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彩色の魔女  作者: 唄海
序章
13/115

幼なじみ/転校生/罵倒系女子

13話です!

読んでくださった方本当にありがとうございます。

これからもよろしくお願い致します。

夜、録画してたアニメを部屋で見てると海千流から電話がかかってきた。


「さっちゃん元気?」

「いや、元気だけど……」


別に珍しい事でもない。たまに電話でなんでもないような会話はしてる。


「ねぇ、聞いた? 明日もしかしたら転校生が来るかもしれないんだって」

「転校生? こんな時期にか?」


今は春の終わり頃だ。 こんな時期に来るなんて事は普通ありえない。


「まぁ、噂だけどねー」

「この時期にこんな噂が出るなんておかしいだろ……」

「そうなんだよ! てことはやっぱり転校生が来るのかね」


うちの学校は普通の私立高校だ。

偏差値が高くもないし低くもない。目立つような功績の部活もない。なぜそんなところに転校してくる必要があるのか。


「……可愛いといいな!」

「引くわー」

「ひでぇ!」

「そんなんだから彼女できないんだよ?」

「別にいらねぇよ」

「本当に?」

「本当に」


なんでコイツはこんなに俺に構ってくるのか。これでも花の女子高生なのだから俺よりももっと青春してる奴らと付き合えばいいのに。


「てかさっちゃん、貸した服返してよね」

「あぁ、そうだったそうだった。 多分明後日あたりには返せる」

「なら良かった」


借りた服はついさっき洗濯して干してある。本来なら外で干したいがあれでも色々とあるのだ。 外よりは中の方がいいだろう。


「そういえばさっちゃん、親戚の子、服のサイズ合ってた?」

「あぁ、少しデカかったが着れたよ」


実際海千流も小柄ではあるが、小夜はもっと小柄だった。

胸周りについては何も言及しないでおこう。怒られる。


「で、転校生の話は終わりか? ちょいと今アニメ見てるから忙しいんだが」


昨日はドタバタがあって見れなかったのだ。


「もう! アニメより話をしようと思わないの?!」

「思わん」

「もういい! なら寝る!」

「そうか」


結局海千流は転校生の噂について話をしに来ただけのようだ。

俺は電話を切る─────と、その前に海千流が話す。


「ねぇ、さっちゃん。 今度、泊まりに行ってもいい?」

「何言ってんだみっちゃん急に……多分無理だぞ」

「そう……なんだ」

「ん? どうした、お泊まり会がしたいなら女子の家に行けばいいじゃん」

「いい、聞いただけ。 それじゃ、また明日」

「おう、また明日」


そう言って今度こそ電話は切れる。

なんだか変な会話だった。海千流は一体どうしたんだろうか。


「まぁ、女子には色々あるって言うしな」


そう俺は一人で納得して再びアニメへ戻る。

こうして夜は明けていった。


─────────────────────────────




翌朝、アラームの音で目が覚める。

今は6時、朝食の準備の時間だ。


「あぁ……クソねみぃ……」


俺は結局3時くらいまで起きていた。寝不足でクラクラする。

そのまま俺はキッチンへ行くと朝食を準備する。

しばらくして小夜と祖父が起きてきた。


「おはよ〜」

「おはよう、真」

「あぁ……おはよ……」


俺は眠気と戦いながら朝食を出す。 今日は失敗しないでちゃんと焼けたトーストだ。


「じいちゃんは今日どうすんだ?」

「今日は特にないよ〜」

「そうか、小夜は今日家にいるから何かあったらちゃんと助けてくれよ」

「わかってるって〜」


祖父が笑いながら言う。なぜかその目は何か企んでるような目だった。不安だ。


「それじゃ、そろそろ行ってくるよ。小夜、何かあったら電話くれ」

「えぇ、いってらっしゃい」


そう言って俺は家から出ると駅へ歩く。

駅は登校する学生でいっぱいだった。

俺はいつも通り電車を乗るといつも通り学校へ向かう。


「あ、さっちゃんおはよ」

「おう……おはよ」

「眠そうだね」

「あぁ……クソねみぃ」


途中、海千流と会う。

乗る駅が違うため学校までの道でしか会うことがないのだ。


「そいや今日の授業何あったっけ」

「私に聞かないでよ……」

「とりあえず何か寝ないとヤバイ」


俺は思ったより休日の疲れが抜けてなかった。正直、もっと寝ておくべきだと後悔してる。

そうやって教室へ行くと倉﨑と桐山が待ち構えていた。

そういえば説明しなきゃならないんだったな……


「よう、真。昨日の事はちゃんと話してもらうぞ!」

「そうだそうだ! ラブラブデートしやがって!」

「テメーらあらぬ疑いをかけられるからその発言はやめろ……」


朝から疲れる奴らだった。

海千流がすげー目で見てくる。違うってば。


「とりあえず寝させてくれ……疲れた」

「おいこら逃げるな!」

「起きろ!」

「んがー!」


俺は自分の机に突っ伏すとそのまま眠る。何か揺らされてるが眠気には勝てない。

そのうち二人は諦めたのか自分の席に戻っていった。

そうやって惰眠を貪っていると鐘が鳴る。ホームルームの始まりの鐘だ。


「うーし、ホームルーム始めっぞー」


そう言って担任が入ってくる。うちのクラスの担任は姐御肌な雰囲気の若い先生だった。年を聞くと単位を落とされるらしいので誰も年齢はわからないが、下手したら生徒と偽ってもバレないようなレベルの若さだ。そのせいでよくナンパされるらしい。


