29.3つの報告
「これより定期報告会を始める。まずは――」
探索を終えて邸に戻ってきて三週間が経った。
あれこれ調べたりと慌ただしい三週間だったが、実際に西の森に入ったことで現状を把握することができたのはとても大きかった。それに調べるものがいくつか明確になったのも。
そして今日は定期的に行われる報告会の日。
前回はアミィ伯爵様についていって参加するだけの報告会だったが、今回から晴れて私も正式な仲間入り。
隅の方にあった席も今や中央に設けられて随分な出世だった。
「……となります。以上です」
他の方々の報告が終わり、いよいよ私の番となった。
少し緊張するが、周りは前回参加した時に知り合った人たちばかり。全く知らない人はいない。
誰にも気付かれないように深呼吸を一度だけして、私は席から立ち上がった。
「本日より正式に定期報告会のメンバーとなりました。カルラです。よろしくお願いします」
挨拶し、それでは――と早速報告へと移る。
報告内容は高級魔物の出現地調査報告。そこから分かったことと、今後の方針。
自分なりにまとめた上で一度辺境伯様にも見てもらった内容をここで話すつもりだ。
出現地調査は細かく何があったか、どういう状態だったなのかを特に感情を込めず淡々と話した。続けてそこから分かったことを一つ一つ口にした。
「調査をしていく中でいくつか不可解な点が見つかりました。先に報告されていた低級魔物が中級魔物を襲う、その痕跡も発見できましたが、それ以外で三つほど上げさせていただきます」
人差し指を立て、私に注目している兵たちや辺境伯様を一瞥する。
「まず一つ。高級魔物の出現タイミングと場所です。運良く兵の皆さんが森にいるタイミングで現れたこと」
どうして町じゃなかったのか。どうして誰かがいるタイミングだったのか。
探索中、ドミニクさんが「町に出なくて良かった」と口にしなければ見落としていた不可解な点だ。
「二つ。氷龍は一体どうやって西の森まで来たのか。どうやって帰っていったのか」
北の高山にいるはずの氷龍。距離のある西の森まで誰にも見られずどうやって来たのか。
そして倒されたはずのその図体はどこに消えたのか。
「三つ。調査中に現れた群れることの無い中級魔物。そしてその魔物の体液によって分からなくなった痕跡」
魔物の異変は度々見られるが、明らかに私たちを狙っていた。
それにタイミングがかなり良すぎたのも気になっていた。
まるで私に魔法陣や魔法痕を特定されたくないようにも感じてしまった。
私が不可解な点を三つ報告すると、あちこちから疑問の声が上がった。
「確かにおかしいな」
「自然に起こったものとは考えにくいな」
「もしかしてここのところ魔物が増えすぎていることも関係があるのでは?」
それら疑問に対して私の見解を述べる。
「これらの点から私は、辺境伯様に恨みの持った外部の魔族が怪しいと踏んでおります」
外部の魔族という言葉に三者三葉の反応だった。
やっぱり外部の者かと納得する者もいれば、内部じゃないと安心する者、そもそも誰かの手が介入していることに驚く者。
兵たちの反応はおおかた予想通りだった。
でもこれは私と辺境伯様で決めた黒幕を炙り出すための罠でもあった。




