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手乗りメイドはお嬢様に愛されたい!  作者: 穂鈴 えい


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魔女の正体 3

「まあ、あたしがパトリシアを助けたから危機を救ってくれたってのは納得したし、一応その点に関しては助かったよ。ただな、助けるだけなのに、小さくする理由はねえだろ? そのまま治癒の魔法を使えば良いじゃねえか」

リオナはさらにベイリーへの質問を続けると、ベイリーが呆れたようにため息を吐く。


「気軽にいってくれるけど、治癒の魔法って相当大変なのよ? ましてやあなたもカロリーナちゃんも瀕死だったわけだし。そこからの完全回復は相当な労力がいるわ。だから、質量を8000分の1にして、魔法を通しやすくしたの」

「助けるために、小さくしたってことかよ? あたしを助けて、ここの屋敷で平穏に過ごせるようにすることが目的だったってことでいいのか?」

リオナが尋ねると、ベイリーは曖昧に頷いた。


「それもある。ただ、もっと大事な理由もある。でも、それはまた後で教えるわ。もう質問はそんなところで良いかしら? 別にやましいことはないから、いくらでも答えてあげられるけど?」

ベイリーが尋ねて、もう一度リオナが口を開く。

「まだあるよ。なんでずっと隠してたんだよ?」


それはわたしも気になっていた。こんなにも簡単に打ち明けられる話なら、初めから言ってくれればよかったのに。そう思ったけれど、ベイリーが大きく見開いた瞳で、思いっきりリオナのことを睨んだから、察した。


巨大なレジーナお嬢様の手のひらにさえも怯まなかったリオナが一瞬息を呑んだのがわかった。それくらい、ベイリーの睨みは怖いみたいだ。かなり苛立った声で答えていた。


「わたしが魔女で、みんなを小さくした犯人です、なんてみんなから不審感しか抱かせないような事実、隠せるなら隠しておきたいわよ……」

ベイリーが小さく舌打ちをしてから、わたしのことを指差した。思わず、エミリアの手のひらの上で背筋を正してしまう。


「けれど、カロリーナちゃんが勝手に謎解きを始めるんだもの。あんな小さな体でかなり真相に近い部分まで辿り着きそうになってしまった。カロリーナちゃんが真相に辿り着くのも時間の問題だった。ここまでいろいろバレてしまったんじゃ、もう逃げられないわ……。悪あがきをしてこれ以上心象を悪くして、一番大事な目的への協力を仰げなければ、元も子もないもの」

もう降参とばかりに、ベイリーが両手を挙げて、ため息をついた。


「あの、ベイリーさん……。その一番大事な目的っていうのは、わたしが小さくされる直前に言っていた手伝って欲しい仕事と関係があるんですか……?」

エミリアが不安そうに尋ねたから、リオナが割って入ってくる。


「仕事? なんだよそれ? あたしらはメイドとして働くことが仕事だろ?」

リオナが尋ねると、エミリアが舌打ちをする。

「わたしはベイリーさんに尋ねてるのよ。あなたには関係ないわよ!」


「関係ねえってことはねえだろう。あたしだって小さくされて被害受けてんだよ!」

「関係ある話だとしても、あなたが割って入ってくるとめんどくさいのよ! 0点メイドにメイドの仕事させるわけないんだから、ベイリーさんが本当にあんたにやらせたかったことが別にあるに決まっているじゃない!」

「だれが0点メイドだよ!」

リオナがエミリアの方に寄ってきたけれど、手のひらに乗っているわたしの方を見てから、立ち止まった。


「まあ良いけどよ。とりあえずベイリー早く説明してくれよな」

リオナがジッとベイリーの方を見た。みんなの視線を浴びながら、ベイリーは小さく息を吐いてから、頭を下げた。

「皆さんにお願いがあります」

深々と頭を下げているベイリーを見て、わたしたちは静かに次の言葉を待った。


「どうにかしてパトリシアお嬢様を見つけて頂きたいのです」

またパトリシアお嬢様の話だ、とわたしが思ったのとほとんど同時に、リオナが「またパトリシアかよ」とつまらなさそうに言っていた。わたしやリオナはよく出てくるパトリシアお嬢様の話かと思って、そこまで驚きはなかったけれど、エミリアが驚きの声を上げた。


「あの、ベイリーさん。パトリシアお嬢様を探すためにわたしたち小さくされたってことは、パトリシアお嬢様のことも小さくしてしまったんですか……?」

尋ねると、ベイリーが静かに頷いた。


「もうこれ以上闇雲に撹乱させてもゴールが遠くなるだけだし、打ち明けるわ。わたしはパトリシアお嬢様を小さくしたの」

「……ということは、ベイリーさんパトリシアお嬢様にキスを……、ていうか、そもそもベイリーさんの好きな人って……」

エミリアが少し震えた声で尋ねた。


「ええ、そうよ。わたしが好きなのはパトリシアお嬢様。わたしはパトリシアお嬢様のことを心の底から愛しているわ。あなたよりもね!」

ベイリーが思いっきりソフィアの方を指を差して、宣言をしたら、視線の先にいたソフィアが思いっきり舌打ちをした。


「私を巻き込まないでください。あなたみたいに自分の立場を弁えないメイドと一緒にしないで下さい」

「あら、じゃあソフィアはパトリシアお嬢様のことが好きでないのかしら?」

「真実がどうであれ、少なくとも、今みんなの前で言うべきことではないですよ」

実質答えのような物だったけれど、ソフィアは明言はしなかった。

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