生活魔法研究会始動!②
「スパルタとノロマねぇ。それはどれくらい違いがあるもんなんだ?」
工藤が質問をする。
「ああ。魔法を使うには魔力を使うよな。その魔力を使って魔力の流れをしっかり理解しなきゃ魔力コントロールは理解できないんだ。スパルタとノロマの違いは魔力を限界ギリギリまで使うかどうかの違いが主だな。」
「それだけの違いか?スパルタって言ってるのに随分と楽そうじゃないか。」
「一つ聞くけどこの中に魔力を使い切った経験のある人は挙手!」
その質問にだれも挙手した人はいなかった。
「まぁそうだよね。魔力使い切ったことある人なんて基本いないよね。そんな状況になるまで魔法使う人なんていないもの。」
そこで光が質問をする。
「質問なんだけどまず魔力を使い切ったら何が起きるのかわからないから答えようがないんだけど。」
「あー。なるほど。魔力は使い切ったら体全体がだるーくなるんだよ。ホントに動くのも怠いと思うくらいにはね。」
そう肩を落とすようなジェスチャーをしながら正治は答える。
「へーそうなるんだ。じゃあ私は使い切ったことないよ。」
「そういうことなら俺もないな。」
「先生は?」
「テストの〇つけで魔法使ってたらすっげぇ怠くなったことあったけど魔力が切れたからだったんだな。あれは辛かったな。」
過去の出来事を思い出しながら佐藤先生はしみじみと語る。ありゃきつかったと表情からその状況がにじみ出ているようだった。
「ということは魔力を使い切った経験があるのは佐藤先生だけと。スパルタの辛さが分かるのは先生だけだけかもしれませんね。」
「そうなるな。」
「スパルタでやることは部活時間が基本は6~7時までって決まっているので部活開始と同時に1時間で魔力を使い切るまで魔法を使います。そんで休憩、魔力が少し回復するであろう最後の30分でもう一度使い切るという流れになります。ちなみにノロマはこの部活時間をゆっくり時間を掛けて魔力を使っていくため魔力が枯渇しない程度に魔力を使っていくやり方を取ります。」
「正治、質問だ。」
「なんだポエマー」
「お前は今度殺す。スパルタは休憩の時間が長いがその間はなにをするんだ?」
さっくり正治に新しい不名誉なあだ名をつけられとりあえず工藤は殺害予告をしながら質問をする。
「その時間のことだが二階堂さんは運動面の改善したいって言ってたから軽い運動。それ以外は別に何しててもいいぞ。」
「オーケー。空いた時間はゲームをしてても問題ないわけだな。」
「ああ。そうなるな。」
「よし。俺はスパルタで行こう。」
できるもんならなという視線を正治は工藤に残しながらほかの二人はどうするのかを聞く。
「スパルタにはバカ一名決定な。先生と二階堂さんはどうします?」
「私はせっかく運動面の改善もお願いしてるのにスパルタ以外選べないよね・・・お手柔らかにお願いします!」
「んだよ。みんなスパルタかよ。俺は怠くなんの嫌だからノロマでもいいと思ったんだが。」
「先生はノロマでもいいんじゃないですか?俺たちが先に魔力コントロールができるようになっていくのを眺めることになりますけど(笑)」
先生はは楽するんですかぁ?という煽りを工藤は先生に向かってする。
「言ってくれるじゃねぇかポエマー。おい正治、先生もスパルタで頼む。」
佐藤先生は工藤の本当にむかつく顔を殴りたいと思いながら売り言葉に買い言葉という感じでスパルタに決定した。
「そうですか。ではみんなスパルタで行くということで異論はないということで。」
そういってホワイトボードに何かを書いていく正治。そこには魔力コントロールをできるようになるまでと書いている。書いてある内容はこうだ。
ステップ1 魔法陣で魔法を使うことで魔力がどのように消費されるか理解する。
ステップ2 魔法陣を体のどの部分からでも発動できるようにする。
ステップ3 魔法陣を使わず体のいたるところに魔力を流せるようにする。
ステップ4 魔力を体の外に出しながら魔力をコントロールする。
「魔力コントロールはこの手順でできるようにします。これができるようになるにはスパルタでやっても順調に行って1年は掛かる予定です。これが終わったら魔法陣の作成の理論になります。全員スパルタでやっています。足並みは揃えて全員できるようになるまで次のステップには進まないので確実にできるようになってください。それじゃステップごとにやることを説明します。」
そういって正治は新しい魔法陣を取り出した。
「この魔法陣は特に何も現象は起こしませんが魔力を消費できるように設定されている魔法陣です。これを魔力切れまで使っていきます。最初のステップではこれを手から発動させて魔力がこの魔法陣から吸われていく感覚を理解して魔力を消費していきます。」
「正治君、質問!」
「なんだい二階堂さん?」
「魔力を吸われる感覚を理解するのはいいけどそれをどうやって理解したって判断するの?」
