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ギスギス 1

〜登場人物〜

カロリーナ……小さくされた元令嬢

リオナ……柄は悪いけれど仲間思いの少女

キャンディ&メロディ……無邪気な双子姉妹

ソフィア……真面目な眼鏡メイド

ベイリー……穏やかなお姉さんメイド

「えーっと……、ただいまってことでいいのかな……?」

わたしが部屋に戻った途端、リオナとキャンディとメロディがやってくる。キャンディとメロディは体に2、3枚ずつ小さな絆創膏を貼っていた。わたしのせいで怪我をさせてしまったみたいで申し訳なかった。


「カロリーナだ!」

「無事だったんだ!」

キャンディとメロディは無邪気にはしゃいでいたけれど、リオナは怪訝な目つきでわたしを見ている。


「……戻ってくるの早くないか?」

「早かったね……」


わたしは苦笑いをした。悲劇のヒロインみたいな大袈裟な離れ方をしたのに、あっさり無事に解放してもらえたから、なんだか気まずかった。


「それよりも3人とも怪我は大丈夫だなの……?」

「平気!」

「へっちゃら!」

「この通りだよ」

キャンディとメロディに続いてリオナも苦笑いをした。


「なんか小さな体になってから体が丈夫なんだよな」

「そういえば、ソフィアも体が軽いからダメージを受けにくいって言ってた気がする」

「そんな次元を超えてる気がするけどな。あたしなんて壁とか屋根とかにバンバン体ぶつけられて、壁みたいにデカくて丈夫な手になんども吹っ飛ばされても傷ひとつないなんて逆に怖えよ。体軽いってすげえよな」


「キャンディもメロも怪我したのに!」

「リオナちゃんだけ無敵だったね!」

キャンディとメロディの怪我はわたしのせいでもあるから、申し訳なくなってしまう。


「ごめんね、キャンディ、メロディ」

わたしが謝ったけれど、2人とも首を傾げた。


「カロリーナ悪くない!」

「カロリーナのせいじゃない!」

2人の言葉を聞いて、リオナも頷いた。


「そうだな。問題はレジーナのやつだよ。お前一体何で呼び出されたんだよ?」

「わたしが前にアリシアお嬢様と一緒にレジーナお嬢様の部屋に忍び込んだのを咎められたんだよね」

「忍び込んだって、お前、元お嬢様なのに、意外と度胸あるんだな」

「ほとんどアリシアお嬢様のおかげだけどね」

わたしは苦笑いをした。わたしはただ靴に乗せられて、運ばれただけだ。


「レジーナお嬢様はわたしがアリシアお嬢様を次期当主に擁立するために暗躍してるって疑ってたけど、元に戻りたいから調査してるっていうのいうのを説明したら納得してくれたみたい」

「レジーナも一体何考えてんだよな。あたしたちの小さな体で暗躍なんてできるわけねえじゃねえか。いくらアリシアのことが嫌いだからって被害妄想がすぎるぞ……」


リオナが呆れたようにため息をついた。実際はアリシアお嬢様のことが嫌いどころか、過保護なくらい先回りをしてアリシアお嬢様のことを危険から守る優しいお姉さんだったけれど、それは言ってはいけないみたいだから、言わないでおいた。


「で、何か収穫はあったのかよ?」

「収穫?」

「要領の良いお前のことだから、連れさられただけでは済まさないだろ? 元に戻るための手がかりも何かもらってきてんだろ?」

「手がかかりかぁ……。レジーナお嬢様が魔女の正体を言いたがらなかったから、結局ほとんどわからなかったな。なんかレジーナお嬢様も魔女に怯えてるみたいだし。あと、エミリアさんではないらしいよ」


「エミリアじゃねえってほんとかよ。なんか誤魔化してんじゃねえのか?」

「でも、レジーナお嬢様は心配性の性格だし、近くにメイドとして魔女は置いておかない気がするな」

うーん……、とリオナが腕を組んで考え事をしていた。


「つまり……、さらに迷宮入りしてねえか?」

リオナがため息をついた。

「あたしたちの周りに、あたしたちのことを悪意を持って小さくしようとする奴なんてエミリアくらいしか見つからねえのに、そのアリシアが否定されちまったんだから」

「いや、でも不正解の選択肢が一個消えたわけだし……」


そうやって無理やりフォローしてみたけれど、苦しいフォローだった。わたしたちにはヒントがないのだから。誰が何のために小さくしたのかまったく見当がつかない。悪意を持って小さくしたのならこんなにも高待遇のわけないし、なら一体何のために小さくされたのか……。


「まったくわかんねえけど、今はカロリーナが無事に帰って来れてよかったってことにしておこうぜ」

リオナが諦めて笑ってから、伝えてくれた。


「カロリーナ帰宅!」

「カロリーナ無事!」

キャンディとメロディも一緒になって喜んでくれているのだった。優しい3人と話していると、疲れが癒えるような気分になるのだった。

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