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彩色の魔女  作者: 唄海
序章
9/115

黒夜の騒動

9話です。

指導、評価等是非宜しくお願い致します!

───それは夜ご飯が終わり、風呂に入る時に事件は起きた

「小夜、お風呂先に入っていいよ。男が入った後なんて入りたくないだろ?」


俺は夕食の後片付けをしながら、テレビを見てくつろいでる少女──小夜にそう言った。


「あら、別にそんな気を使わなくても大丈夫よ?」

「いや、俺もまだ後片付けとかあるし。むしろ先に入って貰った方がいいんだ」


俺は皿を洗いながら話を続ける。幸い明日は日曜日なのであまり問題はないが色々とあった。やっぱり疲れていたので早めに風呂には入りたい。


「そう、ならお言葉に甘えて頂くとするわ」

「洗濯物とかは脱衣場のとこにある洗濯機に入れておいてくれ。後でまとめて洗濯するから。あと、タオルは今準備するから待っててくれ」


そう言って俺は一旦皿洗いを中断しバスタオルを持って来て小夜に渡す。


「ありがとう。ごめんなさいね、洗濯まで頼んじゃうなんて」

「いや、平気平気。てゆうか洗濯物が結構溜まってるからまとめて洗おうと思ってた所だし」

「ふふっ、優しいのね。それじゃあお先に失礼するわ」


そう言って小夜は部屋を出ていった。俺はとりあえず皿洗いを終わらせ、洗濯カゴを抱える。金曜日に洗濯をサボったせいでかなり洗濯物が溜まっていた。


「こりゃあ1回で全部洗うのは無理だな…。今もう洗ってしまおう。小夜もそろそろ入っただろうし」


俺は洗濯カゴを脱衣場の洗濯機の所へ持っていく。


「すまん小夜、洗濯機使うから脱衣場入るぞ!間違えても今上がんなよ!」

「わかったわ」


よし、これでラッキースケベは無くなった。少し残念な気もしなくはないがこれは健全な男子高校生としてやはり断っておくべきだろう。

俺は洗濯物と洗剤を洗濯機に放り込みスイッチを押す。音を立てて洗濯機が作動し、洗濯が始まったのがわかった。

ふと、風呂場の方を見る。色のついたプラスチック製の扉なので残念ながら中はよく見えないが、影が動いていた。おそらく小夜だろう。


「この扉の向こうに女の子が……」


一瞬何か強大な力に理性を奪われそうになった。何かの正体はおそらく健全な男子としての欲望。


「いやいや、何を考えてるんだ俺は」


頭を軽く振り落ち着く。そんな事より早く片付けの続きをしなければ。

俺は扉から目を話すと踵を返す。と、ある違和感を感じた。

後から考えたら当たり前の事だが、当たり前すぎるが故に今まで気付かなかったのだろう。


「なぁ、小夜。ひとつ聞いていいか?」


俺は扉の向こうの少女へ話しかける

「何かしら?あまりそこに長居されてはさすがにのぼせてしまうから手短にね」


──そう、この質問こそ今日一番の大変な場面を迎える事になるものだった。


「───小夜、着替えとかどうした……?」


そう、彼女は脱衣場にバスタオルしか置いてなかった。そして今まで来ていた服は洗濯機の中。つまり着るものは何も無い。考えてみたら彼女はずっと手ぶらだった。何も持っていなかったのだ。つまりそれが意味することとは─────


「…………ごめん」


うわぁ、これは色々大変だ。


「着るもの、持ってきてないこと忘れてたわ」

「……どうしよう」

「どうしようかしら」

「…………」

「…………」


しばらく2人は、思考を放棄した。

洗濯機はそんな2人をよそにせっせと与えられた任務を遂行していた。


─────────────────────────────




その後俺は、バスタオルのみで風呂から上がってきた小夜から受ける理性を攻撃する魔法にやられながらもなんとか踏みとどまり、大きめのTシャツを貸した。とりあえずこれを着ればとりあえず体は隠せる。絶対に下から見てはいけないが。

