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第31話 魔力の視える青年

「ーー分かったわ。報告ご苦労。直ちに調査団を派遣しましょう。それから破壊された森の後片付けと……。動物達の供養も……」


屋敷の広間にてトーヤの報告を聞いたアリシアの憂を含んだ声が響いた。

無理もない。母は森を慈しんでいる。

だからこそ、奴らが許せなかった。


「直ちに調査団を編成し、向かわせます」


トーヤの言葉にアリシアが頷く。


「密猟者のロボットの四肢を森に放置していますので、回収したのち詳しく調べたほうが良いと思われます」


「そうね。どこの国の密猟者なのか分かるかも知れないですものね」


アリシアが感慨深げに言うと、ルクに視線を移した。


「ルク、貴方の力を借して下さい。密猟者のロボットを調べてほしいのです」


真摯なアリシアの視線を受け、ルクが頭を垂れる。


「ハッ!アリシア様のめいならば、ワシらは命に代えてもやり遂げますじゃ!なんなりと命じてくだせぇ!」


ルクが声を張り上げ、宣言した。


「ありがとう、ルク。お願いね」


「ハッ!必ずや、密猟者の手がかりを見つけてみせますぞ!期待してくだせえぇ!」


使命に燃えるルクにアリシアが微笑む。


「そうと決まればじゃ!」


ルクが勢い良く立ち上がる。


「ワシは工場に戻ってこれからの段取りを立てますので、一先ず、おいとませていただきますじゃ」


そう言うと、一礼してから慌ただしく帰ってしまった。

しばらくすると、『コンッ!コンッ!』と扉をノックする音が響いた。

アリシアが返事を返し、その人物を招き入れる。

その人物はまるで見本のようなお辞儀をした。

燕尾服に身を包んだ初老の紳士だ。白銀の髪に所々、緑色の髪が混じっている。

物腰の柔らかそうな温和な顔立ちだ。


「丁度よかったわ。クドラク。貴方の意見も是非、聞かせてちょうだい」


クドラクは長きにわたりスプライト家に仕えてくれている。アリシアをはじめ、使用人や兵士、周囲の村や町の人々からの信頼も厚い。


「老いぼれの意見など幾分、役立つか分かりませんが、僭越ながら私めの考えを述べさせていただきます」


クドラクが一礼する。


「何を言っているの。貴方ほど人をよく見ている人はいないわ。優しくてしっかり者だもの」


アリシアが言った。


「勿体ないお言葉です」


クドラクが頭を下げる。


「さあ、早く座って。話し合いを始めましょう」


アリシアに促され、クドラクが席に着く。話し合いが始まると、あれやこれやと意見が交わされ、終わったのは明け方だった。

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