取り敢えず、ワンコに倣って、両方の絵の上で飛び跳ねておいた。
眼鏡の人間に連れられて、外へと出た。
絵での遣り取りから、お山でお昼ご飯を取る事にしたようだ。
ボク達は、いつも通りバッグの中。
ワンコは眼鏡の人間に連れられて、一緒に歩いている。
何か、お部屋で服を着せられてた。
ワンコはとても嫌そうにしてた。
でも、吠えたりはしなかった。
偉い!
しばらくバッグの中で揺られ続けた。
不意に揺れが止まる。
バッグが地面へと下ろされた。
どうやら到着したらしい。
外へと跳び出す。
お山だ。
葉っぱも沢山落ちている。
しかし、果物の方が好みだ。
眼鏡の人間に軽くぶつかってみる。
すぐにしゃがみ込んでくれた。
その場で飛び跳ねたり、落ち葉のそばで横にフルフルしてみる。
何かを察してくれたのか、ボク達の入っていたバッグとは別の袋を開いて見せてくれた。
袋の中身は、リンゴだ。
思わずポヨヨンとしてしまう。
素晴らしい!
この眼鏡の人間は出来る子だ。
魔王様からの覚えが良くなるよう、後で伝えておこう。
リンゴを有り難く頂戴する。
ウマウマ。
横では、ワンコが緑色の液体を飲まされている。
アレは美味しいのだろうか?
他に食べている様子も無いし、不思議なワンコだ。
どうせ飲むなら、ジュースが良い。
もしかして、葉っぱで作った飲み物なのかな?
だから緑色なのか?
少し興味は湧くが、確か、魔王様が高いと言っていた気がする。
ワンコは贅沢が過ぎる。
ボク達は我慢しよう。
散歩を終え、無事、眼鏡の人間のお部屋へと戻って来た。
一日は、あっという間だ。
これなら、魔王様が戻って来られるのも、もうすぐかもしれない。
早く会いたいなぁ。
昨日と同じく、少し手狭なお風呂へ入る。
相変わらず、眼鏡の人間は、体に布を巻いている。
取る気はないようだ。
魔王様が正しいのか、眼鏡の人間が正しいのか、分からない。
魔王様が戻られたら、一度聞いてみよう。
お風呂を終え、ベッドに入る。
今日もフカフカである。
素晴らしい。
ベッドは満点だ。
お宿のベッドも、これに換えて欲しい。
ネムネム。
作中、受付嬢さんがブラックドッグに着せていたのは、現実で良くペットに着せているような服です。
冒険者に正体が露見しない為の偽装として、受付嬢さんが用意した物でした。
【次回予告】
本当はこの話で妖精の名前が判明する筈が、話が少しズレ込みました。
次回、妖精の名前が判明します!
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。




