第39話 「盗聴」
超低空飛行で天井裏を移動させる。
天井板を這わせた方が間違いはないのだが、その場合はどうしても鳥の足音が鳴ってしまうので、流石に時代劇のように「なんだネズミか」では誤魔化せないだろう。
バッテリー残量は気になるが、気付かれないことを優先するために慎重に移動する。
須磨さんがタブレットPCのボリュームを操作したので、意外と音は拾えそうだ。
『……がこれほど早く動き出すとは思わなかった』
早速会話が聞こえて来た。
今話しているのはそれなりの年齢の男の声だ。
少なくとも若い感じはしない。
『どうやら魔術師の協力者がいるようです。参加者と結託して何かいるようで』
今度は別人の声。
会話の内容からしてこちらが秘書で、先程話していたのが議員か?
『海外勢か、それとも京都の連中か?』
『不明ですが、正体不明の男が探偵や学生達と昼食を摂っていたのを確認しています。おそらく今回妨害してきたのもそいつかと。遠見に追跡を命じてきましたので、正体くらいは突き止められるかと』
昼食を摂ったというのは例の焼き肉屋でポテト祭りに参加していたカーターのことだろう。
その場に俺もいたはずだが「学生」で一まとめにされて、個体認識されていなかったようだ。
遠見というのは例の運転手のことだろうか?
あっさり反撃で倒されて警察に護送されたことはまだ情報が入っていないのか、それとも余程自信があったのか?
今のところ議員や秘書達は俺やカーターについての情報を何も持っていないために、京都や海外からやってきた魔術師が協力していると予想しているのだろう。
流石に「異世界帰り」という存在が日本に居ることは考慮されていないようだ。
『今のところ35名まで集めました。あと15名増やせばゲーム開始出来ます』
『だが、既に浮かれたバカどもが勝手に殺し合い、そのせいで既に10枚が失われておる』
ここで第3の人物……老人の声が聞こえて来た。
議員と秘書は良いとして、こいつは何者なのだろう?
「議員の父親とかですかね?」
「少し待ってください」
麻沼さんがスマホで検索を始めた。
「東啓太郎議員は52歳。その父親の啓一郎氏は現在84歳のはずです。訃報は検索で出てこないので、生きていてもおかしくないですね」
麻沼さんが表示させたスマホの画面には啓太郎氏が約20年前、30代で祖父、父から基盤を受け継いで議員になったことが紹介されていた。
その時点で啓一郎氏は政界を引退して隠居生活という説明になっている。
あえて84歳と説明されると、確かに高齢の老人の声だと思えてくるあたり、人間の耳など、いい加減なものだ。
「啓一郎氏は議員を辞めた後、会社役員などをこなした後に数年前からNPO法人の代表になっていますね。訃報は出ていないので、この声の主が本人でしょう」
麻沼さんが見せてくれたページに記載されているNPO団体名には見覚えがある。
以前に神奈川県の予算を調べた時にもそのNPO団体が登場していた。
完全に身内人事と予算の流用であるが、誰もツッコミを入れていない以上は、神奈川県的にはそれでOKなのだろう。
『連中にメダルが渡ったところで何も活用は出来ない。だから、ここからは取りこぼしがないようにすれば何も問題はない』
ここで第4の男の声が聞こえて来た。
