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王兵
王兵のドワーフはすぐ目の前にいた。移動が速い。
速すぎる。
足元を見ると、右足をバケツのような器具に入れていた。どうやらこれで移動していたらしい。それに体重をかけると、スィーとドワーフの体が移動される。
王兵――ドワーフ(表情がよみにくい)は、青髪女の胸元、すなわち、オレとホウじいさんをじいっと凝視すると、オレの隣で身を縮めぷるぷると震えながらも富士山型を維持していたホウじいさんをためらいもなくぐわしとつかみ、無造作に後方に放り投げた。
「あ~れ~~~~~~」
ホウじいさんの声が遠ざかって行く。
次にオレだ。ドワーフはオレ――スライムに手を伸ばす。
体に指がめりこんでくる。
皮が破れそうだ。