幸せの青い鳥は・・99
99.
" The present time-現在 10 "
~ 都眞子、結婚後 10 ~
幸せで満ち足りた新婚生活。
何の気負いも持たなくていい、そしていつもふわっと私を大事に
包み込んでくれる夫。
ふたりスプーン型になって寝るんだ、時々。
もちろん私の背中に彼の腕と胸板を感じながらね。
独りの時間も、ふたりで何かを楽しむ時間も、いつも私は土筆くんの
存在を感じて・・温もりを感じて・・幸せ。
すごいのが、土筆くんだって平日は働いていて疲れているだろうに
平日の買い物も、休日の買い物もお願いすると一緒に行ってくれることだ。
生活に慣れてくると彼の提案で、なるべくお互いの負担を減らすために
1人で行って問題のない時は、休日の買い物は交代で行くようにしようと
いうことになった。
あみだクジとか、ジャンケンで決めるから続けて楽できることも
ある。
けど大体、買い物に行かなくていい方がその間に何かしら、例えば
掃除機をかけるとか、洗濯機をまわすだとか、してるんだけどね。
この話を職場の既婚者に話すとすっごく羨ましがられちゃうのだ。
それで最近、土筆をクレー、クレーっ攻撃されてる。
長山さん、うちの旦那と交換してよ、なんてことも言われたり。
いつも丁寧にお断りしてる。
喪女だった私がこんなに素晴らしい伴侶に出会うなんて・・
私、こんなに幸せ過ぎていいの?なんて思うくらい。
土筆くんは何ていい人なんだろう!
土筆くん、私の旦那様になってくれてありがと。
・・・
99-2.
順風満帆に送っていた結婚生活が10か月過ぎた頃のこと。
「とまこ、俺好きな女性がいるンだ」
はいぃ~、今あなた何て言いました?
え~と、今日は何の日だつけ?
私を驚かそうと冗談言うなんて、土筆くんったらぁ。
「え~っ、なぁに言っちゃってンの、もう
冗談はよし子さん」
玄関から続く長い廊下を背に立ち私と対峙している
土筆くんの方を見て、私はそう言った。
顔を見ると土筆くんが悲しそうな目をしていて私は驚いた。
その顔を見ながら、嘘っ、嘘でしょ? と心の中で呟く私の視界の中に
彼の肩越しにもうひとつの光景が映し出されていた。
結婚後、間もなく買って来て玄関にある出窓に飾っていた
濃い色めのピンクのシクラメン。
その時、私は幸せの象徴だったシクラメンが・・
違うものに変わってゆく恐怖に襲われたのだった。




