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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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旋風

 元の部屋に戻り、俺とガルは椅子に腰掛け向き合っていた。


「俺たちウィリディス家は、代々緑色の魔法使いを出してきた。兄貴と俺も例外無くな」


 ガルの話をこくこくと頷きながら傾聴する。どうやら予想通り、ガルとベルの魔法は大体一緒らしい。


「緑色は自然を操る魔法でな。俺みたいに電気を操る奴もいれば、天気を操ったり水を操る奴らもいる」

「水って⋯⋯」


 小夜の話を思い出す。確か青色も水を操る魔法だったような気が⋯⋯


「あぁ、大体言いたいことはわかる。それだと、そいつらを使う他の魔法と一緒じゃないかって話だろ?」


 俺の表情を読んだのか、ガルは俺の言いたいことをピタリと当てた。


「確かに操る点では同じなんだが、緑色は組み合わせて使うことも出来る。例えば小夜は水単体だが、俺達は水と一緒に風を操れる」

「でもお前、電気しか使ってなかったじゃないか」

「得意不得意がある。緑色は根本に自然と言う定義があるから、大なり小なり全ての適正はあるんだ」

「なるほどな。具体的に、自然ってのはどこまで自然なんだ?」

「難しいな⋯⋯」


 腕組みをし、元々悪い目付きを更に悪くさせて考え込むガル。


「四大元素って知ってるか?」

「あぁ、知ってる。土、火、水、風だろ」


 ここぞとばかりに、ラノベで得た知識を引き出す。どうやら、本当の魔法と共通する物もある様だ。


「これに関連するものは全て自然と考えてもらって構わねぇ。土は植物や地面、風は天候と言った感じだな」

「天候、つまり雷か。じゃあガルは風系統が得意ってワケだな」

「そうだな」


 段々と分かってきた。つまり、その辺りにあるものなら大体は操れるという事だった。


「他の魔法に比べてめちゃくちゃ便利じゃん」

「そうでもねぇぞ。傷も治せねぇし、身体能力も強化出来ねぇ。本体は弱いまんまって事だ」

「つまりそこに勝機があると」

「まぁそうなんだがよ⋯⋯」

「?」


 ガルの表情が曇る。


「ここからが本題だ。操れる物にも得意不得意があるってのはさっき言ったよな」

「あぁ、言った」

「不得意な部分を攻めれば、普通の魔法使いと何ら変わりなく戦えるんだがよ⋯⋯」

「⋯⋯まさか」


 最悪の状況を思いつく。そんな状況になれば、それこそ勝ち目が見えない。


「なぁガル⋯⋯まさかと思うんだが⋯⋯」


 恐る恐る、口を開く。


「そのまさかだ。兄貴には、不得意な部分がねぇ。それどころか、どの系統もトップクラスの力を持ってる」

「う、うわぁ⋯⋯ヤベェ⋯⋯」


 冗談だと言って欲しかったが、ガルの真面目な表情からするに本当なのだろう。


「つまりあれか、自然全てを相手するって事か」

「あぁ」


 はぁ、と小さく息を吐いた。なんだよ全部って最強キャラかよ、と思わず心の中でぼやく。

 それでも、少しも怖くはなかった。


「なんだ、割と平気そうな顔だな」

「いやいや全然、全くどうやっても勝てるビジョンが見当たらねーよ。でも、負ける気はもっとねーよ」


 戦意は十二分にある。足りないのは、己の魔法についてと対策。大丈夫だ、まだ時間はある。


「話せるのはこのぐらいだ。あとはテメェ次第になる」

「やるさ、やってやるさ。四大元素使いが何だ、んなもんぶっ飛ばしてやる」


 己を奮い立たせ、拳を握りしめる。


「ワタクシも忘れてもらっては困ります!」


 ヌッと魔法陣からアニマが飛び出してきた。どうやらこちらの話は既に伝わってる様で、やる気満々という感じで腕をぐるぐる回したりしている。


「ガル、こうなりゃ手加減は無しだ。俺の練習に付き合って貰うぞ。全力でな」

「ったく、怪我だけはしてくれるなよ?」

「お前の方こそ」


 早足で外へと向かう。天気は快晴、外での運動にはぴったりだった。

 体慣らしに伸脚をし、魔法陣から真槍を引き抜く。ふと、隣のアニマが何か大きな物を担いでいるのに気がついた。


「何だそれ?」

「鎌です。死神の武器と言ったら鎌じゃないですか」

「はぁ⋯⋯」


 確かに、言われてみれば鎌だ。長い棒の先に湾曲した刃が付いている、どこからどう見ても鎌だ。


「真槍も頑張って二本ぐらいまでしか同時に出せませんし、それだけじゃ心もとないと思いまして作ってみました」

「へぇ⋯⋯」

「ですが何故か刃がトンデモななまくらでして、切るというよりは鈍器として使った方が武器になると思います」

「ほぉ⋯⋯」


 武器まで適当な奴だな⋯⋯と思った。しかし、あの長さから繰り出されるフルスイングを食らえば、下手をしたら切られるより痛いかもしれない。テコの原理こそ最強デース。


「準備はいいか?」


 少し離れた位置から、ガルが話しかけてくる。あちらは既に足元と空中に魔法陣を展開し、準備万端と言った様子だ。


「俺は大丈夫だ。アニマ、お前は?」


 並んで立つアニマ。彼女は俺の方へと顔を向けると、コックリと頷く。


「じゃあガル、頼むぜ」


 真っ直ぐ、ひたすら真っ直ぐにガルを見つめる。自然と口元が釣り上がり、俺の顔は獲物を捉え、牙をむいた獣のようになっていた。


「よっしゃ、来やがれ!」


 ガルが叫ぶ。その叫びを合図に、俺は全力で駆け出した。

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