幸せの青い鳥は・・103
103.
" The present time-現在 14 "
~ 都眞子、離婚後 3 ~
11月11日に離婚届を出し出戻って来て、約1か月とちょっと
周りは人も街もクリマス気分に浮かれていた。
大へのクリスマスプレゼントは先週、母と一緒に買いに行って
ちゃんと揃えてある。
大の喜ぶ姿が目に浮かぶ。
その時のことを思うと心が温かくなってくる。
イブの日、残業もそこそこに会社を後にした。
家の前まで来た時、人影に気づいた。
その人は1年と数か月前に別れたきり、会っていなかった人物だった。
寒い中、いつからここで待っていたのだろう。
そう思うといたたまれない気持ちになった。
「やぁ、暫らくぶりだね」
「ご無沙汰してます」
「いきなりで驚いたろ? 」
「・・」
「実はとまちゃんに話しておきたいことがあるンだ。
今更っていうのもあるけど、今話しておかないとっていうのも
あって」
目力に込めた必死さとともに・・
そんな風にお義兄さんは難しいことを言ってきた。
受け身でいられる余裕からか、
お義兄さんやっぱり若いし、すっきりとスレンダーだった身体も
イケメン振りも変わってないなぁ~なんて、私はいつの間にか
素早く観察していたのだった。
だけど今目の前にいる義兄の目力は、初めて見るものだった。
今までこんなに力の入った眼を見たことなかった。
103-2.
「私に、話? 」
「あぁ。今日はいきなりだし、明日か明後日辺り時間取れないだろうか?」
義兄はそんなふうに切り出して来た。
そして私と明日、明るい時間にランチを一緒に摂るってことになった。
大もいるし、家にどうぞと案内したのだけれど、義兄は遠慮しとくよと
言って大を置いたまま、そそくさと踵を返し帰ってしまった。
話・・
はなし・・
私に話って、どんな?
たった今義兄からの申し出を聞いた私はなんだかフワフワと心が
その辺を浮遊していたような感覚で定まらない。
目の前の視界から義兄が消えてしまうと、急に寂しさに襲われ
心もとない心境に陥った。
義兄が佇んでいた側にはキリストの流した血の色と言い伝えのある
真っ赤なポインセチアが置いてあったのだけれど
顔立ちの整ったお義兄さんによく映えていた。
好きだった人から、キツい言葉は聞きたくないな・・そう思った。
自分を振って、これ見よがしにそそくそと結婚した女が
出戻ってきたのだ。
溜飲でも下げる気だろうか?
いや、義兄はそんなことする人じゃない・・と思う。
じゃあ、どんな?
明日会うのが楽しみでもあり、怖くもあった。
ポインセチアと義兄を掛けてみる・・その心は
予測不可測な不安感・・。




