表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

逃避行などではなく

作者: 朝焼 悠

朝が来る前に

二人でこの街から出よう


誰にも見つからないように

夜の闇に紛れて


僕ら いつもそうだった

人目を避けるため

新月の晩を選んで

まるで罪を重ねていくように

二人だけの時間を刻んできた


いつか二人で

誰の目も気にしないで

太陽の下

手を繋いで歩きたいねって

星空を見上げながら

同じように描いていた夢


ここを出たら

穏やかな海の見える街で暮らそう


君が焼いてくれたパンと

淹れてくれたコーヒーの香りで

毎朝目覚めて


仕事を終えたら

寄り道なんかせずに

真っ直ぐに君の待つ家へ帰るんだ


休みの日には

公園へ出かけよう

高台にあるはずの

海が見渡せる公園へ


お弁当

僕が作って見るからさ

そこで今週あったこと

話しきれなかったこと

たくさん話そう


そうやって過ごした最後は

夕日が水平線の向こうに沈むまで

ベンチで寄り添って眺めていよう


夕焼けに染まっていく海と

僕らの住む街を

静かに眺めていよう


そんな夢を語り

子どものようにはしゃぐ僕ら


そんなことできないのにねって

不意に君の頬を伝った一筋の涙が


僕らを現実に引き戻す

どこにも行けない

行けるはずないから

こうして

隠れるようにしてあっているんだって


だけど

大丈夫だよって

僕は君の頬にふれて

流れた涙を拭い取る


どこにも行けない僕らが

それでもこの街で二人で生きていくため

これは必要な時間なんだ


ただ甘い夢に溺れているだけじゃない

僕が頑張れる理由になる

だから僕を信じて


必ず迎えにくるから

こんな夜の闇に紛れて

盗人のようにではなく

昼間 太陽の下

正面から胸を張って

必ず君を迎えにくるから

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] すごいっ!! 主人公の、 夜の逢瀬のセクシーな表情と、 昼間の優しい顔が見えるような気がしました! かっこ良すぎ。 今夜の恋愛詩は、一段とパワーアップしているっ!!
2021/06/21 22:07 退会済み
管理
[良い点] 良いね~…♡♪( ´∀`) 燃えるね~…♡♪(*´ω`*)☆彡(*´Д`*) ちなみに… 願い叶うのは…新月の時…だとか。 満月は…縁切りの願い…に、良いとか…ひえっ…(>_<) プチ占い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