幸せの青い鳥は・・107
107.
" The present time-現在 18 "
~ 都眞子、離婚後 7 ~
病室の扉を開けるとそこには、別人のようにやせ細った土筆くんが
ベッドの上にいた。
部屋は個室だった。
ちょうどリクライニングで少し起こしてもらって姿勢を楽にして
側にいる華さんのほうを向いていた。
戸を開けた私に気づきこちらを見た土筆くんの側に、私は駆け寄った。
「どうして?
どうしてこんな・・。
どうして本当のことを言ってくれなかったの? 」
「どうしてかなぁ~」
土筆くんは私の問いかけに他人事のように呟いた。
華さんがそっと部屋から出て行った。
「病気で痩せ細っていく姿を・・
痛みに耐えかねて蹲る醜い姿を・・
見られたくなかったからかもしれないな。
フフっ、俺、君にはかっこいいままの、いや元々カッコ良くは
ないけどさ、まぁ元の普通の俺の姿をイメージしておいて
ほしかったんだ」
「病める時も健やかなる時も・・って結婚式で誓ったのに」
「・・だよね。約束破ってごめん! 」
「ごめんだなんて、土筆くん私のほうこそ土筆くんの病気に気が
つかなくてごめんなさい。
あんなに仲良しだったのに、土筆くんの心にもない嘘の話に
気付けなくてごめんなさい。
土筆くんを信頼してあげられなくてごめんなさい。
ごめん・・ゴ...」
「とまこはちっとも悪くない。
嘘をついた俺の方が悪いんだからそんなに謝らないで。
ね、この際だからはっきり言うけど、俺はもう長くは生きられない。
短い時間だったけどとまこと過ごした暮らしは幸せだったよ、すごく」
「土筆くん・・」
「とまこが俺のことを土筆くんって言ってくれる度、すっごく
幸せを感じてたって知ってる? 」
土筆くんの言葉に私は首を横に振った。
「俺と結婚してくれて本当にありがとう。すっげー幸せだった」
「私だって・・わたしも」
「でね・・」