静かで落ち着いたバリトンボイス。
ネットワーク経由のカメラ越しだというのに、その声は他の誰よりも威厳と風格を満ちていた。
秘書も議員もやり手なのだろうが、この第4の男と比べると明らかに格の違いというものを感じる。
『能力は誰に与えても良いというわけではない。実際、そこの男の指示通りに能力を与えた連中は覚醒に失敗して自滅したり、未熟な力を持て余して暴走とろくなことがない。厳選は必要だ』
『だが、お前に任せていてはいつまで経っても計画を始められないのは事実だ』
『そうやって暴走した連中の後始末に出向いた結果が「これ」なのだが』
第4の男がテーブルを指先でテンポ良く叩く音と、秘書が悔しそうなうめき声を上げるのが同時に聞こえて来た。
「この場合の暴走はどういう意味だと思いますか?」
「秘書が推薦した人物に能力を与えたところ、暴走……この場合は使い魔が召喚者に対して反抗したのではなく、能力者が手に入れた能力を犯罪に使おうとしたのだろう」
「なので秘書が責任を取らされてわざわざ出向いてきた」
「そこへ和泉達が現場にやって来たので、慌てて逃走して現在に至る……か?」
つまるところ、素行の悪い連中を能力者にしたところ、勝手に能力者バトルを始めた。
秘書はその責任を問われて、仲裁か何かをやろうとして新坂家にやって来たものの、既に襲撃者2人が返り討ちにあって死亡していた。
せめてメダルくらいは回収しろと命令されたが、それも失敗。
ここで失敗の報告をさせられることになったと。
『人数が足りないのならば教団内から見繕えば良いではないか。能力者に違いはないだろう』
『それは……』
『それとも、教団の戦力が削られるのは困ると?』
『あまり教団の活動が表立つと世間から圧力がかかって潰されてしまう……お前も教団がなくなれば困るだろう』
『重要なのは形ではない。神を信じる人の意識だ。信徒が集まればそこにまた教団は産まれる』
秘書が第4の男に食って掛かったようだが、まるで相手にされていないようだ。
そして、一連の会話を見ていた探偵2人……麻沼さんと須磨さんも気付いたのだろう。
この第4の男こそが、俺達が捜していた「神父」だ。
『まあ良い。明日からは違う地域……海沿いの方でも散歩して勧誘してみるとしよう』
『例の幽霊屋敷か? 少し前から我々にも内密に何かをやっているようだが、事前に情報がなければこちらもサポートは出来んぞ』
幽霊屋敷? 海沿いの地域?
また新しい情報が出て来た。
今の会話が真実ならば、神父が議員や秘書も知らない何かを行っているようだ。
その幽霊屋敷とやらに先回りすることが出来れば、こいつらの計画を事前に潰せるかもしれない。
『それは、実験がある程度形になれば説明しよう。それよりも……だ』
第4の男が室内を歩く音が聞こえた。
それまでは部屋の端にいたようだが、部屋の中心……俺が使い魔を待機させている位置の真下まで歩いてきて立ち止まった。
『天井裏に間抜けなネズミが一匹潜んでいるようだが。京都勢だか海外勢だか分からんが、ここまで尾行されたようだな、間抜けめ』
『バカな……魔術結界があるから忍び込まれてもすぐに分かるはずだろう!』
『それだけの相手ということだ。もちろん私の目は誤魔化せんがね』
これはこちらに気付いているのか?
それともハッタリか?
