幸せの青い鳥は・・73
73.
" Time travel タイムスリップ 64 "☑
~ 都眞子のこと15~
ずっと好きだった人から望まれた時のあの至福の喜びが
真相を何も知らずに抱いた私の勘違いの何ものでもなかったなんて
・・なんと惨いこと。
幸福を夢見て、側には義兄と大がいる将来を手にした、幸せいっぱいの
私は、雲散霧消してしまった。
今私は独り、荒野に佇んでいた。
ひとりなのだ・・たった独り。
幸せになれるのに、なぜそのチャンスを自ら捨てようとするのか?
何度もなんども自分に問うてみた。
自分が知ってしまった真実は人によれば大したことではないのかも
しれない。
だけど私は耳を塞いだまま結婚しても幸せになれそうになかった。
ただただ悲しくて、苦しかった。
義兄の本心なんて聞きたくなかったし、知りたくもなかった。
私は別れを決意した日から大の送迎を止め
大を家まで送って行かなきゃならない時は父か母に頼むことにし
義兄とは会わないようにしたのだった。
73-2.
職場でも心ここにあらずで、仕事をするのも辛いほど
都眞子は落ち込んだ。
若林からの話を聞いてから2~3日そんな日々を過ごしていた都眞子。
今までなら、大の待つ我が家へ・・
大を送って行った先で会える義兄のことを想い・・
会社からJRの駅までが何と足取りの軽やかだったことか!
重い足取りでひとり、トボトボと帰る目的をなくした風に
歩いていると、見知った人から声が掛かった。-
「珍しいね、長山さんがそんなふうに元気なさそうに歩いてるなんてさっ。
何かあった?」
特に最近は以前に比べるとちょくちょく会っていたので
懐かしい人に会ったような気がして、感情が胸の奥から溢れそうになり
都眞子は困惑した。
気が付くと正直な心情を吐露していた。
「うん、ちょっとね」
「ねっ、ちょっと軽いモンでも食べて帰んない? 」
初めての土筆くんからのお誘いだった。
今の悩みを誰にでも打ち明けるわけにはいかない。
だから、ここは断らないとと思う、とそう思ったのだけれど
心が弱っていた私は付いて行ってしまった。
私たちはちょっとした個室になっているカップル向けの
お店に入った。




