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私は醜い人間が嫌いだ。

駄文ですが読んで下さるとありがたいです。

「おら、小南!さっさと起き上がれよ!」


お腹を蹴られて私はうずくまる。

私以外、皆、皆私を嗤う。醜いから?違う。他の人より優れすぎてるから。自分より優れてたら蹴落とそうとするから。

努力をする事をしないから。

だから、私はそんな人間が嫌で努力した。生まれついての才能も確かに他の人より格段に優れてた。けど、皆はその努力を見ない。正確には見て見ぬ振りだ。自分より優れている人は『才能』だけって思いたいから。


私はそんな人間が嫌いだ。その人間と同じ生命体である自分にも嫌気がさす。蹴落とす為に集団で少数を叩く事も嫌いだ。

だけど、個人がどれほど優れてても数の暴力には抗えない。


私は悪いのかな?努力する事は、人より優れる事は悪なの?だったら私は悪になる。望んで、希望して、羨望して、悪になる。

神がいるなら不公平だ。そんな事は思わない。だって、神なんて信じてる訳は無いんだから。


「おいおい小南ー。急に黙ってどうしたんだよ?あっ、もしかして気持ちよくなってきちゃったのぉ!じゃあもっと徹底的にやんねぇとな!」


その声に同調して他の人間も私を嬲る。


あぁ、なんて醜いんだろう。楽しそうに声を上げて、何回も何回も同じ事を繰り返す。


「また明日もやってやるから!」


「今の小南の顔チョーウケるんですけど!」


それはそうだろう。親が整った顔で産んでくれたけど今は、血は出てるしアザだらけだし。こんな醜い顔を美しいなんて人間はいない。


「親にどう誤魔化せば良いかな。」


虐められることには慣れてしまった。親に悟られぬ様、アザが目立つ所は隠してたけどこんな見やすい場所に何個もアザをつけられては隠そうにも隠せない。

アイツらはそんな事なんて一切考えない。例えそれで自身に裁きが下されようと私を嗤う。


「悪魔がいるなら、私は魂でもあげるから私の願いを叶えて欲しいなぁ。なんてね、そんな事は有り得ない。」


悪魔とか天使とか、そんな物は存在しない。だってそれは結論、人間が生み出した醜い願望に過ぎないんだから。


「そう、人間は醜い。醜い願望を生み出し醜い行動をとる。だが、そこがいい。人間が醜い行動を取るということは必ず感情が生まれる。」


突然、男の声が聞こえたと思ったら辺りは霧が出て黒く染まる。霧の向こうから靴が地面を踏む時のコツコツという音が聞こえる。


私は本能的に恐怖した。私だって人間だ。怖い物は怖い。勉学が優れてるから未知という事に恐怖する。


「その恐怖の感情、負の感情は俺の好みだ。もっとその顔を良く見せてくれ。」


私の後ろに急に現れた人間に顔を触れられ痛みに顔を顰める。


「あぁ、その醜い顔は美しいな。あ、あとな、俺は人間なんてもんじゃねぇよ。」


醜いのに美しい?矛盾してる。私は美しくなんてない。私は人間だもん。生まれた時から醜いんだよ。


「そうだ!人間は醜い!だからこそ見ていて面白い。醜いから力を与えて更に醜くしたい。人間は他と違う優れた事柄を手に入れればその力を振るい更に醜くなる。」


それはそうだろね。だって人間は他よりも優れたい願望が強すぎるもん。


「他よりも優れたい願望か、齢14にしては達観してるな。」


そうでもしなきゃ、こんな汚れた世界では生きていけないから。


「そうか、まぁお前の生い立ちとかはどうでもいいね!さて、本題に入ろう。」


「待って、さっきから私喋ってないよね?」


「なんだ?自分の事すら把握出来ないのか?若年性更年期か?」


えっ、どういう事?何でじゃあ言葉が通じてるの?


「ん?あぁ、自己紹介が遅れていたな。俺は悪魔。地獄の悪魔。『絶望』『不滅』の権能を持つ悪魔の王。セレスタ=ディン=エレフェードだ。悪魔序列第1位の正真正銘悪魔最強だ。」


