驚く事に定評のある真
───あぁ、ちくしょう。
嫌になるぜ全く。
自分の事すら分からなかったんだから。
「もう一度聞こう。君は──何の為に戦うのかね?」
目の前の人物が語りかける。
そんなの、分かりきっていたことだ。
「俺は……俺は!」
前を見据えろ。
目指す未来を見据えろ。
大切な今を見据えろ。
「俺は、小夜の為に戦うんだ! 他の誰でも、何の為にでも無い!」
俺は叫ぶ。
目の前の人物はとても悲しそうに─
「そう、残念だよ。君はワタシとは違うようだ」
そして俺はとても楽しそうに─
「はっ! そいつは最高に嬉しいなァ!」
そう言って再び俺は駆け出す。
「待ってろ、小夜。コイツぶっ倒して、すぐそっちへ行くぜ!」
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「楽しそうね、小夜。あと、真君」
「あっ」
「あっ」
小夜のお母さんは膝枕してる二人を見ながら笑う。
「こ、これは色々ありまして別にそんな関係では……」
「えぇ、楽しいわ。だから私は大丈夫よ」
「小夜?! 全く大丈夫じゃないんだけど?!」
「ふふっ、真君。 よろしくね」
「何が?!」
色々と勘違いされる言い方だった。
小夜は何故そんな言い方をするんだろうか。
「それより小夜のお母さん……でいいすか?」
「お義母さんでもいいわよ?」
「なんか違う気がするんですけど?!」
「ふふっ、冗談よね? 小夜」
「あ……うん……」
小夜は何故か歯切れの悪い返事をする。
「とりあえず小夜、そろそろ起きていい? 話しにくい」
「……仕方ないわね。 はい」
俺はやっと膝枕から解放される。
少し名残惜しい感じもするが、仕方あるまい。
「んで、話戻していい? 小夜を連れ戻そうとした奴らって誰?」
「それは小夜の父親。つまり私の旦那様よ」
「……ッ!」
小夜の方がビクッと跳ねる。
そういえば父親が家出の原因だと言っていた。
「あー、つまりガルは小夜の親父さんから頼まれて日本へ来たってわけか」
「あぁ、そうだ。テメェのせいで失敗したが」
根に持たれていた。
「んで、なんで小夜のお母さんが来るんだ? 小夜のお母さんとは喧嘩してないんだろ?」
「それは私も分からないの。お母さん、まさかお父さんと同じ考えになったの?」
「違うわ、その逆。 小夜、お父さんの意見に従っちゃダメよ」
「んん? よくわからないけどそれじゃなんで?」
「いい質問ね、真君。そしていいタイミングでもあるね」
「……何か嫌な予感がする」
小夜のお母さんはにっこり微笑んで俺を見つめてくる。
何か企んでそうな目だ。
「真君、お婿さんに来ない?」
「はい?」
「え?」
「は?」
その言葉に俺達三人はそれぞれ驚きを見せる。
お婿? お婿って何だっけ。新しい食べ物だっけか。
「ねぇ小夜、お婿って食い物あったっけ?」
「さ、さぁ。私は知らないわね」
「だよなぁ」
「おいテメェどうゆうことだ」
「ガル、お婿って知ってる?」
「なんで知らねぇんだよ!」
「はははー」
知らないのではない。
脳が認識する事を拒否してるのだ。
ガルは俺の襟首を掴むと前後に揺らしてくる。
「なんでどこから湧いたか分かんねぇテメェに小夜を預けなきゃならねぇんだよアァ?!」
「知らないよ……俺も聞きたいよ。てゆーか離せ」
脳がフラフラしてる。
あの野郎、どんだけ強く揺さぶるんだ。
「んで、小夜のお母さん。お婿って何だよ?」
「そのままの意味よ。真君は小夜とイチャラブしてくれればいいのよ」
「イチャラブって……てか待ってなんでそんな事に」
「あら、小夜はまだ話していないのね。小夜は─」
「それは私から説明するわ」
小夜が割って入る。
「私、お父さんと喧嘩して家出したって言ったでしょ?」
「あぁ、それで戻るに戻れなくなってとりあえず同盟組んで気を鎮めさせようって日本に来たんじゃなかったか?」
「そうよ、その通り。でも喧嘩の理由は話してなかったでしょ?」
「そういえばそうだな。いいのか? 身内の話だろ?」
「いいわ。どうせ話すつもりだったし」
「そうか。それじゃ遠慮なく……とは言わないが聞かせてもらおう」
俺は小夜と向き合う。
そういえば透けてたんだった……
ていうかお母さん言ってやれよ。
「ふふ、青春だね。いいなー」
「あぁクソ……絶対気づいてやがる……」
俺はどこに目をやればいいかわからず、視線を泳がせる。
「真、どうしたの? やっぱりどこか悪いの?」
「いや平気だよ! んで、なんで喧嘩したんだ?」
「私の婚約よ」
「……は?」
「婚約」
「誰の?」
「私の」
「………………アァ?!」
思わずガルのような口調で叫ぶ。
今日はよく驚くな、俺。
「婚約?! 何で?!」
「落ち着いて真。そうじゃないと説明しづらい」
「あ、あぁ。うん、それで?」
「それが嫌だから喧嘩したの。だって勝手に決められたら嫌じゃない」
「それは嫌だろ……」
誰だって嫌だろう。
そりゃあ喧嘩して家出したくもなる。
「え、それってつまりさ」
先程の話がすべて繋がる。
「俺を使ってその婚約を潰そうってわけ?」
「そうよ」
「そうね」
青原親子に揃って肯定される。
───あぁ、どうやら面倒な事になりそうだ。
早くバトルシーン増やしたい((っ•ω•⊂))ウズウズ




