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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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何故に

「───てなわけで、俺はその二人とは腐れ縁であいも変わらずに馬鹿やってるって訳」

「楽しそうね」


 俺が普段の生活について話してから、もうすぐ一時間が経過しようとしていた。何を話していたかと言うと、倉﨑と桐山と俺の三人の始まりについて話していた。


「でも、なんでアンタはその二人と一緒の部活に入らなかったの?」

「俺はあんま運動は好きじゃないし、親が手伝えない状況だからどうしても大変になっちまうからな」

「ふーん⋯⋯」

「でもまぁ、正直言うと運動より好きな事したいって言うのが一番かな」

「アンタらしいと言えばアンタらしいかね」


 俺の話を、椅子に座ってライヴは目を輝かせながら面白そうに傾聴していた。


「学校かー。行ってみたいな」

「え、行ってないのか?」

「行ってないわ。行く必要が無いもの」

「勉強とかはどうしてるんだ?」

「しない、必要ないもの」

「⋯⋯⋯⋯」


 驚くと同時に、どこか納得がいく。魔法使いの世界には魔法使いの基準があり、それは俺達とは違う基準で出来ている。


「あ、でも必要最低限の知識はキチンと覚えてるわ。無勉強と言うよりは、自主学習って感じ」

「はぁ⋯⋯」


 確かにこれならば、ライヴが俺の普段の生活に興味を持つのも不思議ではない。学校へ行かずに、魔法使いとしての力をつけて───まて、何かがおかしい。


「じゃあ、大人になったらどうするんだよ」

「魔法使いとして生きて、次の世代に魔法の知識を継ぐ。そうしてアタシ達は魔女狩りと戦って、次の世代の魔法使いを守り育てる」

「な⋯⋯ん⋯⋯」


 言葉が出ない。そんなのは絶対におかしいと叫びたいのに、ライヴがあまりにも平然と言うのでそれすら出来なかった。

 魔女狩りの歴史は浅くない。魔女狩りの風習は消えただとか、魔法なんてものは存在せずに科学こそが正しいだとか、そんなものはいくらでも誤魔化しが効く。だから現代でも魔女狩りは行われているいるし、現に俺はこうして魔法使いにもなった。魔法使い達も魔女狩りの奴らも、その執念によってその流れを止めずに来たのだろう。


「知らなかったの? アタシ達はその為に生きてるの」

「⋯⋯ライヴ」

「なんでアンタ、そんな顔してんの?」


 俺は今、どんな顔をしていたのだろうか。ライヴの言葉を哀れんだ顔だろうか。それとも、ただ単純に驚いてる間抜け面だろうか。どんな顔にせよ、ライヴは俺がこんなにも困惑している理由が分からないと言った顔になっている。


「もしかしてアタシ、何かおかしい事言った?」

「おかしい事しか言ってねぇよ⋯⋯ライヴ、お前さ────」


 喉が痺れる。もしこの問いに対して疑問を持たれたらと思うと、恐ろしくて仕方が無い。それでも、聞かなければならないと自分自身が叫んでいる。


「────何のために生きてんだ?」

「本当におかしな事ね、魔法使い達が滅びないようにする事に決まってるじゃない。アンタだって、先祖からずっと家系を受け継いでるでしょ?」

「⋯⋯あぁ、受け継いでる」


 俺が今ここに生きてるのは、先祖達が命をかけてこの黒峯家を守り通してきたからだ。けれどもそれは『生きてきた』からそうなった訳であって、決してそれが『活きる理由』にはならないはずだ。


「魔女狩りの奴らは⋯⋯そんなに邪魔なのか?」

「当たり前じゃない。魔法使いってだけで殺しに来るし、何よりそれが正しいと思ってる。だからこっちも、人生全てを掛けてそれに報復する」


 なんの迷いも躊躇いもなく言い切られた。自分自身の人生も夢も、何一つ望むことなく。


「なるほど、よく分かった」


 ここでこれ以上何かを言っても無駄だと悟り、腰を上げる。


「悪い、転移魔法の疲れが今頃出てきた。暫く部屋で休むから、夜飯は期待しないでくれ」


 なんとか笑顔を絶やさずに、ライヴに向かって笑いかける。


「そう⋯⋯アンタは決闘の事もあるし、無理はしないでね」

「お、ライヴらしからぬ優しいお言葉。ありがとうよ」


 そのまま俺は逃げるように部屋を出る。ライヴが何か言おうとしていたが、それを聞かずに廊下へ出る。

 もう、何も聞きたくなかった。どこかおぼつかない足取りで昨日一夜を過ごした部屋へと戻り、そのまま閉じた扉を背に座り込んだ。


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