生活魔法研究会始動!③
「いやいや。まさかこの研究会が魔法できるようにしてハイ終わり!なわけないでしょう。この研究会では表向き適当な魔法陣作って研究成果として提出なりするけどさ。」
「普通それだけでいいもんじゃないんですか?」
「普通はね。でも私くらいになれば新しい魔法陣くらいなら30分もあればできるし、正治なら1分とかでサラサラっと書き上げて作っちゃうからね。」
「うわっ。それ言ったら苦労して魔法作ってる人たち涙目ですね。」
「しょうがないよ。それは魔法のことをしっかり知らないんだから。」
そういって桜は魔法陣なしで指先に火を着け魔法が簡単にできることをアピールしながら話す。
「魔法のことをしっかり知ってる人なんて数少ない。そんな中ここにいる人たちは正治みたいなチートじみた人から魔法を教えてもらえる。テストも簡単に満点なんて取れちゃう。でもホントにそれでいい?」
そう全員に問いかける。
「私はそうは思わない。だって生活魔法は人々の生活を便利にするためにあるんだもの。適当に作った魔法陣を成果ですといって発表するだけの部活なんてどうかと思う。」
「確かに今までの話だと教えてもらうだけで何もしてませんね。じゃあ桜先輩は何をしようとしているんですか?」
その光の言葉にニッコリと笑みを返し桜はこう告げた。
「私たちが魔法を学ぶこと以外でやることは魔法を用いたボランティアよ!」
「「ボランティア?」」
ボランティアというセリフに疑問符を浮かべる佐藤先生と工藤。
「桜先輩。ボランティアはボランティアの部活動があるじゃないですか?どうしてボランティアなんかするんです?」
「それはボランティア部では私ほどの魔法を扱う人間がいないから出来る範囲に限りがあるからよ。だからボランティア部の人から直接相談を受けてるの。」
「なるほど。さっき言ってた別の部活の相談ってこのことだったんだな。」
「もちろんボランティア以外の部活動から魔法でできる範囲の依頼は受けていくつもり。それで自分たちも魔法についてのイメージを沸かせる手伝いにもなる。」
「どちらもウィンウィンの関係にするわけですね桜先輩。」
「そういうこと。」
そこで工藤が正治とぼそぼそと話を始める。
「なぁ正治。もしやこの部活休日も何かするんじゃないか?」
「まぁ相談に来る部活次第ではそうなるな。」
「なんということだ・・・これでは家でダラつくことができないではないか・・・。」
絶望した表情を浮かべる工藤。
「お前ホントブレねぇな。まぁそう悲観するな。正直俺は魔法だけでどうにかできる依頼が来るとは思ってない。その時はお前に頑張ってもらうことになると思っている。」
「なに?お前の魔法なら大体のことができるだろ。」
「いや。魔法で出来ることは狭いもんだ。俺が一番そのことを痛感している。その点お前は俺にないものがあるじゃないか。」
「俺にあるもの・・・。そうか!オタクとしての見識の広さだな!」
「お前の頭には蛆でも沸いてんのか?ロボットだよ。機械だよ。お前自己紹介に言ってたろ。機械いじりが趣味ですって。」
「ああ。言ったな。」
「ロボットなんて一般的に作れるものではない。ぶっちゃけ動かせるくらいのロボットを作れるだけの技術力と知識がある。そんなの使えないわけないだろ。」
「そういうものか?魔法でどうにかなりそうだが・・・。」
「魔法でどうにかできないから今も科学が研究されてるってことに気づいて欲しいもんだ。」
「そうか。つまり休日が潰れてもやりがいがここにはあると言いたいのか?」
「その通りだ。」
やりがいが何よりも素晴らしいとやる気のない工藤を説得する正治。しかしこのクソ野郎はというと・・・
「ふっ。そんなに期待されてはやる気に・・・なると思ったか間抜けめ!俺は自分の休日が一番だ!」
「チィ!やはりダメか!まぁブレないお前ならそういうと思って妹の茜ちゃんにお願いしといた。」
「ほう。何をお願いしといたと言うのだね?」
勝ち誇った顔で正治に問いかける。その表情を見て正治は嘲笑を浮かべながら言い放った。
「休日にお前が部活に来なければこのポエムのすばらしさをご近所に知らせてやってくれと。」
しかし工藤が予想した以上に使われた手段はえぐかった。
「このクソ外道がァ!」
「ふはは!お前が休日にサボりそうならあらかじめ手を打つに決まっているだろう!」
「ちょっとそこ!大事な話してる時にギャーギャー騒ぐな!」
怒鳴る桜。しかし二人はというと。
「何言ってるんだ姉さん。俺はこいつが休日にサボろうとしてるからそれを説得していただけだよ。」
