専属メイドテスト 3
「こんなときにいきなりなんだよ? テストなら元に戻ってからの方が良いんじゃねえのか?」
「元に戻ってからでは遅いですわ。主人がピンチのときに、いかに主人の為に尽くすか、それが専属メイドに求められることですの。カロリーナみたいに小さな体でもわたくしの為に必死に頑張ってくれる子が専属として求められていますわ」
真面目な口調でアリシアお嬢様は伝える。リオナたちにとっては手乗りサイズの小さなか弱いお嬢様のはずなのに、威厳が出ていて、キャンディとメロディまで真面目な顔で耳を傾けていた。
「それってダメだったらあたしらこの屋敷から追い出されるのかよ?」
リオナが少し不安そうに尋ねた。アリシアお嬢様が小さな声で「別にそういうわけでは……」と否定しかけたけれど、一旦言葉を止めて、3人の方を見上げた。
「それはあなたたちの様子を見て決めますわ!」とまたしっかりとした声を出しなおした。アリシアお嬢様の言葉を聞いて、キャンディとメロディは不安そうに抱きしめ合っていた。
「キャンディ、メロとリオナちゃんと一緒にここで働きたいよ!」
「メロディ、キャンとリオナちゃんと一緒におじょーさまたちのお世話したい!」
その2人の言葉を聞いて、リオナも頭を下げて頼み込む。
「なあ、あたしはともかくこいつらの面倒は見てくれねえか? 頼むよ……」
そんな3人の様子を見て、アリシアお嬢様がわたしにしか見えないくらい少しだけ心が痛そうな表情をしたけれど、ギュッと自分の脇腹をつねってから、もう一度お腹に声を入れて声を出す。
「だから、テストの結果を見て判断しますの。カロリーナだってエミリアから怖い思いをさせられてわたくしの専属メイドになりましたの。あなたたちにもテストは受けていただきますわ」
キャンディとメロディが目を潤ませながら、アリシアお嬢様のことを見つめたから、アリシアお嬢様が思わず目を逸らしてから続ける。
「試験内容はカロリーナのことを傷つけずに一緒に遊ぶことですわ! カロリーナのことを大事に扱って欲しいですの」
内容を聞いて察した。別にこれはふるいにかけるためのものではなく、あくまでも小さな体で安全に過ごすためのものみたいだ。確かに、その条件をつけたら、このサイズ差でキャンディとメロディと一緒に遊んでも安全だ。リオナだって、普段以上に二人の行動を真剣に見るに違いない。
「あの、わたしだけでなくアリシアお嬢様も大事に扱わないと……」
「じゃあわたくしもですわ!」
キャンディとメロディは顔を合わせて首を傾げていた。
「それだけでいいの?」
「本当にそれだけ?」
2人の後ろのリオナもわたしと同様に察したみたいで、わざと困ったような表情をして、キャンディとメロディに説明をする。
「あのな、お前らこれまでカロリーナを握りつぶしかけたり、泣き声で気絶させたりしてんだぞ? 本当に大丈夫かぁ?」
意図的に不安を煽るような声色で伝えると、2人はまた不安そうな顔をした。
「だ、大丈夫だもん!」
「メロディもキャンも2人のこと大事にするもん!」
わたしもリオナもアリシアお嬢様もそんな2人のことを見て、微笑んだ。
「じゃ、テスト開始ですの!」
アリシアお嬢様が楽しそうに声を出した。