「先生、転校生来るって本当っすか?」

「あぁ? なんで知ってんだお前ら」

「やっぱりマジで来るんすか!」


教室がざわめく。


「まぁ、ちょっと遅れて来るみたいだから後でな」

「えー」


先生はいつも通り出席を取り、連絡をする、と──────


「すみません、遅れました」


そう、一人の少女が教室へ入ってくる。


「お、来た来た。みんな、この子が転校生の子だ! 仲良くしろよ!」

「皆さん、よろしくお願いします」

「めっちゃ可愛いやんか……」

「綺麗だ……」


今日中からそんな声が上がる。

そんな中爆睡してる俺はまだ状況を全く理解していない。

と、突然叩き起こされる。


「んあぁ……後五分……」

「アホなこと言ってないでちゃんと起きろ!」

「あい……起きます……クソが……」


そうして起きた俺はやっと転校生に気づく。

───その瞬間、全ての思考が停止する。


「なぁなぁ、超可愛いなあの子。 真もそう思うだろ?」


後ろの席から言葉が投げかけられる。しかし俺は全くその言葉を聞いていない。

だってその転校生は────────


「小夜……え……なんで……?」


そう、そこには学校の制服を見事に着こなし、青いリボンを付けた美少女とも言える女の子が立っていたのだ。



これが、大波乱のスクールライフの始まり──────に、なるかもしれない



─────────────────────────────



「なんだ、黒峯。この子と知り合いか?」


思わず立ち上がって小夜を見つめる俺に先生がそう質問する。

答えに迷っていると、小夜は先生のほうを向き


「何度も助けてもらったんです。正直、真がいなかったらどうなっていたかわかりません」

「ちょ待て小夜色々あるけど一旦落ち着こう、うん落ち着こうとりあえず説明してくれなんで小夜がここにいる」

「うわぁ、この二人既に名前で呼び合ってるよ」

「うっそだろ! あの真が俺達を出し抜いてこんな子と仲良しになってるなんて!」

「しかも超絶美少女……」

「キャーキャー!」


周りの奴らが騒ぎ出しし始める。俺は混乱してきた。

予想外過ぎてどう行動したらいいのかわからない。


「んじゃ、ホームルーム終わり! 授業頑張るように! あ、あと青原さんの机は廊下に持ってきてるから決めといて」


そう言って先生は帰っていってしまった。逃げやがったな。


「おい真、なんで昨日の子が俺達の高校に転校して来たんだよ」

「てかお前めっちゃ仲良さそうじゃんか死ね!」

「なんで転校して来たのかは俺も聞きたいよ……」


俺は二人に教室の後ろに連れていかれ、尋問を受ける。

小夜はクラスメイトからの質問攻めにあってる所だった。魔法の事についてははぐらかしてくれるといいのだが。


「青原さんは前どこに住んでいたの?」

「前はイギリスに住んでいたの。家庭の事情があってこっちへ来たのよ」

「イギリス?! スゲー!」

「今はどこに住んでいるの?」

「今は真の家に居させてもらってるわ」

「え?!」

「え??!!」


全員が一斉にこっちを見る。そのへんもはぐらかしておけよ……


「お前ら、痛い」


二人がギリギリと俺の腕や首を締めてくる。