セレスタ=ディン=エレフェード、この人は


「中二病?」


「ちゃうわ小娘。」


「だって悪魔とか天使とかメルヘンじみた事、信用しろって言う方が難しいよ?本当に悪魔なら何かできるよね?」


「ふむ、喋れる余裕が出来てきたか。まぁ、結論から言って出来るぞ?何をして欲しい?空間転移か?魔術の類か?それとも。」


そう言った悪魔は霧で見えなかった顔を表しその口端を三日月の様に歪め、私の顔に触れてきた。


「こんな事が、お望みか?」


私は思わず顔を顰める。先程散々殴られ蹴られた顔は触れられるだけでも痛いはずなのだ。なのに、痛みは無く、ただ顔に触れられてる感覚しかない。


「ほれ、この鏡で自分の顔を見てみろ。」


そう言って渡された鏡を見ると、怪我なんてないいつもの私の顔があった。


「これで完璧とはいかなくても少しは信じたか?それとも、また何か見せた方が良いのか?」


「これは、信じなきゃいけないなぁ。」


私は心底恐怖しながらそう言う。

すると悪魔は満足そうに頷きその整った顔で満面の笑みを浮かべる。この悪魔は端的に言えば美形だ。それも人智を凌駕した。

髪の毛は銀髪でその瞳はアイスブルー、身長は見た所180cmはあり、体型もスタイリッシュ。そこら辺の人間程度なら見ただけでコロッといきそうだ。


私も結構容姿については自信があったが、圧倒的に劣る。流石は人外だ。


「そう褒めるな。そんな感情よりもっとこう、醜くてドロドロした負の感情がみたい。」


「わざわざそれを望むなんて性格悪。」


「何を言うか。貴様たち人間が生み出した悪魔も俺みたいな感じだろ?七つの大罪、憤怒、強欲、怠惰、嫉妬、暴食、傲慢、色欲、この全てを体現した物が悪魔みたいに語ってるじゃん。実際の所そうなんだけど。」


「貴方は人間が生み出した存在なの?」


「違う、人間に力を貸し与えていて貸し与えたやつが語り継いでこんな風に人間間で伝わっただけだ。」


「そう、なんだ。それと、何で私の所に来たの?」


私がそう言うと悪魔は心底不思議そうにこちらを見て首を傾げてくる。


「貴様が言ったんだろ?『魂でもあげるから私の願いを叶えて欲しいなぁ』と。だから、貴様の願いを叶えに来た。」


「たったあれだけの事で?」


私はこの悪魔がそれだけの事で来たとは思わない。


「疑り深いな、まぁそれだけでは無い。もう1つ、我ら悪魔にとって最高に機嫌が良くなる事を言ったのでな。『神なんて信じてる訳は無い』とな。」


「我ら悪魔は人間の負の感情を見て楽しむ前は、神や天使と殺しあっていたのだよ!」


大仰に手を広げ笑顔で説明してくる。


「結局、その戦いに決着はつかず後に天魔大戦と呼ばれる戦いは引き分けとなった。が、悪魔は常に神を憎む。隙あらば神の使いである天使を殺してな。」


この悪魔はこの悪魔なりに考えてるのかな?でも、人間の願いを叶える意味が分からない。


「貴様…、もう少し理解せんか。初めに言っただろ。人間の醜い負の感情を見たいと、自分の醜さを分かってる貴様ならいつもとは違う感覚が味わえるのではと思ったのだ。」


「それに、貴様神を批判したろ?」


「批判、なのかな?」


確かに神はいないとか思ったけど、それは批判に繋がるのか分からない。


「うむ、批判だな。神は自身の存在を確定する為に人間を必要とする。つまり人間がいなきゃ生きていけない寄生虫の様なゴミ虫だ。だから、神を批判する者は容赦なく天使が殺しにくる。神を批判する者は悪魔にとっての糧となるのだから。」


「糧って、栄養になるの?」


何それ怖い。まだ、生きてたいよ。やりたい事は沢山あるし、知りたい事だって沢山あるんだもん。


「たわけ、何の為に俺が来たと思ってる。…………ふむ、随分と早い到着だな。神の使い風情が。」


突如空から現れたのは、正しく天使、純白の羽に頭上に輪っかがある天使だ。


「こんにちは〜、小南悠雨さん。早速で悪いんですけどぉ、死んでくれません?」


えっ、天使って言うのは人間を導いてくれるんじゃないの?


「人間が語り継いだ天使ならばな。コイツらは神に背くなら殺しすら正義と謳うぞ。さて、小娘。このままだとお前は死ぬ。生きたいか?」


私は死ぬ。冗談なんかじゃない。虐めとは格が違う。私はもっと、生きたいよ!


「そうか、ならば俺の名を呼び契約しろ。貴様の生涯に付き従う代わりに神を批判し続けろ!神を呪え!我が名は何だ!」


「悪魔との契約なんてこれはこれは、死刑確定案件ですねぇ。」


そう言って天使は光の槍を放ってくる。私は目をつぶって叫ぶ。


「セレスタ=ディン=エレフェード!!」


瞬間、辺りを漆黒が包み込む。


「ハッ、悪魔の王が貴様程度の天使風情を相手してやるのだ!感涙して死んでいけ!」


悪魔の王は、心底愉快そうに天使の槍を叩きおった。








ここまで読んで下さりありがとうございます。

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