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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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お風呂回()

働きたくない

「やぁ、待っていたよ」


 風呂場へと入った途端、湯船の真ん中に堂々と居座っていたベルと対面した。


「いやまて、その理屈はおかしい」


 なんでさっきまで話してた奴がココにいるんだ。そしてなんで風呂に入ってるんだ。


「まぁ、少し話をしに来ただけだよ」

「話?」


 なんの話だろうか。もしかして、決闘前に心理戦を挑むつもりか。


「とりあえず体洗ってからでいい?」

「あぁ、いいよ」


 俺は端にあるシャワーの前に座る。風呂場と言うより、もはや温泉と言った方がいい程広い風呂場だ。ベルとは十分に距離を取れる。


「奇襲されたらたまったもんじゃないからな……」


 後ろを警戒しながら、シャワーを浴びて体を洗う。ベルを見た限り、そんな事はしないとは思うが念のため死角に魔法陣を展開しておく。


「…………」

「…………」


 俺もベルも黙っている。シーンとした浴場の中で、水の流れる音だけがただただ響いていた。


「無言の空間って辛いな……」


 俺はどちらかというと騒がしい方が好きな方だ。だからこんな風に何も言われないでいると逆に不安になる。


「…………」

「なんか喋れよ……」


 沈黙に耐えられなくなり、たまらずベルに喋りかける。多分俺、心理戦弱いわ。


「黒峯君、君はどうやら魔法使いに向いてないのかもしれないな」

「ンだとォ?!」


 俺だって成り立てとはいえ魔法使いだ。一応誇りと言うか自覚は少しはあると思う。それだって言うのに、よりによって敵対してる相手に言われたらかなりショックだ。


「テメェ、決闘前に喧嘩したいんだったら受けて立つぜ……」


 眠けも相まって、最高に不機嫌になった。裸のまんま湯船のフチに立ってベルを睨みつける。これでもかと言うくらい敵意を向けて。


「まあ落ち着きなよ。向いてないが、出来ないわけではないから」

「お、おう……?」

「それで、話と言うのはその事なんだ。とりあえず、お湯にでも浸かって話をしようよ」

「お、おう……」


 なんだか上手くはぐらかされた気がしないでもないが、とりあえず喧嘩をしに来たわけではないらしい。敵意を収め、湯船に浸かる。

 真ん中に堂々と居座るベルと、端っこギリギリにいる俺。


「んで、なんだよ話って」


 敵意が無いことは分かっていても、敵であることには変わりはない。なるべく距離をとりながら、ベルの話を聞く。


「先程も言ったとおり、君は魔法使いには向いていない。目の前の事だけに囚われ、何があっても自分の意見を貫き通す。単純に言えば猪だ。君も分かっているだろう。君は私と戦うような力は無いと」

「ひどい言われようだな……」


 認めざるを得ないが、俺は確かに力不足だ。ガルにさえ勝てなかったクセに、小夜の為にとベルと対峙している。


「それでも、小夜の為に戦うと決めたんだ。だから、お前になんと言われようと俺はお前をブチのめす。それだけだ」

「そう、そこなんだよ。どうして君はそこまで彼女を助けようとしているんだ?」


 ベルは先程小夜のお母さんと同じ様な事を言う。だが俺は同じように答えられない。


「私はそこが不思議でたまらないんだよ。何の見返りも求めずに、ひたすらに青原小夜と言う少女の為に自分を張り続ける」


 ベルの言葉がひとつひとつ胸に刺さる。わからない。わからないんだ、俺は。

 それでも、どうしてもやらなければならない気持ちだけはある。だから俺は──


「それでもだ、ベル。俺は小夜の為にお前を倒す。理由なんて要らねぇ、だからもうその質問は無意味だ」


 立ち上がり、はっきりと告げてやる。これ以上はもうベルとの話は平行線だ。


「……やはり、君は魔法使いに向いてないよ」


 心底驚いたような顔で、ベルは立ち上がった俺を見つめる。


「そうか、そりゃよかった。じゃあな」


 その顔に背を向け、俺は風呂場を後にする。そのまま着替え、部屋へと直行する。


「明日からどれくらい出来るかわからねぇ。でも、あの野郎は絶対ブチのめす」


 決意を更に固め、眠りにつく。こうなったら、とことん魔法を使えるようにしてやる。

 燃えるような闘志を胸に、俺は天井を睨みつけながら眠りについた。



─────────────────────


「黒色……やはり、君は私には勝てないよ」


 人の居なくなった風呂場に一人。緑色の魔法使いは不敵に笑っていた。




真「おい!お風呂回って男のじゃねーかよ!」

ベル「いいじゃないか、楽しそうで」

真「小夜とライヴの洗いっこは?!胸の大きさを比べて悔しがる小夜のシーンは?!胸が大きくなって困るライヴのシーンは?!」

ライヴ「ねーよ」

小夜「駄目だこいつ……早くなんとかしないと……」


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