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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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対話

 暗い。遥かな暗闇が、辺りを埋め尽くしている。もう見慣れた光景だが、相変わらず好きにはなれない光景だ。


「よお」

「やあ」


 そろそろコイツとの会話も慣れてきた頃合だ。軽く挨拶を交わすと、おそらくは地面があるべき場所へと適当に腰を下ろす。


「魔法の使い方には慣れた?」

「いや、あんまり。と言うかむしろ、使い方が下手過ぎて一回死にかけた」

「死にかけたか、それは困るな。真に死んでもらっちゃあ世界が救えないや」


 カラカラと笑う声の主は、どこか楽しそうだった。


「救うって言っても、具体的には何をすればいいんだ? どうせやるなら、早く救った方が良いんじゃないか?」

「そうだね。出来ればそうしたいんだけど、残念な事に今はまだその時じゃないんだ」

「ふーん⋯⋯」


 言っておくが俺は別に早死したい訳では無いし、死が恐ろしくない訳でも無い。けれどもそれ以上に、小夜達が消えてしまうのが恐ろしかった。


「でも、例えこの世界が救われたとしても⋯⋯きっと魔女狩りは続くんだよな」


 今日のように、また罪の無い魔女達が巻き込まれてしまう。だとしたら俺が死んでしまっては、小夜を守ることは出来なくなってしまう。


「なら残された時間で、奴らを残らず滅ぼせばいい。どうせ時期が来るまで待たなくてはいけないからね」

「そいつは良いな」


 問題は、この夢が覚めた後に覚えているかという事だ。この夢の中にいる限りは、自分自身の命を使って世界を救う事も、その為に俺の魔法が必要な事もハッキリと思い出せる。けれどそれは所詮夢、目覚めれば忘れてしまう。


「この仕様どうにか何ねーの?」

「諦めて」

「ウーン⋯⋯」


 空が白みがかって来たのが分かる。どうやら、今回はここまでの様だ。


「また、会いに来てくれ」

「あぁ。また何か、相談に来るよ」


 立ち上がり、その場から背を向けてる立ち去る。


「ねぇ真。今は、幸せかい?」

「ん?」


 ふと最後に、背中に向かってこんな質問が飛んできた。幸せ。そんなのは、言うまでもない答えだ。


「俺はいつだって幸せだよ」

「そうか。ならいい」


 そうしてまた夢は覚める。俺はまた戦い続け、未来へと歩き続けるのだろう。

 例えそれが、死へと向かう道だとしても。


「⋯⋯あれ、ところで今更なんだけどアイツの名前聞いたことねえな」


 まあいいや、と歩を進める。どうせ次もまた、下らない話をしに来るのだから。


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