迷探偵カロリーナ 2
「なんにしても、今はパトリシアお嬢様を見つけて、元に戻る方法を探さないと!」
「まあ、パトリシアを探すためのヒントもねえから、そう簡単にはいかなさそうだけどな」
「そのことなんだけど、わたしわかっちゃったかも、黒幕……!」
わたしが立ち上がると、つられてリオナも立ち上がって、興奮した様子で聞いてくる。
「おい、マジかよ。すげえな!」
「あくまでも仮説だけどね。でも、わたしの中で情報が繋がったんだ!」
「なんだよ、お前名探偵だったのかよ!」
「まあ、これでもリティシア家……、わたしの元いた家では厳しい家庭教師に教わっていたから、ちょっとくらいお勉強はできるのだよ」
ふふん、と大袈裟に小さな胸を張ってみる。
「おいおい、お前意外と頼もしいなぁ!」
リオナがワクワクしたような視線を向けてくるから、わたしも説明するのが楽しくなってくる。
「まず、状況を整理すると、小さくされたパトリシアお嬢様が本来の時期当主だったわけ。で、今の時期当主がレジーナお嬢様というわけだよね」
「ああ、そうだね」
「で、レジーナお嬢様はとっても意地悪で、高圧的な性格なわけ。だから、きっとレジーナお嬢様は当主になっていっぱい威張りたかったんじゃ無いかな、と思うんだ」
「なんかだいぶお前の主観が入ってねえか……? 威張りたがるって随分抽象的だし、名探偵から離れていってねえか?」
リオナの視線が訝しがるようなものに変わってきている。
わたしは小さく咳払いをして、ごまかしながら続ける。
「えーっと、だから、レジーナお嬢様がパトリシアお嬢様の存在を消すために小さくしてどこかに隠した、みたいな……」
説明が少しずつ尻すぼみになっていく。
「じゃあ、つまりレジーナがあたしたちのことも小さくしたってことか? あたしたちを小さくしたやつって黒髪だったから、レジーナに絞るには要素がかなり薄いと思うけどな」
わたしを小さくした人も黒い髪だったから、確かにレジーナお嬢様ではなさそう。
「髪色で絞ったら、エミリアかベイリーのどっちかってことになっちゃうけど」
「別にその2人でなくとも屋敷には黒髪のやつはまだいるんじゃねえのか? それこそお前だって綺麗な黒髪だし」
リオナがそっとこちらに手を伸ばしてきてわたしの髪を手の上に乗せていた。
「いや、わたしだとしたら自分で小さくして、自分で大騒ぎしてるって、自作自演にもほどがあるでしょ……」
わたしが困惑していると、リオナが笑った。
「あたしが言いたいのは、黒髪が犯人っていうことじゃねえよ。見当違いな推理をして容疑者を絞っていったら気付けたものにも気付けなくなっちまうから気をつけようぜって話だよ。レジーナが黒幕だって特定するにはあまりにも絞る要素が薄すぎるからよ。お前の推理途中からかなり変な方向にいっちまってたぞ」
リオナの言うことも一理あるけれど、慎重に動きすぎたら、きっと今のわたしたちでは答えにたどり着くのにとても時間がかかってしまう。アリシアお嬢様の屋敷の中を移動するだけでかなり時間がかかるのだから、部屋の外を調べるのなら、調べる場所は極力減らしておきたい。
「ある程度予測していかないと、わたしたちただでさえ元の情報も少ない上に、捜査能力もとっても低いんだから……」
「ま、できるところから調べて行こうぜ。ここの生活は悪くねえんだから、のんびり見つけていったら大丈夫だよ。とりあえず、パトリシアってやつ探して、情報聞き出そうぜ」
「そんな呑気な……」
パトリシアお嬢様の情報だって、まったくヒントがないのに随分とリオナは余裕の様子だった。わたしは少し呆れたけれど、考えてもまったく答えに辿り着けなさそうな現状だと、リオナの考え方も大事なのかもしれない。いずれにしても、今はわたしたちのできるところから作業を進めていくしかないようだ。




