幸せの青い鳥は・・65
65.
" Time travel タイムスリップ 56 "
~ 都眞子のこと7 ~
「そうだなぁ、少しね。長山さんは被害者みたいなもんなんだから
何も恥じたり卑屈になったりする必要ないよ。何より俺と話したことで
君が感じてなかった・・君の中に存在すらしてなかったものの正体って
いうか、お姉さんからの言葉に悪意があったことを知らしめてしまって
なんだか後ろめたいっていうか、気が咎めるねっ」
俺がそう言うと長山さんは力なく首を振った。
人生には時としてこういったことが起きる一瞬がある。
導き出そうとしていたわけじゃないのに、会話をしているうちに
話ているうちに、何かに・・気づいてなかった事象に気づいてしまう
こと。
そしてそういう場合っていうのは、知って幸せな気持ちになることよりも
大抵は知らなければ良かったと思うようなことのほうが多いものなのだ。
「今までお洒落に積極的じゃなかった原因は何となく見えてきたけどさ
じゃあ、何で今なのかなぁ? 」
「えっ? 」
「あっ、ごめんごめん、端折って聞いても何のことだかぁ~だよね。
華からちょっと聞いたんだけどさ、今までにもお洒落するチャンスは
何度かあったはずなのに、何で今なんだろうって、ちょっと思ったんだよね」
きゃっ、そりゃあお義兄さんとのことがあるからなんだけど
まだ土筆くんには言えない、私は返事に詰まった。
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「うんっ、そうだね、やっぱりあの時の姉の言葉に影響されてたのかも
しれないわね。そんな私がお洒落に目覚めたのは・・・」
「毒のある言葉ってある意味、凶器だよな」
私の答えを待たずして、姉のことに対して再度言葉を発した土筆くん。
・・の話に乗っかってこのまま義兄との交際のことは伏せて
私は少し話を方向転換してみた。
「今回お洒落して奇麗になりたいって思えたのって土筆くんのお陰。
土筆くんの話してくれた華さんのお陰ね。
奇麗になった人の話がすごく何か、胸に染みたから」
「そっか」
「うんっ」
「なら、良かった」
俺はヘタレだ。
結局華と同じ質問はできなかったからな。
心境の変化に至った理由とやらを聞けなかった。
華の予想が当たっていたとしたら、やっぱり大くんの父親かなぁ~。
相手は男寡のコブ付きのオッサンだぜ。
断然勝てる勝負だ。
ここで、突き進まなくていつ突き進むんだ、などと己を鼓舞したなんて
いつか彼女に笑い話に出来る日は来るのだろうか。




