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髪を長くして、上品な言葉使い、大人しくして、女の子の多い部活に入って,いつも微笑みを絶やさずに…かわいくて、もってもっての女の子になるんだ。
もう、まだ?高校2年の4月
あっという間の一年だった。
髪も肩を超え、保健委員になり、気心が知れた友達もできた。
中学時代の私を払拭しつつある。
幼馴染の太朗は知らないふりをさせている。
おはよう、同じクラスになれたね。
気心知れた友達…窓際に座っている尋に声をかけた。
おはよ
時々ボソッと毒舌をはくことも…ある気がするが、とってもいい子。
この学校はほぼ持ち上がりなので、クラス変更を希望する生徒以外はほぼ同じクラスなのだ。
私はまだ来ていない前の席をお借りして、後ろの尋に向きあった。
尋は、また難しそうな本を読んでいる。
ふと外を眺めていると、生徒たちが次々と登校している最中だ。
3階から2階になった景色は少し上級者になったという自覚を少し芽生えてきて、少し背筋をピッと伸ばしてみた。
尋は本をパタッと閉じ、私を見てため息をついた。
なに色っぽいんですけど…
なに?マジっと見つめる私に
変わらないわねって
おい!よく見てよ!と言うのを堪えて
そんなことないでしょ~と長くなった髪をかきがげてみた。
はぁとため息をはくと、そっと本を持ち直し、読書を再開した。
私も気分を改め、また登校してくる生徒を眺めるのを再開した。
まったりしていると
おい、そこ俺の席
と声を掛けられた。
聞き覚えのある声だ…ふと見上げると
金髪ロン毛ボサボサ男が立っている。
あれれ?遠い記憶、見たことがある顔のような?
頭の中がグルグルと回転し、記憶をよみもどす
次の瞬間
あ~~!と素っ頓狂な声をあげてしまった。
そう彼は中学のころのセンパイだ!
かなりのショックで呆然と見つめていた。
もしかして、さくら?
最初に口を開いたのはセンパイの方だった。
そうですけど、と私は動揺を悟られないよう答えたが、
突然のことで頭の中はクラクラしていた。
お前イメチェンとか?あのチビざ…
と言いそうになった瞬間
私は、あ~と叫んで、センパイの腕をつかみ、廊下へ、階段の踊り場まで連れて行った。