焼肉食べホーダイ
「食え、食え」
「もっと食え」
「どんどん食え!」
赤鬼、青鬼、黒鬼に茶鬼──
鬼たちの剛腕により、無理矢理に、口の中へ焼肉を詰め込まれていく地獄。
この地獄の名は「焼肉食敝奉臺」──生前大食の罪により裁かれた者が落ちる業火の裡である。
「カルビ百人前、お待ち」
「ロース五百人前だ、食え」
「ホルモンセットはよく焼いて、よく噛んで、そして飲み込むのだぞ」
ふるまわれるはすべて牛肉──
正しくいうならば牛鬼の肉だ。
地獄の牛鬼はその身を切り裂かれても瞬時に再生する。
それゆえいつまでもどこまでも、亡者の腹が裂けてもふるまわれ続ける。
そして亡者はけっして死ぬことは許されなかった。
泣き喚きながら、鬼たちに肉を口に詰め込まれ続ける。
合間に丼に盛られた白蛆も詰め込まれる。
咀嚼し続けて顎がはずれ、胃がイヤイヤと拒絶をして、唾液にまみれた肉を吐き出そうものなら、即座に頸を切り落とされる。
しかし死ぬことはない。
楽になれはしない。
転がった亡者の頭はすぐさま近くに打ち捨てられていた頸のない小型犬の胴体に据えられる。
小型犬が尻尾を嬉しそうに振りながら立ち上がる。
食欲が脚を駆けさせ、亡者の意思とは無縁に、鬼に駆け寄り、肉をねだる。
「ちょうだい! お肉、ちょうだい!」
そしてその小さな胴体に、百倍の量の肉が詰め込まれるのだ。
永遠に続く焼肉食敝奉臺──
落ちるのが嫌ならば──
朝食はしっかりと摂り、バランスよく栄養を摂り、何よりも暴飲暴食を避けて、健康に生前を過ごすことだ。




