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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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トリ頭

「なんだよあのトリ頭……聞いてねぇぞ」


 まだグラグラする頭を振りながら立ち上がり、ガルに文句を垂れる。


「まさかテメェ、アニマを知らねぇのか?」


 ガルは物珍しそうにしながら聞いてくる。もしかして、魔法使いの中では常識的なものなのだろうか。


「ごめん知らない。アニマって単語自体は知ってるんだが……」


 確か魂とか生命って意味だった。ユングの心理学の中では男性の中の女性らしさを表す言葉としても使われている。


「テメェ、ホントにド素人なのか。よく兄貴と戦おうと思ったな」

「うっ……」


 ぐうの音も出ない。


「まぁ、今知れたからいいか。んで、アニマって何だよ」

「アニマってのはいわゆる使い魔だ」

「使い魔?! 何それカッケェ超欲しい!」

「お、おう……そうか……」


 なんだか凄く魔法使いっぽい。というか、やっと魔法っぽくなってきた感じだ。


「それじゃ、あの鷹みたいな鳥はガルのアニマって事か?」

「そうだ」


 先程顔面を蹴ってきたトリ頭を思い出す。なるほど、主人のピンチに助けに来るのは使い魔らしい。


「呼び出せるか?」

「いいけどよ……止めといた方がいいぞ」

「いいからいいから」

「どうなっても知らねぇからな」


 ガルは嫌々ながら後ろを向き、地面に緑の魔法陣を展開する。

 すると魔法陣から、あの鷹が勢い良く飛び上がってくる。重力を無視した羽ばたきを見せながら、弾丸の様な速度で鷹は俺の目の前に迫る。


「お前か、黒色の魔法使いと言うのは」

「シャァベッタァァァァァァァ!!!」


 鷹は俺の目の前で空中に静止すると、俺に向かって喋りかけてきた。


「喋らなければ使い魔としての仕事ができないだろう」

「お、おう。ごめん」


 驚かれたのがショックだったのか、不機嫌そうな声で呟く。ちくしょう、使い魔のクセに無駄にいい声してやがるコイツ。男らしいというかカッコイイ声というか。


「そもそも君は一つの事に囚われすぎなんだ。さっきもそうだ。私の攻撃にも全く気づかなかっただろう。あのままではベルどころかガルにすら敵わないぞ。と言うか、ベルなら最初の雷撃で倒せる。ガルだったからいいものの、あれでは戦いにすら──」

「あぁ分かった分かった!」


 なるほど、ガルが呼び出したくない理由が分かった。コイツ、とにかく口うるさい。

 確かにベルと戦うなら、全弾回避するくらいじゃないとすぐ負けそうだ。それは正しいが、それならそれだけ話せばいいものの、このトリ頭は5倍くらいかけて話やがる。

 よし、ムカついたからコイツは今からトリ頭と呼ぶことにしよう。


「お前、割と苦労人なんだな……」

「色々振り回されているテメェ程じゃない」


 まだ何か喋ってるトリ頭を無視して、俺はガルと互いの苦労をいたわる。


「ガル、俺もアニマを召喚したいんだが。できれば静かなヤツ」

「そいつは出来なくはない。だが、どんなヤツがアニマになるかはほぼランダムだ。それでもいいか?」

「どうせいなきゃベルには勝てない。やるさ」

「わかった。それじゃ、やるか」


 トリ頭を魔法陣に押し込みながら、ガルは少しだけニヤリと笑った。

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