「いい質問だね。それはこの魔法陣がなくても魔法を発動出来て魔力を限界まで使えるようになればオーケーだ。いつぞや言ったと思うけど魔法陣は自転車における補助輪だからね。それなしでこの魔法陣が使えれば魔力の消費は感知出来てるはずだよ。ただこの魔法陣はなんの効果も出さない魔法陣だから少し不安になるかもしれないけどね。」
「うん。わかった。ありがとう。」
「それじゃ続けます。次のステップは体のどこからでもこの魔法陣を発動できるようになってもらいます。ステップ1だけだと手から魔法を発動するに留まってしまうためそれだけじゃダメなんです。例えば背中から発動できるようになる。足から発動できるようになる。そうやって魔力が体全体で使えるイメージを掴んでもらいます。ここまでで何か質問は?」
先ほどステップ1で質問があったため質問があるか聞く正治。だが誰からも質問はなかった。
「それじゃ続けます。ステップ3では体のいたるところに魔力を集中させるということをやります。ちゃんと集中できてるかどうかは専用の魔法陣を使いますので大丈夫です。ステップ2で体のいたるところで魔法陣を発動させるとおなじ要領で行います。魔法陣を使わない魔法と同じようにやれば体のいたるところに魔力を集中させることは出来るはずです。ここまでくれば体内の魔力のことがある程度分かってくる頃合いになるでしょう。」
「なぁ正治。これだけ聞いてると普通に出来る人間いるんじゃないか?なのになんで魔力コントロールが広まらないんだ?」
「先生の質問は正しいと思います。体内の魔力コントロールは恐らくできるようになっている人間は割といると思います。ただここまで半年以上はかかるのが普通です。半年以上かけても何も成果が生まれないんですよ。そんなこと出来てもとあきらめる人間がここで生まれてくるんです。そしてこの先のステップ4がさらに難しいんです。」
「確かに半年以上かけてここまで来ても何も出来なけりゃ諦めたくなるわな。」
佐藤先生はうんうん頷きながら納得したという表情をしている。
「続けますね。これだけやってできるようになった魔力コントロールですが体外に出して扱ってもらいます。具体的には遠隔にある魔法陣を発動できるようにですね。」
そこに今度は光から質問が来る。
「ねえ正治君。魔力って体外にどうやって出すの?魔法陣を使ってはわかるけどそれ以外で魔力が外に出るいイメージが沸かないんだけど。」
「それはな魔力を糸のように伸ばして使うんだよ。体内の魔力コントロールが出来てやっと1cmくらい伸ばすのが限界だと思う。少なくとも体内の魔力コントロールが出来てない人間には魔力を外に出すってことは絶対にできない。」
「そんなに難しいの?」
「ああ。難しい。魔力は可視化できないから1cmしか離れた魔法陣を起動させるしかできないことに絶望するんだよ。ここでほとんどの人が魔力コントロールを諦めるんだ。」
「それホントに私たちに使えるの?」
光は不安そうな顔をしながら正治に聞く。しかし正治は大丈夫だと言わんばかりの顔をしている。
「使えるようにする。出来ないなんて言わせない。俺なんかこれができるようになるために1年半以上も掛ったんだ。1年で魔力コントロールをできるように指導するのに諦めるなんて俺が許さない。そして出来ないなんてことは絶対ない。なぜなら俺ができるようになるまで指導するからだ。」
「すごい自信だね。私魔法あんまりうまくできない方だけどそれでもできるかな?」
「ああ。する。約束してやる。」
正治は一切目を逸らさずそう言い切った。
「その言葉忘れないでね。言質は取ったよ。」
「ふーん。青春してるねぇ。」
「先生茶化さないでください。もちろん先生にもできるようになってもらいますから。たとえ怠くて仕事が手につかなくなりそうでもね。」
「おまっ。鬼か!」
正治の容赦のない一言にツッコミを入れる。
「誉め言葉です。というよりスパルタ選んだ以上それ相応の覚悟はした方がいいですよ。」
「ただ二階堂さんはそれ以上に辛いかもしれないので大丈夫です。なんたってこれに苦手な運動もついてくるんですから。」
「お前本気で鬼だな。まぁいい。男に二言はねぇ。やってやる。」
「工藤はホントにスパルタでよかったのか?」
「フッ。部活動中にゲームしててもいいという状況が生まれるのにそれを選択しない理由がない。」
「お前はホントにブレねぇな。もちろん食堂で魔法を極めようといった言葉は忘れてないからな。ゲームできる余裕が出来ないくらいスパルタでお前だけは行くから。」
「ん?おかしいな。俺は今一番スパルタで行くと聞こえたんだが?」
「気のせいだ。俺はついてこれなきゃポエムを校内ラジオに投稿するだけだと言っただけだ。」
「それ重要なことだよなぁ!しかも一切そんなこと言ってなかったじゃねぇか!」
その言葉を無視しながら正治は船を漕いでた桜に話を降る。
「姉さん。魔法についての説明は終わったよ。」
「ん。わかったそんじゃここからこの部活動で他にやること説明しなきゃね。」
「「「他にやること?」」」
三人が目を点にしながら聞いた。




