【漫才台本】情の深いオネエが世界を救う
ゲラゲラコンテスト参加の漫才台本です。
B=ボケ T=ツッコミ
B 俺な、日本てホンマに素晴らしい国やと思うねん!
T おお、どうした? 急に叫んだりして。
B 四季折々の美しい景色に美味しい食べ物。山! 川! 海! 寿司! ラーメン! 天ぷら! カツ丼! 鍋! 素晴らしい!
T 落ち着け落ち着け、まあせやな。特に今は良い季節やし、美味しい物食べて、紅葉でも見に行きたいなあ。
B(急に暗い顔で)ああ…ごめん。
T ん? どないした?
B 女の影が常に絶えへん俺と違って、お前は寂しいシングルライフやったな…
T はあ?
B こんな話振って無神経やったわ。愚かな俺を許してくれるか?
T Bくん?
B 一人ぼっちやのに無理して、美味しいもの食べて紅葉見に行きたいやなんて、悲しいエアデートを想像しただけで泣けてくる。
T エアデート?
B ジブリの三倍泣けてくる。
T おい。
B お土産はもみじの天ぷらでお願いします。
T 泣けてへんやないか(Bの額をはたく)
B これがお前の心の痛みか。
T いや、お前の体の痛みや。
B T!
T 声がでかい!(も一度はたく)
B 俺の前でだけは強がるのやめてくれ!
T 何事や?
B お前は一人やない。
T うん、一人やないよ。友達かて沢山おるし、一緒に遊んでくれる女友達かて何人も
B 俺がおる。いつでも隣りを見れば三八マイクをはさんで俺が、お前の隣りにおる。
T 待て待て、なんかええ話に設えようとしてるみたいやけど待て。
B 設える?
T さっきから大人しゅう聞いてたらなんや? 寂しいシングルライフ? 一人ぼっちやのに無理して? 今はたまたま彼女おらんだけや、ほんの数か月前までは
B 強がるな。切なさが募って俺が泣きそうや。
T 切なないっちゅうねん! 人の話を聞けよ!
B ええねんて、ムリすな。俺は相方がモテへんからって恥やと思たことはない。Tの良さは誰よりも、何やったらお前の母親よりもようわかってる。
T いや、分かってない。…ちゅうかお前さっき何て言うた?俺の事は散々こきおろしといて、自分は女の影が常に絶えへん? どの口が言うねん。お前童貞やろ?
B わー、まさかのカミングアウト。公衆の面前で何を言い出すねん。お前が童貞かどうかなんて誰も興味無いのに。
T お前の話や!
B それ以上自分を貶めたらアカン。誰もお前を責めてへんねんぞ?
T 俺がお前を責めてんねん。誤った情報を公共の電波に流すな。
B (泣きまね)
T 聞け。涙なんか出てへん!
B(天を仰いで)神様お願いです。Tくんに早く彼のディーバを出会わせてあげてください。
T はあ?
B 大丈夫やT、脚は短いし、髪型はおかしいし、顔は濃すぎるし、童貞やし、金はないし、性格は悪いし、世の女性たちから見捨てられたお前みたいな男でも、まだ残された道はある。
T その特徴、ホンマに俺か!? お前の方が身に覚えあるやろ? お前は女性と付き合った事ないし、どっちかって言うたら苦手な方やろ? 俺はちゃうぞ? 人並みに付き合ったこと何回もあるからな?
B またエア彼女か。
T はあ!?
B 悪いようにはせん。俺の話をよう聞け。
T 悪い予感しかせえへんねんけど…
B(重要なミッションのように)情の深いゲイバーのママを捕まえろ。
T 何?
B まず、あちこちのゲイバーに通え。ほんで相性の良いママを見つけるんや。ダメな男をほっとかれへん、情の深いママを見つけるんやで?
T なんの決定事項や?
B そのママにちょっとずつ自分の孤独を吐露していくねん。
T 孤独ちゃういうねん。
B 彼女おらん。親に愛されたこともない。自分の人生の中で良いものがあるとしたら、ええ相方と出会えたことだけ。
T おい! まず俺の親に謝れ!
B アカン。また涙が……
T 自分の事やからちゃうか? それ俺の話と違うやろ?
B「ママ、俺アカンわ。足臭いし、小太りやし、ブサイクやし」
(ダミ声で)「アホやなあ、そんなん気にすることあらへん」
T このママ、確実にブスやな。
B「ママだけや、俺の寂しさを分かってくれるのは」
「何言うてるの、あんたにはハンサムで性格の良い相方がおるやないの、感謝せなアカンで?」
T ちょいちょい挟んでくるそれヤメ。
B「そうは言うても俺の寂しさを埋めてくれる人なんて……」
「私がいてるやないの」
「ママは優しいな」
「ベッドの中でも優しいんよ? 試してみる?」
T 誰が試すか。て言うか、ゲイバーのママもヒマちゃうやろ? 来る客来る客にそないに構うてる暇なんかないて。
B ゲイバーのママなんか、世の中の汚いもんぜーんぶ飲み込んで生息してるんやで?
T 生息言うたな? 謝れ、全世界のゲイバーのママに謝れ。
B お前の悲しみなんかシェーカーの中に放り込んで何回か振ったら美味しいカクテルの出来上がりや。
T 飲みたないわ。
B 悪い事は言わん。早めにゲイバー巡りを始めとけ。
T 行かへんて。普通に彼女作って、美味しいもん食べに行くわ。
B お前は分かってないな。この世界を救うのは、情の深いゲイバーのママなんやで?
T どんなヒーローやねん。
B(Tに抱きついて)近々ゲイバーを開店するつもりやねんけど、来る?
T お前がママになるつもりか!? もうええわ。
GETUP!GETLIVE!のことは存じ上げなかったのですが、お笑い好きなので、漫才のネタを書いてみたいなあ、とずっと思っていて、物は試しと投稿させていただきました。良い機会を与えて下さった主催者様ありがとうございます! また、最後までお読みいただいたアナタ! お付き合いいただきありがとうございます!