傍目から見ると少し危ない。


「本当に同棲してんのか」

「リア充は死すべし」

「いてぇっつってんの!」

「ねぇ黒峯君」

「あ? 何?」

「黒峯君と小夜さんってどんな関係なの?」

「どんな関係も何もねーよ!」

「同棲してて何の関係もないなんてあるわけないじゃんか」

「本当にねーよ! てか二人とも離せ暑苦しい!」


俺は二人の拘束をふりほどく。

締められた所が赤くなっていた。後でこの二人は潰す。


「とりあえず青原さんの席はどこにするか決めたら? もうそろそろ一時限目始まっちゃうよ?」

「んじゃ俺んとこがいいぞ! 黒板見やすいし!」

「いや俺だな! ここなら色んな人と話せて仲良くなりやすいだろ?!」

「お前らわかってないな! 俺の隣なら授業中遊んでても見つからないんだぜ! ここに決まってるだろ!」

「あ、あはは……」


小夜も若干引くくらいクラスの男子はがっついていた。

女子の皆さんはドン引きだぞ……


「青原さんはどのあたりに座りたいとかある?」

「私は……ううん、どこでもいいわ」


小夜はちょっと遠慮したような返事をする。

別に希望があるなら言えばいいのに。


「じゃあ俺のトコ!」

「ちげーよ俺だ!」

「だから俺だってば!」


……なんか決まらなそうだぞ、この調子だと。

あと二分くらいで一時限目が始まってしまう。

ふと、小夜と目が合う。小夜は何か訴えるような目で見てくる。


「……?」

「ぅう〜」


なんだろ、凄く悔しそうな目で見られた。

何かダメだっただろうか。

周りの女子は何かを察した顔になる。


「さっちゃんの隣でいいんじゃないの? 知ってる人が隣にいた方が色々と楽でしょ?」


それまで会話に参加していなかった海千流が提案する。

クラスの男子から一斉に恨めしそうな視線が集中して少したじろぐ。どれだけ小夜とお近づきになりたいんだ……


「そうね! それがいいわ!」

「他の男子はやっぱりダメよ!」

「にしても黒峯君はバカね」

「そうよ、最悪だわ!」

「アホ」

「俺何かした?!」


何故か女子から俺にブーイングが飛ぶ。

俺本当に何かしたか?!


「ならそれでいいわね。 小夜ちゃん、さっちゃんドンドンこき使っていいからね!」

「ありがとう、海千流さん」

「海千流でいいわ。でもみっちゃんは呼ばないで貰える?」

「わかったわ。 ありがとう、海千流」

「……?」


海千流は俺以外にはみっちゃんと呼ばせない。

やっぱりこの年になってそんな呼ばれ方で呼ばれるのは嫌なのかもしれない。

でもそれならなぜ俺だけは呼んでいいんだろうか……


「それじゃ急いで席替えしよう、もう始まる」


俺は廊下にあった机を持ってくると自分の隣に置く。

元々いた奴には申し訳ないが後ろに回って貰った。


「真」

「ん?」


自分の席に座ると小夜が話しかけてきた。


「これからよろしくね」

「……あぁ」


俺はそっけない返事を返す。


───そんなやりとりを海千流は何とも言えない目で見つめていた。






キャラ設定は要望があればやるかも……

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