幸せの青い鳥は・・19
19.
"Time travel タイムスリップ 10 "
俺はその台詞を言っただけで、よけいなことは一切口に
しなかった。
答えにくい事柄にたくさんの言い訳をしても、いい方向には
いかないことをこれまでの人生で経験していたから。
とにかく人というものは否定の言葉というものに対して
何かしら堪えるようにできているのだ。
どんなにこんなことくらいと、自分を鼓舞してみても
最後には程度の差はあれ(ど)否定の言葉に凹まされる
ものなのだ。
だから今日の俺の返答は断りの返答とするならば、満点
だったのではないだろうか。
とにかく考えさせてくださいと、口からこの言葉を出した時
俺の腹は決まっていた、断ろうと。
◇ ◇ ◇ ◇
数日後、普段は部署が違うので時々しか社食で会うことのない
同期(若林)と一緒になり、俺は話すはずの無かった義妹との再婚話の
顛末を、気が緩んでしまったのか? 誰かの意見というか人の反応を
知りたいと思ったからなのか? つい話してしまった。
「お前さ、才色兼備で申し分のない女性と大恋愛の末
に結婚してたからじゃないのか?
亡くなった奥さんが非の打ち所の無い素晴らしい人だったンだから、
そりゃあその辺の普通の女性じゃあ物足りないわな……って、おっとっ
とっと!
奥さんの妹なら……義妹は奥さんに似てない……のか?」
「あぁ、全く。
姉妹だと聞かなきゃ、分からないくらいに全然似てないよ」
「そっか。その言い方だとあれだな、さっき俺が言ったその辺の
普通の女性ってことだな。
いい女房持ってたっていうのはあれだな、再婚はハードルを下げることが
できないと難しいンだろうなぁ。ははっ、くっ」
「なんだよ、いきなり変な含み笑いなんぞして」