「落ち着いて対応してくれ。ここで迂闊に反応すると逆にマイナスだろう」
「分かっています。流石の神父もいきなり天井を突き破ってこちらへ攻撃を仕掛けてくることはないと思いますので」
まだ慌てる状況ではない。
あくまでも冷静に対応するつもりだと須磨さんに伝えた。
物音を立てずにじっとしていれば気付かれることはない……はずだ。
『何か電波を送信しているようだな。魔術ではなくドローンかもしれんな。反応が機械的だ』
神父がそう呟くと、室内が途端に騒がしくなった。
『盗聴対策のオシロスコープが有っただろう。あれならばある程度場所を特定出来るはずだ』
それを聞いた須磨さんの顔色が変わった。
これは発見されたと判断して良いのだろうか。
「こいつら、カメラが発信している電波の方を探知してきた!」
「魔術でそんなこと出来るものなんですか?」
「元は地磁気を読み取って天候を把握するのに使っていた由緒正しき魔術があるらしいが、それで携帯電波も探知出来る……らしい。又聞きの噂話ではあるが、まさか実在していたとは」
電波を探知しているのならば、どの道オシロスコープ的な盗難防止用の機械が設置されているとアウトだったということか。
ただ、この悪いニュースの中でも良いニュースはある。
この神父ですら俺の使い魔の存在を探知し切れず、あくまでも電波を発するカメラの存在しか探知しきれていない。
これならばまだ潜伏からの盗聴を継続出来るかもしれない。
「電波を出しているカメラの無線機能をオフにすることが出来れば、それ以上の探知は出来ないのでは? オフラインでもカメラ機能は利用出来るんですよね」
「それが良さそうだ。やってみる」
須磨さんがタブレットを操作すると、画面に「シャットダウンまであと59秒 キャンセルする場合にはボタンを押してください」という悠長なカウントダウンが表示された。
「これって今すぐシャットダウンとか出来ないんですか? この状況であと1分も待たされるのは辛いです」
「どうなんだろう……試してみるか」
須磨さんが再度操作すると「キャンセルされました」と無情な表示が出た。
再度挑戦するとカウントダウンは59秒に戻っている。
カメラを運んでいるのは俺の使い魔なので電波さえ止まればこちらの存在が気付かれることはないが、流石にカメラ回収のために天井裏へ入ってこられたり、換気口を塞がれたりすると逃走不能になる可能性はあり得る。
俺の使い魔だけでは遠隔で解除出来るが、カメラはその場に置き去りになってしまう。
「ハイテク機器は便利なんだか、不便なんだか!」
「誤動作でのシャットダウン防止なんでしょうけど!」
この分だと電源が切れる時にそれを通知するためのアラーム音すら鳴りそうである。
大きなお世話過ぎる。
流石にカメラが敵に回収されるよりはマシだ。
一気に鳥の使い魔を移動させて入ってきた時と同じように換気口へ向かい、そこから連中がいた部屋の死角方向へと脱出させた。
「おい、カーテンが開くぞ」
須磨さんはまだ映像の送信を続けているタブレットPCではなく、肉眼で確認出来る議員宅を指差した。
そこには部屋のカーテンと窓を開けて周囲を見回している神父の姿が視えた。
アフリカ系であろう黒い肌に黒い髪。
黒い神父服の胸元には紅い宝石。
矢上君から聞いていた通りの風貌。
間違いなく神父本人だ。
そして……あいつ本当に無貌の神の関係者か?
以前にナイアルラトホテップから力を貰っていた中村を知っているだけに、同一人物……というか同一の神とは思えない。
蟇の神、イソグサとゾス=オムモグ、中村、伊原、ウムルさん……そしてトナカイ。
邪神にも格があり、後者になるほど一目見ただけで脅威度が伝わってくる。
その経験からの感想だが、神父は邪神クラスかと聞かれると否だ。
どちらかと言えばホンジュラスで見た赤い女に近い。
あいつも人間離れした体力と能力を持っており、実際その正体は人間ではなかったのだが、やはり本物の邪神とは格が違っていた。
一度本物を見た後だと、本人に成りすましているだけのただのモノマネ感がある。
もちろん本人が無能とか有能とかそういうのは全く別の話だ。
どのような能力を持っているのか、それをどう使いこなせるのか不明な相手に油断など一切出来ない。
「あまり頭を上げるな。向こうからも丸見えだ」
須磨さんが手のひらを地面に向けて下方向へ動かす動作を行った。
頭を塀の下に下げろということのようだ。
俺と麻沼さんは同時に頭を下げる。
須磨さんも陰に隠れて、塀の上から出しているのはカメラのレンズだけだ。
