微睡みの吸血鬼
結局浴場には誰もおらず、俺は貸し切り状態にあった浴場を存分に楽しむことが出来た。
「ふぅー」
今度こそ本当に寝よう。そう思いベッドに体を預けて目を閉じる。
「⋯⋯」
体の端から徐々に眠りに落ちて行く。いつも思うが、眠気に素直になって眠る事は最高に気持ちがいいものだ。
「⋯⋯ん?」
「ありゃ」
ふと、何かの気配がして目を開ける。すると、サリィがいつの間にか傍に立っていた。
「おはようございます、ご主人様」
「いやもう俺お休みだよ?!」
「え、また寝るんですか」
「⋯⋯あ」
そう言えば、俺はライヴと話した後傷心のあまり寝入ってしまった。その際、サリィには起こすなと言って寝たのだ。
「悪いサリィ。もう大丈夫だ」
俺はもう、先程とは違う。知りもしない大勢なんかよりも、俺は小夜と、俺のやりたい事の為に戦うと覚悟を決めたのだ。
「良かったです。少しだけ心配だったんですよ、全く」
「あぁ、本当に悪かった。ありがとう、ちゃんと起こさないでくれて」
「まあ悩むご主人様も素敵だったんですけど」
「感動を返せ。倍返しで」
サリィにシリアスを求めてはいけないと心に誓う。
「んで、なんだよ」
「いえいえ、ご主人様が寝るなら何でもないです。おやすみなさいませー」
「⋯⋯?」
よく分からないが、サリィがそういうのなら何でもないのだろう。眠いし。
「んじゃ、おやすみ」
再び目を閉じて眠りにつく。そのまま俺の意識は、真っ暗な闇へと抗うことなく落ちていった。




