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手乗りメイドはお嬢様に愛されたい!  作者: 穂鈴 えい


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112/207

わたしたちの恋愛事情 1

〜登場人物〜

カロリーナ……小さくされた元令嬢

リオナ……ガラが悪いけれど仲間思い

キャンディ&メロディ……無邪気で元気な双子姉妹

アリシア……優しいお嬢様

エミリア……お嬢様想いで厳しいメイド

小さなメイド屋敷の中に入って、わたしは大きく息を吐いた。戻ってくるのはたった1日ぶりだけれど、とても落ち着く空間にホッとする。

「やっぱり生活スペースが自分に適したサイズって最高かも……!」

明るい足取りで自室へと戻る。


「カロリーナだ!」

「カロリーナ、遊ぼ!」

部屋に入ったわたしを見て、キャンディとメロディがすぐに入ってくる。


「わたしが帰ってきたって良くわかったね」

「足音でわかるよ!」

「カロリーナが一番うるさい!」

「えぇっ、そうなの……?」

メイドとして良く無いことの気がして、少し落ち込んでしまう。


「ねぇ、わたしの足音リオナよりもうるさいの……?」

「リオナちゃんは、ノーカウント!」

「リオナちゃんは比べるまでもない!」

「さすがにそうよね……。リオナみたいに無神経な歩き方はしてないもの……」


ホッとした瞬間に、勢い良くドアを開けて、リオナが入ってくる。当然、足音は静かにしようとするどころか、あえて音を立てるみたいにドスドスと入ってくる。これが普段のリオナの歩き方だから、さすがにこれよりもはわたしの歩く音は静かなはずだし、そもそもキャンディとメロディよりも静かだと思うのだけれど……。


「カロリーナ、どうだったんだよ?」

「どうって、何が?」

「何がも何も、お前アリシアの専属メイドになりに行ったんだろ? なれたのかよ?」

リオナに聞かれて、わたしはドヤ顔をして、胸を張りながらピースサインをする。


「無事にね」

「マジかよ! お前やるじゃねえかよ! 小さな体のままだとエミリアあたりから止められると思ったけど、上手くやったんだな!」

「まあ、なんとかね……」


わたしは苦笑いをすると、リオナは嬉しそうにする。キャンディとメロディも口を揃えて、「カロリーナ、おめでとう!」と喜んでくれた。


「よくやったな!」

リオナが豪快に頭を撫でてくれたから、髪の毛が乱れてしまう。

「あ、ちょっとやめてよね。エミリアに怒られちゃう」

髪の毛を乱したままアリシアお嬢様の前に立つなんて、間違いなく怒られてしまう。わたしは慌てて手櫛で髪の毛を戻す。


「おいおい、カロリーナ。いつの間にそんなに身だしなみを整えるようになったんだよ? 何かエミリアから悪い影響受けたんじゃねえのか?」

「悪い影響っていうか、メイドとしての心構えみたいなのはいろいろと聞かせてもらったよ。なんだか、わたしたちが思っているほど悪い人じゃなかったのかも……、って今は思ってる」

そう言うと、リオナが怪訝な視線をわたしに向ける。


「何言ってんだよ、お前。あのエミリアだぞ? お前蹴り上げられたり押さえつけられたり、風呂場に置き去りにされたりしたんだろ? 一歩間違えたら大怪我に繋がるようなことされてんのに、そんな簡単に心開くなよ……」

リオナが言うと、キャンディとメロディも「エミリア、怖い!!」と一緒に怖がっていた。


「まあ、そうかもしれないけれど。エミリアさんはちょっと怖いところもあるけれど、常にメイドとして最善を尽くすようにしてるから、勉強すべきところはあると思うよ」

「知らねえよ! どんな理由があってもお前らに暴力振るうようなやつ、あたしは絶対に信頼しねえからな!」


わたしがエミリアのフォローをするとリオナがかなり機嫌が悪くなってしまった。あんまりエミリアの話はしない方がいいのかもしれない。わたしは話題を逸らすことにした。


「まあ、けど、ここに来られる機会が減ってしまうのは寂しいなぁ。しばらくわたしアリシアお嬢様と一緒にいることになると思うから」

「そうなんのか……。でも、気をつけろよ。アリシアは良いやつかもしれねえけど、あくまでもあたしらから見たら巨人だからな。ちょっとしたことが脅威になっちまう。巨大な世界に疲れたら、ちゃんとこの屋敷に戻って来いよ」

リオナが優しく微笑んでくれた。


「ありがとね、ずっと巨大な世界ばかり見てたら心労がすごいから、多分頻繁に戻ってくると思う。どうせ同じ部屋だし」

わたしがホッとしたように笑っていると、玄関のドアがトントントンとノックされた巨大な音が鳴り響いた。2階の部屋まで距離があるはずなのに、大きな音は屋敷中に鳴り響いていたから、よく聞こえた。


「なんだよ」とリオナがのんびりと首を傾げている間にもわたしはドアへと急ぐ。

「ごめんね、わたしまたお仕事だから!」

「お、おう、頑張れよ……」とリオナが困惑したように声をかけてくれる。その後からキャンディとメロディが続けて、「頑張ってカロリーナ!」「ファイト、カロリーナ!」と応援してくれていた。


大変なことも多いかもしれないけれど、頼もしい同僚メイドたちがいるから、わたしはきっと頑張れる気がする。それに何より、アリシアお嬢様とずっと一緒にいられるようになったわけだし!

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