「桜先輩違うんです。こいつが俺の秘密を使って脅しをかけてきているんです。俺に罪はありません。悪いのはこいつです。」
いつも通り言い訳をするのであった。そこでついに佐藤先生が動く。
「お前たちはいつも騒いでなきゃ気が済まねぇのか。」
そういって二人に拳骨を落とす。
「体罰ですか先生!俺の貴重な頭脳に異常が出たらどうするんですか!いまのでもしかしたら今日の宿題の範囲を忘れてしまったかもしれないです!」
「そうです先生!俺の頭脳に何かあれば世界の損失です!もしかしたらさっきの拳骨で今日頭に詰めた漢字を忘れてしまったかもしれません!」
「てめぇらが一度でも宿題をやってきたことがあったか!漢字のテストで1点でも取ったことがあったか!黙らねぇならもう一発行くしかなさそうだな。」
そういい笑顔を浮かべながら言い放つと二人は何事もなかったのように静かになった。
「そんじゃ桜。話の続きをしてくれ。」
「二人はいつもいがみ合ってなきゃダメなのかしら?まぁいいわ。とりあえず昨日はボランティア部の人から相談を受けてたの。」
「それでいったいどんな相談なんですか?」
「ええ。時々やっていることらしいんだけど孤児院の子供たちのために色んなことをしているらしいわ。」
「例えばどんなことなんだ桜。」
「聞いた話だと子供たちを楽しませえるために劇をやったり紙芝居を作ったり、みんなで料理をしたりといったことをやっているらしいです。それで次の時は魔法を使って魔法に興味を持たせることをさせたいらしいです。それで私たちに相談されたんですよ。」
「ほう。なかなか面白いことを考えるんだなボランティア部のやつは。」
「そうですね。私としては何より子供たちの笑顔が見れるのであればこれはやるしかないと思いました!」
そう興奮した面持ちで話す桜。それを見て光が正治に気になったことを質問する。
「ねぇ桜先輩がさっきまでと全然様子が違うんだけど、なんであんなに興奮してるか知ってる?」
「ああ。姉さんは子供が好きでな。将来は保育士とかになりたいとか言ってたな。でもな・・・」
自分の姉である桜のことを話しながら少し遠い目をする。
「姉さん子供のこととなると少し我を忘れてしまうんだ。それこそ今みたいに興奮して話し始めるくらいには。」
その話を聞いて光は桜の様子を見る。そこには佐藤先生に興奮した面持ちで子供の良さを語る桜の姿と目で助けてくれと語っている佐藤先生の訴えがあった。しかしその表情を完全に無視しながら光と正治は話を続ける。
「あれは少し行きすぎな感じがするんだけど。」
「そうだな。正直俺もああなると手が付けられん。先生には犠牲になってもらおう。」
「あっさり見捨てるんだね。」
そういった話をしていると先生の訴えが工藤に伝わったのかわからないが質問をし始めた。
「それで桜先輩。そのボランティアはいつやるんですか?」
その工藤質問に「ナイスだ。助かった。」と言わんばかりの目線の訴えを送る佐藤先生。桜はそういえばまだ詳細を話してなかったと手をポンと叩き質問に答え始める。
「そういえばまだ言ってなかったね。このボランティアはちょうど5月5日のこどもの日のタイミングにやるよ。今が入学式から一週間経って4月の第2週だね。準備期間はあと2週間といったところかな。だからこれからは魔法を使いこなす指導を行って、休憩時間にボランティアの話をしていくって感じかな。」
「オーケーです。桜先輩。つまり俺は合間にゲームができることはないんですね。」
「そうだね。できることは光ちゃんの運動能力改善、考えているのは柔軟体操くらいだけどそれをしながら話を詰めていくって感じだね。」
「そうですか・・・」
露骨に悲しそうな顔をしながら工藤はそう答えた。
「まぁとりあえずやることが詰まっているのはGWまでだからそれまでは頑張りましょう!それが終われば合間にゲームしてもいいからさ。」
「言いましたね。おい正治言質は取ったか?」
「あん?取ってるわけないだろ?お前が得することになんで魔法使わなきゃならないんだ?」
「そこまでお前は俺に苦しんで欲しいと言うのか・・・。」
「もちろん!」
「鬼畜!悪魔!女装趣味!」
「HAHAHA!そんなに俺を褒めるな!いや最後のは褒めてねぇな!」
「そうか。お前は女装趣味があるんだな。これからの俺の授業では変態じゃなくて女装趣味と呼んだ方がいいか?」
「先生!それはやめてください!」
そこでパンパンと手を叩き桜が話を止めるように促す。
「さてさて無駄話はそれくらいにして。私から話すことも終わったことだし早速魔法の指導始めようか!」




