自己紹介
8話更新です。
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『私は小夜。 青原 小夜よ』
彼女はそう名乗った。なるほど、彼女らしい。
『なるほど、青原さんか。俺は黒峯 真』
そう、俺の名前は『黒峯 真』
そして『青色の少女』の名前は『青原 小夜』
何の因果か俺達の名前には色が関係していた。それが何を意味するかはまだ誰にも分からない。
「んじゃあ青原さん」
「小夜でいいわ。というかそっちの方がいいわ、短いし」
「えっそれはちょっと……」
「どうして?」
俺は返事に困る。なにせ女の子を下の名前で呼ぶ事に慣れてないからだ。ここで呼ぶなら正直もう一度あの大男と戦った方がいいくらいだ。このヘタレめ。
「あ、あぁ。ワカッタヨサヤ」
俺は棒読みのように名前で呼ぶ。
「ふふっ、変なの。で、何かしら真?」
「!」
俺は脳天から電流が走るような感覚に襲われる。先程の戦いで感じた感覚とはまた別物だ。学校でも大体女子からも『黒峯君』と呼ばれているから慣れてない。しかも君をつけずに呼び捨てだ。
とことんヘタレだった。
「い、いや! この後とりあえずどうしようかなってさ! 魔法使い探すって言ってもなんの手がかりも無いしさ! それにほら、そろそろ夕方だし!」
そう言って俺は西の空を指差す。いつの間にか空は綺麗な赤色に染まっていた。時計を確認すると7時の少し前くらいだった。
「あら本当、早いわね」
小夜もスマホを取り出して時刻を確認する。魔女もスマホとか使うのか……てゆうかよく大男との戦いで壊れなかったな。
「そういえばあの……小夜ってどこに泊まるんだ?やっぱホテルとか取ってるのか?」
言って俺は後悔した。下手したら引かれる。
「………………」
そんな心配を他所に小夜は何かに気づいたように黙り込む。
まさかとは思うが……
「あの、もしかしてだとは思うんだけど」
「えぇ、そのもしかしてよ」
小夜は怒ったような顔をして─────
「宿取るの忘れてたああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう、初めて声を荒げて絶叫したのだ。
「うわぁ……何しにきたんだろこの人……」
俺は呆れて空を見上げる。ふと、ある提案を思いついた。これまた引かれる可能性もあるが。
「なぁ、小夜。あの、その……うちに泊まるか?」
彼女は驚いた表情になり、次に少し恥ずかしそうな顔になり──
「うん」
そう、可愛く頷いた。
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「てな訳でじいちゃん!この子泊めるからよろしく!」
そう言って俺は帰るなり先に帰っていた祖父に事情を説明してそう告げた。魔法については黙った。そこまで話すと病院に連れて行かれる可能性が高い。
とりあえず小夜は人探しに来て手違いで宿が取れない少女、という事にしておいた。さすがに無理があるかもしれないが……
「そうか〜。迷惑かけないようにするんだぞ、真。そこのお嬢さん、ゆっくりしていってくださいな」
「ありがとうございます、お爺さん。お世話になります」
「………………」
無理などなかった。てか少しは疑問を持てよ、じいちゃん。詐欺られるぞその内。
「とりあえず真、空いてる客室に案内してあげなさい」
「あい」
俺は小夜を部屋に案内する。と、部屋を出る時に祖父がこう言った。
「そういえばお嬢さん、ここには何日くらいいるのかい?」
「すみません、探してる人が見つかるまではいます。ご迷惑でしたね……なるべく早く見つけますので……」
おいジジイ、そんな事いうなよ空気悪くなる!そう俺は目で訴える。そんな視線をよそに祖父は
「あぁ、ごめんなさいね。その事は気にしなくていいよ〜。むしろゆっくりしていって欲しいくらいだよ」
「あ、ありがとうございます!」
「と、ゆう事はしばらくは居るってことだね。わかったわかった。ごめんね〜」
そんな感じで話は終わり、俺は部屋を出る。
「いいお爺さんね」
「良すぎて詐欺られないか不安だ」
そんな会話をしながら俺は小夜を昼に使った部屋に案内する。
「とりあえずここ使ってくれ。何か必要なもの物があったら言ってくれ」
「十分だわ、ありがとう」
「そうか、んじゃ俺は飯の準備をして来るから何かあったら来てくれ」
「そう、ありがとう」
そう言って小夜は微笑む。その笑顔に眩しさを覚えながら俺はキッチンへと向かう。
俺はやる気に満ち溢れながら夕食にとりかかる。
夕飯はとりあえずオムライスにしてみた。そういえば小夜に苦手なものを聞くのを忘れたと後悔したが、小夜は美味しそうに食べてくれたのでよかった。
──────こうして夜は更けていった。この後に俺が魔女の救出よりも大男の戦闘よりも大変な事に直面する事になるとは誰も知らずに───
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