翼
背を向けたゴーレムの背中に目立つものがあった。
白い羽――ではなくて、翼。それが二つ、不自然に突き刺さっている。
「あれって――?」
近くにいた鳥族の若者が言う。
「思いだした。あいつ『まるちカッター』だ」
「まるちカッター?」
「ああ、なんでも魔法課の魔導師に痛みもなく体の一部を奪い取ることのできるチビがいるって聞いたことがあるんだ。そいつが『まるちカッター』。魔執事になっていたのか」
「お、おい……、そういうことはあれって……?」
近くにいた別の鳥族の若者が、最初に話した若者の腕にすがりつく。
すがりつかれた若者は痛ましそうに頷く。
「たぶん、シンデレラの翼だ」
周囲が一斉にどよめいた。
「そんな……」
「なんてむごいことを」
派手にドアが開く音が聞こえ、そちらに目を向けると先ほどチビ坊主とゴーレムが出てきた部屋から女の子が出てきたところだった。
「シンデレラ……」
鳥族の若者がそっと声をかけるも女の子はこっちを見ることもなく廊下を走って行く。
目を覆っていた醜い傷跡、もとい、なめくじは消えている。
シンデレラがチビ坊主とゴーレムに追いすがる。
自身のものであったゴーレムの背の翼を指さしながら懸命に訴えている。
「お、おい……」
鳥族の若者たちがシンデレラを守るためにそちらに向かい、ワナワナとオレもあとを追った。




