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第1話 無能力者

 

 3220年現在、この世界の人口のおよそ99%は能力者だ。

 詳しくは知らないが、1000年以上も前に能力者が急に誕生したと言われている。

 授業で習った話によると、能力者が急に生まれた当初は世界中でもの凄い暴動が起こったそうだ。

 強い能力を手に入れた者が暴れ、更には犯罪に利用する者なども現れたり……。

 そんな中、能力者による犯罪を防ぐ為に生まれた組織が特殊能力犯罪対処部隊。

 通称『特隊』。


 そして、俺こと如月颯太(きさらぎそうた)は今日、その特隊高校に入学するのだ!

 ……いや、まだ入学するって決まった訳じゃないけど。

 特隊は危険が伴うから、特隊高校を希望する人はとっても少なくて人不足。

 だから特に問題が無ければ入学式の日に試験無しで飛び込み入学ができるのだ。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 今日は特隊学校の入学式。

 飛び込み入学をする為、俺は念の為に早く家を出る事にした。


 この前引っ越してきたばかりなので、この辺りの道はあまり知らないが、特隊高校の場所について調べた所、このまま真っ直ぐ進んでいれば辿り着けるらしい。

 近道で向かうとなると人気の無い廃れた工場を通る事になるが、まぁいいだろう。


 そうして俺が学校へ向かう為に廃れた工場を歩いていたら突然、目の前に男が現れた。

 と、それと同時に町中にアナウンスが鳴る。


『ピンポンパンポーン。現在Aランクの殺人犯が逃亡しております。警戒して下さい。特徴は30代くらいの男性で身長は170cm程、チェック柄の服を着ています。見つけたら至急、特隊にご連絡お願いします』


 そのアナウンスを聞いた俺は、もう一度目の前の男を見たんだが……その殺人犯って、もしかしなくてもこの男な気がする……。


「はっ、今の聞いちゃったか。悪いが俺の姿を見たからには死んでもらわないとなぁ!」


 目の前にいる殺人犯は腕に『A』と書かれている腕章を付けている。

 この腕章は自身のランクを示す為、国民全員に付けるのを義務付けられている物。

 そして、この殺人犯のランクは特例を除けばA~Dまである内の最高のランク。


「まぁ残念だったな。俺のランクはAランク。一般人が勝てる相手じゃねぇよ! 対するお前は……何ランクかなぁ??」


 そう言いながら殺人犯は俺の腕にある腕章を覗き込む。

 そして───盛大に笑い出した。


「無地……お前……まさか無能力者だぁ? はっ、こりゃ笑える!」


 その犯罪者の言葉は、鎮まりかけていた俺の反骨精神に再び火をつける。

 今の世界は一言で言えば、ランク主義社会。

 ランクの高い者は就職、教育、衣食住などあらゆる面で有利となる。

 逆に……ランクの低い物はあらゆる面で不利となる。

 特に俺みたいな()()()()

 能力を持たないから、ランクすら与えられない。

 そのため、自身のランクを示す腕章は無地。

 無能力者というだけで蔑まれ、罵られる。

 このランク主義の社会では結局、ランクが絶対視される。

 生まれた時から無能力者だった者は、いくら努力しても絶対に能力は得られない。

 それでも俺は無能力者なりに努力した。

 この腐った世界を変える為に。

 だから────。


 カリッ


「お前には俺の踏み台になって貰う。Aランクの殺人犯!」


「はっ、何調子に乗ってんだよ、無能力者が!」



 20秒後、殺人犯は地面に倒れた。

 目の前には傷一つ付いていない無能力者である俺が立っている。


「お前……本当に……無能力者なのかよ……」


 殺人犯はそう言って気を失う。

 その後、周囲を見回すと近くに特隊が来ているようだったので、俺は面倒事にならないようにその場を離れた。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 3時間後


 丁度、特隊学校の入学式の5分前。

 俺は今、入学式が行われる模擬戦闘場のど真ん中にある丸いリングに立っている。

 この学校では、今いる模擬戦闘場で入学式が行われるようだ。

 模擬戦闘場は東京ドームと同じような設計で広さもその4分の1程。

 そしてリングには俺以外にもう一人、女子が立っている。


 この特隊学校の生徒会長でありAランクでもある人物。


 そして今から

 この生徒会長と俺との、俺の入学を賭けた勝負が始まろうとしていた。



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