かわいい後輩はプレッツェルにチョコがかかったあのお菓子をぽりぽりかりかりと小動物みたいにずっと食べている
リハビリ作品第6弾。
「第3回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品の為、1000文字以内の超短編です。
ぽりぽりかりかり……
目の前で美少女がお菓子を食べている。
長細いプレッツェルにチョコがかかったお馴染みのアレの極細のヤツだ。
極細を丁寧に両手で持って食べている。
志摩ありす。
高校二年。
小柄。
ふんわり栗色ボブ。
顔は小さく、目は大きく、鼻は小さい。
そして、口が小さいせいか、食べるのが遅い。
あの極細のチョコプレッツェルさえも時間をかけてぽりぽり食べるのだ。
ぽりぽりかりかり……
結論。
かわいい。
「……!」
かわいいしか勝たん。
いや、志摩しか勝たん。
もとい、ありすしか勝たん。
なんだこのかわいい生き物は。
空想上の生き物じゃあないのか。
いや、実在するのだ。
これは奇跡と言える。
神よ、奇跡に感謝いたします。
いや、ありす自身が神なのではなかろうか。
ありすよ、貴女に感謝します。
「……!」
ぽりぽりかりかり……
しかし、これだけ時間があっても、ありすはまだ食べきれていない。
名残惜しいのかもしれない。
どんどんゆっくりになっていくのだ。
ちょっと食いしん坊のありす。
かわいい。
「……!」
なんだ、遠慮するな。
いくらでも俺が買ってやるぞ。
いくらでも食べると良い。
そして、その幸せそうな顔を見せてくれ。
ありすに課金しか勝たん。
食べ終わるありす。
顔が真っ赤だぞありす。
どうしたありす。
「……あ、あの!」
ん? なんだ?
「ぜんぶ、口に出てます」
出してるんだ。
「はうっ……!」
誉め言葉は口に出した方が良いと言ったのはありすだろう。
「う、うぅう……そうですけどぉ……あと、その、ありすって」
そう呼んでいいっていったのはありすだろう。
「そう、ですけどぉおお……!」
心配するな、お前に好きな人がいるのは知っている。
俺は、お前の想いが成就するまででいいから、お前の幸せそうに食べる顔を見させてくれればそれでいいんだ。
「それ、なんですけどぉお……!」
ほら、追い極細だ。食べないのか。
「食べ、ますけどぉおおお……!」
ぽりぽりかりかり……
うむ、今日も食べてるありすはかわいい。
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ぽりぽりかりかり……
先輩はずっと私の食べてるトコロを見てる。
最初は気のせいだと思った。
でも、いきなり直接言われた。
ずっと見てたいって。
先輩、私、実は、家では大食いなんですよ。
ほっぺたパンパンにするくらい食べてるんですよ。
でも、先輩が見てくれるから、ゆっくりゆっくり食べてるんですよ。
ぽりぽりかりかり……
じーっと見てる先輩かわいい。
うん、今日も大好きな先輩はかわいい。
最後までお読み下さりありがとうございました。
小動物がごはん食べてる動画を見る仕事がしたいです。
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