「一応議員と結託している証拠は掴めたが……」
「警察は動かせそうですか?」
「難しいな。神父は要注意人物ではあるが、法的にはクリアな状態だ。今のところは怪しい奴がいるというだけで週刊誌のネタにすらなりはしない」
須磨さんはそれだけ言うとカメラを引き下げた。
タブレットPCには「機器とのリンクが切断されました」と表示されている。
先程仕掛けていたシャットダウン命令がようやく通ったらしい。
「連中も窓とカーテンを閉めた。電波が止まった上に魔術でも追跡出来ないドローン……使い魔を追跡するのは困難だと向こうも判断したのだろう」
そうは言いつつもまだ顔を上げようとはしない。
何らかの方法で俺達を探っている可能性を警戒しているようだ。
カメラを持たせた鳥は念のために俺達が居る場所とは反対方向にあった公園の街路樹に隠れさせた。
流石にそこにカメラが隠れていることに気付けないのか、今のところ誰も来る気配はない。
「カメラは後程回収でも大丈夫ですよね」
「適当にここを離れた後に、移動中の道路で受け取ろう」
須磨さんはそう言うと屈んだままの状態で車へと移動していく。
「張り込みはこれで終わりですか?」
「ここは住宅地が近いし、人通りも多い。地元住民に不審者として通報されると一気に動きにくくなる。向こうも我々が盗聴していたとを警戒しているだろうし、もうまともな会話は期待出来ないだろう」
せっかく神父の尻尾を掴んだというのに、何も手を出せないというのは悔しいところだ。
ただ、得られた情報は有益なものが多かった。一度状況を整理したいところだ。
◆ ◆ ◆
状況整理のために保土ヶ谷から少し離れた国道沿いのファミレスに入ることにした。
距離にして10kmほど離れているので、流石に尾行などはないと思いたい。
まずは回収したカメラを須磨さんに返却。
その後に作戦会議だ。
「あいつらは『ゲーム』という言葉を口にした。これは連中が能力者を増やしてお互いに戦わせるバトルロイヤル的なことをさせようとしていると考えられる」
その意見は同意だ。
俺達を召喚してスキルを与えた召喚装置的なものを神父が回収しているのならば、同じことをやろうとしているのは明白だ。
以前に推論は出していたが、ここに来て新坂君の自宅で行われていた戦闘と議員や秘書達の発言がその裏付けになったと言える。
「そして、ゲーム開始にはまだ15名が不足しているということが分かった。つまり、まだゲームは始まっていない」
「まだ止めるチャンスはあると」
ここからは時間との戦いだ。
推定50名が揃ったら一体何をやる気なのかは分からないが、ろくなことではないことは間違いない。
それまでに決着をつける必要がある。
「続いて海沿いの幽霊屋敷なる謎の言葉だ」
「それについての情報は?」
「『幽霊屋敷』という言葉が曖昧過ぎてさっぱりだ」
麻沼さんがスマホで検索を始めたが、その顔は渋い。
満足な検索結果が得られなかったということは分かる。
「何かの符丁か、それとも文字通り幽霊が出る屋敷なのか」
「海沿いというのも、東京湾沿いなのか、それとも逗子や葉山、鎌倉の方なのかが全く不明だ」
「ここは地元民に頼りましょうか」
探偵さん達は基本的に東京在住だ。
俺も関西から来ているので、横浜の地元の情報については分からないことの方が多い。
ぶっちゃけると横浜は中華街と1/1ガンダムのイメージしかないし、そのガンダムも関西万博に出掛けたきりなので実質もう何も分からないのと同じだ。
こういうことは実際に横浜に住んでいる地元民の方が詳しいかもしれない。
まずは小森くんにメールで相談だ。
時間はまだ21時。
流石にまだ起きているだろう。
メールの返信はすぐにあった。
内容は「俺は知りません。ただ新聞部ならその手の記事を書いているので詳しいかもしれません」というものだ。
そういえば小森くんと柿原さんが揉めたのは、俺……じゃない結依さんの幽霊が出るというオカルト記事を掲載しようとしてのことが切っ掛けか。
そう考えると、オカルト的な情報について調査していてもおかしくはない。
とりあえず柿原さんに聞くかとメールを打とうすると先に小森くんから続報のメールが届いた。
「柿原です。海沿いの幽霊屋敷だと候補は3つありますが、実際に現地で取材した恵太の方が詳しいです」
完全に予想外の内容がメールで飛んできて頭が真っ白になった。
待って欲しい。
何故小森くんのスマホで柿原さんがメールを送ってくるのか。そこが分からない。
21時だぞ。
何やってんの君達は?
