幸せの青い鳥は・・82
82.
"Time travel タイムスリップ 31"
~ 都眞子のこと24~
「妹がさ、華が引退表明出してる某歌手のコンサートの
チケットを手にいれてたんだけど、仕事の都合で行けなく
なっちゃって俺に売りつけてきたんだよ」
・・っていうのは、半分ほんとで半分嘘だった。
皆が喉から手が出る程欲しいチケットだからわざわざ俺に
売りつけなくたって、オークションにでも出せば定価なら絶対
っていうかプレミア価格で即売り捌けるような代物で
実は妹の出張とチケットの話を聞いてぜひともと言って譲って
もらったものだった。 テヘッ
・・・
土筆くんにコンサートに誘われた。
私はライブは初めての経験だったんだけど、なかなか楽しかった。
コンサートで立ったまま一緒に歌を口ずさんだりペンライトを
振ったりと声を出しぃ~の、激しく動いたりぃ~のでかなりストレス
発散できた。
ひとときとはいえ、悲しいことを忘れて居られて少し心が
軽くなるのを感じる。
コンサート会場からの帰り道、風がそよそよと私の顔をなでて
いくのも心地よい。
この一瞬本当に嫌なことを忘れられて幸せだった私は
気がつくと土筆くんに話しかけていた。
82-2.
「今日は楽しかったぁ~。
応援疲れが少しあるけど何かスカっとしたいい気分。
華さんにお礼言いたいくらい」
そういう私にまた風がそよっと吹いて心地よさ満点でいると
土筆くんが言った。
「また、来よう! そして楽しい想い出をたくさん作ろう。
ね、次は妹から貰ったチケットでコンサート行くようなものじゃなく
ちゃんとしたデートに誘いたいんだけど、いいかな? 」
私ったら・・・気が付くと・・
「いいともっ~」と返していた。
土屋君が眩しいほどの笑顔でくったくなく笑った。
だから私もまぶしそうに眼を少し細めて笑った。
何と言うタイミングの良さ。
土筆くんはすごい人だ。
私が抱えている悩みを一日で吹っ飛ばした。
コンサートの帰り道、ちゃんとお義兄さんとはお別れできた
ことを土筆くんに話した。
「そっか、大変だったね」としみじみとした声音で言ってくれた。
そう言われて何気に彼の方を向いて顔を見たら、微笑んでいるのだけれど
目はちっとも笑ってなくて、何となく彼の胸中にある私に対する
本気度みたいなものを感じとることができた。




