赤い三角屋根の家
10歳頃の帰省、夏色の季節の中、
知らない街並みを一人散歩がてら
ゆるい登り坂、歩く
この地域には珍しく
途中に 赤い三角屋根の洋館
何気無く、上に目をやると
一番上の丸いガラス窓から
同い年くらいの少女が
こちらを見てた。
僕はそのまま 通り過ぎた。
翌日、また その家の前を通ると
ガラス窓からこちらを見てた。
多分、こうやってたまに通る人を
見てるのだろう。
僕は普通に挨拶のつもりで
手を振ってみた、そしたら
彼女も少し照れくさそうに
手を振ってきた。
すぐに友達になれそうな気がした。
しばらく、その家の前を通るたびに
上を見上げて、彼女を見つけては笑顔で 手を振ったりしていたら、彼女も笑顔で
返してくれるようになった。
そして24日の夜、地域の地蔵盆も終わり
翌日、25日、そろそろ自分の夏休みも終わりに 近づき、そろそろ帰り支度をする前に 昼間 あの赤い三角屋根の洋館の前で見上げても
丸いガラス窓には彼女は見えなかった。
帰って祖母に今までの一部始終を伝えると、
祖母が不思議そうな顔をしてた。
祖母によると、今年の春先まで、
女の子はいてたけど、病弱で入退院を繰り返し
今年の夏に入る前に亡くなっているとの事。
そして、僕はしばらくの日
坂道を上がった洋館の前を通り、
上を見上げても、丸いガラス窓から
こちらを見てる彼女の姿はない。
やがて僕の夏休みは終わりをつげる。
セミの鳴き声を残して。




