初仕事! 1
〜登場人物〜
カロリーナ……見知らぬ屋敷でメイドとして働くことになった少女
キャンディ&メロディ……無邪気で元気な双子姉妹
昨日の夜はシチューを食べた後、わたしは部屋に戻ってすぐに寝た。他のメイド仲間たちはその後にも仕事をしたらしいから少し悪い気もしたけれど、初日から飛ばし過ぎたらダメだからと配慮してもらったのだった。
わたしはその後、自然と眠りについて、次の日の朝またしても元気な双子に起こされることになった。キャンディとメロディがベッドの上に座ってそれぞれわたしの足を挟むようにして、またがっていた。
「カロリーナ、おはよう! 朝ご飯の時間終わっちゃうよ!」
「カロリーナ、おはよう! 朝ご飯早く食べに行こうよ!」
「キャンディ、メロディ、おはよう……。重いからどいてもらってもいい?」
「起きたらどくよ!」
「早く起きてよ!」
「重くて動けないんだけど……」
文句を言いつつ、上半身を起こした。なぜわたしは朝から腹筋を鍛えられそうなことをしているのだろうかと思いながら、至近距離で2人の顔を見比べた。
「ところで、どっちがキャンディでどっちがメロディだっけ……?」
「カロリーナ酷い!」
「カロリーナ意地悪!」
別に意地悪をしているつもりはないのだけれど、2人は同時にお餅みたいに頬を膨らませた。見た目はほとんど同じだし、動きもほとんど一緒だから、見分けがつかなかった。
「わたしがキャンディで、こっちがメロ!」
「わたしがメロディでこっちがキャン!」
お互いにお互いのことを指差していたけれど、寝ぼけた頭ではどっちがどっちかわからなかった。
「わかった?」
「覚えた?」
2人が顔をぐっと近づけて確認してくるから、「わかった、覚えた」ととりあえず鸚鵡返しをしておくと、一応2人とも納得してくれたみたいで同時に「忘れちゃダメだよ」「間違っちゃダメだよ」と念押ししてきてから、上からどいてくれた。