まさか不純異性交遊なんてやっていないだろうな。
そう憤っているとまた新しいメールが届いた。
「柿原にスマホ取られてました。今から矢上君に代わります」
なんだ、矢上君もいたのか。
それなら良かっ……いや、全然良くないんだけど、21時を過ぎて高校生3人で何やってんの?
いや、これは3人ではなくて友瀬さんも含めた4人なのだろう。
流石に気になったので電話をかけると小森くんがすぐに通話に出た。
そして開口一番に謝罪である。
『すみませんやっぱりあの後のことが気になって、みんなで集まって対策会議をやってました』
ある程度は予想していたが、まさか本当にやるとは思わなかった。
「それで今いる場所は?」
『俺の家です。一応試験前の勉強という建前で集まって、みんなで食事した後に打ち合わせです。流石にもう解散しようかって言ってたところですけど』
「友瀬さんもそこにいるんだね」
『木島もいます』
一応木島君は保護観察扱いなのだが、すっかり仲間になっている気がする。
小森くんと木島君に足りなかったのは、本当に腹を割って話す切っ掛けだけだったのか。
「まあ、自分達で納得して後悔しないのであれば俺からはこれ以上小言をいうつもりはないけど、決して無理はしないように」
『もちろん分かっていますよ。では、矢上君に電話を代わります』
全く分かっていなさそうな返事が返ってきた。
『幽霊屋敷の件ですけど、候補は3つあります。だいたい同じ場所に固まっていますけど、他に何か情報はありますか?』
「残念だけどない。しらみつぶしに当たっていくしかないだろうし、詳しい場所を教えていただけませんか?」
『それでしたら案内します。今から自転車で行きますので、どこかで待ち合わせしましょう』
ほら、言った直後からいきなりこれである。
『僕も何かやりたいんです。せめて案内くらいは協力させてください』
「前もって言っておきますけど、今のこの情報は曖昧なものです。空振りに終わるかもしれません」
『大丈夫です。いつものことです』
「危険があるかもしれませんよ」
『それでも何かやりたいんです』
「来週からの試験は大丈夫?」
『明日上戸さんが教えてくれるんですよね。もちろん頑張ってやります』
意外と頑固だ。
電話越しで説得するのは無理だろう。
ならば、せめて無謀なことをしないように枷だけは付けておきたい。
「では条件を付けます。1人で独断専行はしないこと。0時までには自宅に帰ること。もし戦闘が発生するような状況でも1人では戦わず、必ず仲間を頼ること」
『もちろんです。僕1人でなんでも出来るとは思っていません』
「というわけです。皆さんいかがですか?」
念のために麻沼さんと須磨さんに確認を取ることにする。
「未成年を危険な任務に参加させることには躊躇いがあるが、今は少しでも時間が欲しい。協力は助かる」
「和泉さんなら絶対にNoって言いますよね。私はそこまで意思が固いなら尊重すべきだと思います」
ならばOKだ。
矢上君に協力してもらうことにしよう。
「流石に他のみんなは来ないですよね」
電話の向こうで少しワイワイと騒がしい声が聞こえた後に矢上君が再度電話に戻ってきた。
『今晩は僕一人です。みんなは打ち合わせ通りに明日から頑張るってことで』
「分かりました。ただ、自転車移動はなしにしてください。この寒い中を自転車で走るのは無駄に体力を使うだけです。車で迎えに行きます」
須磨さんに視線を送ると、人差し指と親指でマルを作った。
OKということらしい。
「では……学校の前あたりが良いですね。そこで待っていてください。車で迎えに行きます」




