『青色』の少女
4話目です。
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俺の家は街の端にある。
俺の両親は海外で仕事をしており、俺は祖父と暮らしている。
この祖父が画家をしており、業界ではかなり有名な人らしいのだ。見た感じは普通のおじいちゃんと言う感じであり、俺は未だに本当に画家なのかすら信じられない。絵を書いてるシーンすら見たことがないのだ。
そのおかげもあってか家はなかなか大きめなのだ。
その家へ急いで駆け寄りドアを開ける──鍵がかかっていた。
「クソッ!また絵描き仲間とかと遊びに行きやがったな!?」
焦りがじわじわと体を巡る。追ってくるのを見た訳ではないが大男は多分動き始めてる。そして俺達を探していると感じた。
鍵を探そうとするが、先程背負う形に抱え直した少女を落とさないようにするだけで手が塞がってしまっていた。
「よし!とりあえず落ち着こう俺!とりあえず女の子を片手で上手く抑えて………よっと」
片手で背負い投げをするような変な格好になりつつももう片手がなんとか空いた。ポケットへ手を突っ込み鍵を探る。指先に鍵の感触があり、急いで引き抜き穴へ差し込む。
カチャッ、と小気味よい音がして鍵が空いた。急いで家の中へ入り再び鍵を閉める。
とりあえず少女を2階の客室のベッドへ寝かせる。
窓から外を見たが特に異常はない。そのまま俺は客室から出て、扉の前で状況を整理することにした。
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「てかよくよく考えたらなんで家に来たんだろ俺は……」
それもそのはず、初対面どころか対面すらしてない少女を家の中に連れ込むなど文句どころか通報されてもおかしくないレベルだった。
少女が目覚めたらとりあえずなんて言おうか、そんな事を考えながら少女が眠っている部屋の扉の前をウロウロする。
「それにしてもあの大男とか龍みたいな水、まるでアニメの世界だったな」
あの光景を思い出し、胸が高鳴る。何を隠そう俺もそっち系が好きな人間なのだ。もしあの少女を寝かせる部屋が自室だった場合は通報されるよりもヒドイことになっていただろう。
「で、だ。俺は今から何をすればいい?」
そう1人呟く。
「とりあえずあの女の子の様子でも見に行くか。」
そうやって再びドアを開く。少女は変わらず眠っている。
─全身を青いローブのような服で包みながら。
ちなみに特徴的なとんがり帽子は脇に置いてある。
華奢な体つきが服の上からも分かり、顔は幼さが目立つ。
が、漂う雰囲気はクールな感じで年齢はよく分からない。
髪は黒く長さは腰の下の辺りまであり、背中の辺りでまとめている。
そして─
「外国人だな、この子。 顔つきとか。」
そう、どう見ても外国人っぽいのだ。雰囲気や顔の作りなどが。
「どこの国だろ、まぁどこの国でも喋れないけど。」
そして外国語どころか母国語すら危うい人がここに。
ちなみに英語は中学時代から2だ!5段評価でだ!
そのせいで他の教科はそこそこいいのに総合的には普通なのだ。
「うーん、困ったな。とりあえずネットの翻訳でも……」
そう言いながら携帯を点けようとした瞬間──
少女が目を開けた。その瞳は青く、テレビでよく見る南国リゾートの海のように綺麗だった。
そしてその少女は上半身を起こすと部屋を見渡し、俺を見つめる。
突然の出来事に俺は──
「は、はろー!はーわいゆー?」
……アホか、俺。
そう自分で突っ込みを入れる。
1人パニクってると少女は口を開き、
「とりあえず説明してもらっていいかな?」
めちゃくちゃ流暢な、てか多分これ日本人だ、多分じゃない絶対日本人だ。そう日本語を発しながら俺を見た。
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「なるほど、助けてくれたのね、ありがとうございます」
少女は礼儀正しくこちらに向かって深々とお辞儀をした。
俺は大男に石灰煙幕で目くらましをして逃走し、家へ連れ込んだ事を話した。
ぶん殴られるかと思ったが、お礼の言えるいい子だった。
「あぁ、うん。何も無いとだけどゆっくりしていって」
まだ少し混乱して変な発言をしてるあまりいい子ではなさそうな男もここにいた。
「あーとりあえずなんか持ってくるよ、うん」
そう言って部屋を出る。キッチンへ向かいテキトーに紅茶(多分高級なヤツ)を淹れる。
祖父のお客や友人によく淹れるのでお手のものだ。
お茶を淹れながら聞きたいことを整理する。
とりあえず最優先で聞かなければならないのはあの大男だ。
鍵はかけたがあんな大男にかかれば扉など板切れだろう。万が一うちの扉がぶち破られたら大変だ。
そうやってできたお茶を運びながら部屋へ向かう。
「粗茶ですが。」
そう言って少女へカップを渡す。
「わざわざありがとうございます。」
うん、やっぱりいい子だ。そして動くと可愛い。
眠っている時とはまた違い、普通の日本人のような雰囲気に少女は変わっていた。
とりあえずお茶を飲む。
そして一呼吸置き、
「とりあえずあの大男について話を聞きたいんだけどいい?」
そう質問してみた。
少女は少し考えると、
「私が魔法を使えるって言ったら信じる?」
そう聞いてきた。
まぁさっきの戦いのようなものを見て、なおかつそのようなシチュエーションをよく見てきた(二次元で)俺は割と驚きも疑いもせずに
「あぁ、信じる」
そう言うと彼女はふっと微笑み、口を開いた。
「あなたは面白い人ね。日本にいる人は変な人が多いと聞いたけどあなたもそんな感じなのですかね」
おい誰だそんな知識吹き込んだヤツは。確かに変な人が多いし変な人の変なトコも他の国と比べると一線を画す。
「あー、そんな感じだ。でもちゃんと生活してるから一応安心してくれ。」
そう言って俺は笑いながら少女へ顔を向ける。
「では魔女狩り、と言う風習は知ってる?」
「あぁ知ってる」
魔女狩り…それはヨーロッパ諸国で昔あった文化や風習のようなものだ。魔法や魔術は悪魔と契約して行われると言われており、悪魔を敵視する宗教団体が魔術や魔術を使う者を魔女と呼び迫害した事から始まったとされる。
「あの風習はまだ残っているのか?」
「そうよ、日本ではあまり見られない光景だけどヨーロッパの方ではいまだ続いているの」
なるほど、大体理解した。
「つまりあの大男は魔女である君をその……倒そうとしに来たってわけか」
一瞬言葉選びに詰まる。魔女狩りによって捕らえられた魔女は最悪殺されるからだ。
「大丈夫よ、気を使わなくて。多分そのイメージ通りだから」
外国怖いな!そう思いながら俺はもっと他のことも聞きたくなってきた。
「ところであの水の龍の様な物、あれはやっぱり魔法なのか?」
「そうよ、あれは私が使える数少ない攻撃用の魔法なの」
「凄いな!本物の魔法を見ちまったぜ!」
興奮する俺を見つめ、少女は魔法について話を進める。
「魔法にはその人が持つ特有の『色』によって使える種類や傾向が違うの。 『色』はどんな人でも持っている。誰でも実は魔法を使えるのよ」
「つまり俺も魔法を使えるのか!」
おぉ、なんか燃えてきた。
「ちなみに君は何色の魔法使いなの?」
そう少女に聞く。
少女は自慢げに笑みを浮かべこちらを見て
「私の家系は代々『青』の色を持つ一家の今のところ継承者なのよ!」
なるほど、『青色』の魔女か。
そう思いながら俺はもっと少女に魔女について聞きたくなっていた。
大男の事はすっかり忘れていた。
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