そんな小さなワンピースを着た様な恰好になった小夜はこう言った。


「とりあえず下着だけでも買えないかしら。流石にこれは恥ずかしいわ」

「あぁ、そうだね……でもどうしよう、多分そういう店はもう閉まっちゃってるんだけど」

「どうしましょう」

「さぁ……」


時計を見るともうすぐ11時になってしまうような時刻だった。こんな時間に普通の店が空いてるわけはない。

スマホで検索してみてもやはりそのような情報しか出てこない。

祖父に相談しようと思ったが、今日は友達と温泉に行って来たらしい。風呂には入らずそのまま寝てしまった。


「なんで私気づかなかったのかしらね」


そう、小夜は不思議そうに呟く。そもそも小夜は何故そんな準備もせず人探しにきたのか。宿取るのも忘れていたし

「とりあえず質問はあとにして、本当にどうしよう。小夜もどうするか考えてくれ」


ちなみに「水の魔法が使えるなら洗濯物を乾かせないのか?」という事に関しては濡らすことは出来ても乾かせないと言われてしまった。

友達に聞いてもどうせ変なヤツしかいないからまともな答えが返ってくるとは思わない。俺もその1人だが。


「うーん」

「うーん」


二人で悩む。

このまま小夜にこの格好でうろつかれるのは精神衛生上大変よろしくない。明日の朝寝ぼけて大変なことになってもらってもとても困る。少し見たいが。

そんな妄想を働かせる奴の隣で真面目に考えてる少女の出した解決案は───


「真、女の友達から下着借りれないかしら?」


──そう、かなり高難易度の発言だった。


「本気で言ってる?」

「それ以外思いつかないのよ。流石にこのまま一夜過ごすのは落ち着かないわ」


彼女はTシャツの裾を手で下に引っ張りながら言う。その仕草に俺はまた襲ってきた理性を飛ばす魔法に耐えながら考える。


「確かに最悪、事情を説明すれば貸してもらえなくもないかもしれない。だけどいきなりそんな事言われたら引かれるだろ。そんな事になったら俺は無事に済むとは思えない」


そんな考えを巡らせていると、小夜が縋るような目で見つめてくる。綺麗な青色の眼だ。

ちくしょう、そんな目で見られたら断れるわけないじゃないか!


「わかったわかった!とりあえず仲いい奴に聞くから!」


俺は連絡帳から泣く泣く仲のいい女友達に電話をかける。明日も休日なのだからまだこの時間でも大丈夫だろう。


「もしもしさっちゃん?どうしたのこんな夜中に?」


電話の相手は小学校からの友達の女の子だ。名前を海千流(みちる)と言い、みっちゃんさっちゃんと呼び合う仲だ。因みに高校も一緒だ。

彼女くらい仲の良い女友達ならなんとか頼めるかもしれない。


「あーみっちゃん、夜遅くに悪い。ちょっと今色々あって女の子がうちに泊まるんだけど……」

「おぉ? 何何、彼女?!」


何でそんな息子に彼女が出来た母親みたいなのだお前は。


「いや、親戚……みたいな感じなんだけど……その子が実は色々あってだな……」


俺は一つ一つの発言に大量の気力を奪われながら要件を伝える。

この際大男3人くらいと戦った方がマシなくらいにその要件を伝えるのに神経をすり減らす。


「その……着替えを忘れて来て……着替えを貸していただきたいのですよ……」

「忘れて来たって……下着も?」

「う、うん。全部無い。しかもさっきまで来てた服は洗濯しちまったんだ」


言った瞬間、海千流が吹き出す。


「あっはっはっは!それでアタシに電話してきたわけか!そうかそうか!わかったよ、それじゃあ取りに来てよ。渡すからさ。それじゃ待ってるよ」


そう言って会話は終わった。俺はとても大きな苦難をなんとか乗り越えたような達成感とそれ以上の疲労感に満ち溢れていた。


「良かった……借りられるぞ、小夜。今から取りに行ってくるから待っててくれ」

「ありがとう、今度その人にも改めてお礼を言うわ」

「そうか、言っといてくれ。その方がこっちも色々助かる……」



─────────────────────────────


俺は自転車を漕ぐと海千流の家へ向かう。

同じ小学校と言っても家は学区の反対側なのだ。。

海千流を電話で呼び出すと、海千流は家から紙袋を持って出てきた。


「はいよこれ、ちゃんと返してよね!」

「すまんみっちゃん!本当にありがとう!必ず返すよ!」

「今度その子にも合わせてよね?ちゃんとさっちゃんの親戚なのか確かめたいし」


海千流はからかいの目で俺を見る。変な勘違いだけはされたくない。


「わかった。約束する。夜遅くに悪かったな」

「いいよいいよ、そんなの」

「おう、わかった。んじゃおやすみな」

「おやすみ〜」


そう言って俺は自転車を漕ぎ急いで家へ帰る。

その後ろ姿を見つめ、海千流はふと呟く。


「私もさっちゃんの家に泊まりたいなぁ……」


その呟きは遠ざかる背中には届かず、夜の闇へ溶け込んでいった。



─────────────────────────────



「小夜これ。借りてきたから着替えてくれ」


そう言って俺は紙袋を小夜へ渡す。中は見てないぞ!


「ありがとう、これで安心だわ。とりあえず明日は最優先で服を買いに行きましょう」

「そうだな、それがいいや」

「ふふっ、お買い物なんて楽しみだわ。良いところ案内してね?」


そう、彼女は微笑む。


「わかったよ。とりあえずそれ着て先に休んでてくれ。俺は今から風呂入るからさ」


俺はもう疲労困憊だった。小夜も疲れてるだろう。


「そう、ならもう私は寝るわ。おやすみ」

「おう、おやすみ」


そう言って小夜は部屋を出る。最後にもう一度こちらを振り返り微笑んだ。

その顔を目に焼き付けながら俺は風呂場へと向かう。洗濯は終わっていた。


「洗濯物は明日でいいや……疲れた……」


俺は風呂から上がると部屋へと直行する。

ベットに倒れ込むと眠気がゆっくりと全身を巡った。


「明日は小夜の買い物か……。女の子と買い物なんて初めてだな……」


そんな事を考えながらも眠気は徐々に体を支配していく。

そのまま俺は目を瞑る。

───後は黒い世界へ落ちてゆくだけだった。 目に焼きついた小夜の微笑みを思い出しながら───

文構成が苦手なのでアドバイス等頂けると助かります……

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